2018/12/31

【仏像】5年に1度ご開帳の秘仏・薬師三尊ご開帳 大善寺(山梨県勝沼町)

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 今年の10月、以前に訪れたことがある勝沼の大善寺(【仏像】重文の日光・月光菩薩と十二神将 ぶどう寺大善寺@山梨県勝沼町)で、秘仏薬師三尊の特別公開が行われたので、行って来ました。
 この仏さまは、5年に一度しかご開帳されませんが、今年はそれに加えて、大善寺の開山1300年にあたるんだそうです。

【寺院名】真言宗智山派 柏尾山 大善寺(ぶどう寺)
【公式サイト】・http://katsunuma.ne.jp/~daizenji/
【住所】山梨県甲州市勝沼町勝沼3559
【拝観日】2018年10月3日
【拝観】基本的に毎日可(時間は変わります)。拝観料500円(ご開帳時も同額でした)。駐車場有り。
【仏像】
薬師三尊像 (初) 写真
  薬師如来像(葡萄薬師) サクラ 一木造 像高86.7cm 平安時代 重要文化財
  日光菩薩立像 サクラ 一木造 像高102.6cm 平安時代 重要文化財
  月光菩薩立像 サクラ 一木造 像高101.8cm 平安時代 重要文化財

十二神将立像 檜一木造・寄木造 像高138.2〜145.9cm 鎌倉時代 重要文化財
日光菩薩立像・月光菩薩立像 檜寄木造・玉眼 像高248.0/247.0cm 鎌倉時代 重要文化財


 
 こんかいはご開帳ということで、平日だというのに、なかなかの賑わい。受付や案内など、地元の人たちも多く参加している感じでした。

 さて、本尊の薬師三尊さまは、今回はじめて拝観できました。

 中尊の薬師如来さまは、像高90cm弱で、等身大よりやや小柄な印象。顔も大きめで、胸やお腹も肉付きが良く、座椅子にもたれかかるような、ゆったりした姿勢です。お顔はふっくらとしていて、やや面長で、顎は小さめ。目は切れ長で釣り上ってます。左手には葡萄を持っています。右手は与願印だと思うのですが、内側に親指があるかのようで、ちょっと造形が乱れてます。後年の補修によるのかもしれません。

 日光・月光菩薩は、胸や、腿から下の肉付きが良く、お腹もぷっくりしてます。目は細くて、まぶたはやはり腫れぼったいです。それぞれ内側の脚の膝を、少し曲げています。衣紋は翻波式。普通とは反対に、月光菩薩の方がつり目で厳しい表情をしており、日光菩薩の方が柔らかいお顔です。

 全体として、優しさと荘厳さを兼ね備えており、都風の洗練されたものではありませんが、平安時代の地方仏として存在感のある仏さまだと思いました。勝沼にあって、ぶどうを持っているというのが素晴らしいですね。


 前回も拝観した十二神将、キャラは立ってるけど、ポーズなど躍動感にはちと欠けます。
 大きな日光・月光菩薩。寄り目であることがわかりました。

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2018/12/30

【仏像】「京都・醍醐寺-真言密教の宇宙-」サントリー美術館

 もうだいぶ前の話ですが、サントリー美術館で開かれた醍醐寺展に行ってきました。あらゆるジャンルの密教美術が展示されており、仏像は8点でしたが、全てが国宝か重要文化財で、快慶作もあるという、充実したラインナップでした。

 醍醐寺は以前に訪れたことがありますが(
【仏像】国宝薬師三尊、五大明王など。醍醐寺(京都))、こんかいは5躯が初拝観でした。

 初拝観のものから先にご紹介します。

 まずは何と言っても如意輪観音坐像(15:出品リストの番号)(写真)。平安中期の、ゆったりおっとりした優美なお姿。お顔もふっくらとして、満ち足りた表情。伏し目がちにして、なにか思案しているのか、それともまどろんでいるのか。腰を曲げて、まるで光背によりかかってでもいるように、ゆったりと座っております。如意輪観音さまの右手は、頬に手のひらをあてている場合と、手の甲を当てている場合がありますが、この像は手の甲の方。とっても優しそうな素晴らしい如意輪さまです。

 ついで快慶作の不動明王(26)(写真)。鎌倉時代の作ですが、上の歯で下唇を噛み、両目を見開いて正面を見据えるという古風なお顔。京都の東寺・講堂の不動明王(写真)に習った、いわゆる「大師様」のお姿です。そうした制約のなかでも、細かい表情や、絞り込まれたウエスト、ちょっと持ち上げた両肩など、鎌倉らしい躍動感があり、それでいて全体として美しく収まっています。

 国宝の虚空菩薩立像(27)(写真)は、でっぷりしているというか、寸詰りというか、変わったお姿。衣紋も彫りが深くてぐるんぐるんしており、足の部分は翻波式になっております。平安初期の仏様ですね。同じ時代の三井寺の十一面観音(写真)をちょっと思い出します。
 この像は、長らく「聖観音菩薩立像」とされて来ましたが、つい先日の平成27年(2015)、調査を元に「虚空蔵菩薩立像」とお名前が変更になったそうです(春季特別公開 - 醍醐寺)。

 阿弥陀如来坐像(28)は、定朝様の整った仏様でした。

 仏像ではありませんが、聖宝坐像(5)(写真)も初めて観ました。聖宝は、平安初期に醍醐寺を開山したした人で、空海の孫弟子にあたるそうです。江戸時代の作ですが、表情から人となりが伝わってくる、見事な像です。わざわざ吉野右京種久作と付記されており、ググってみると、有名な仏師のようですが、詳しいことはよくわかりません。

 あとは再会した仏様たち。
 国宝の薬師如来および両脇侍像は、階段近くの吹き抜けスペースに展示されており、最初は(恐れ多くも)上から見下ろし、やがて足元に降りていくという感じでしたが、迫力はなかなかのものでした。
 五大明王は、霊宝館に安置されていたものですね。
 象に乗った帝釈天と、ちと珍しい牛に乗る閻魔さまも、久々にお目にかかりました。


 


京都・醍醐寺-真言密教の宇宙-

2018年9月19日~11月11日(11月8日訪問)
サントリー美術館

サントリー美術館の公式サイト
特設サイト

出品リスト(pdf, 430.8K)

出品された仏像
    ◎重要文化財 ⦿国宝 番号は出品リストの番号です。

 写真は、醍醐寺文化財アーカイブスで見ることができます。

5 聖宝坐像 吉野右京種久作 江戸時代 延宝2年(1674) (初) 写真
14 ⦿ 薬師如来および両脇侍像 平安時代 10世紀
15 ◎ 如意輪観音坐像 平安時代 10世紀(初) 写真
22 ◎ 五大明王像 平安時代 10世紀
23 ◎ 帝釈天騎象像 平安時代 10世紀
24 ◎ 閻魔天騎牛像 平安時代 12世紀
26 ◎ 不動明王像 快慶作 鎌倉時代 建仁3年(1203) (初) 写真
27 ⦿ 虚空菩薩立像 平安時代 9世紀 (初) 写真
28 ◎ 阿弥陀如来坐像 平安時代 12世紀 (初)

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2018/12/29

【温泉】テレビもない、携帯もつながらない、正真正銘のランプの宿 度合温泉再訪(★★★★)(岐阜県中津川市)

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 今年の10月末、忙しい日々が続くなか、ひなびた温泉でくつろごうと、以前に訪れたことがある(【温泉】付知峡度合温泉旅館は秘湯ムード満点のランプの宿(★★★★★))度合温泉に予約を入れました。

 宿のホームページはこちらです。

 中央道中津川インターから車で約1時間、山のなかにある一軒宿です。電気の来てない正真正銘のランプの宿で、もちろんテレビもなく携帯もつながりません。地元の食材をつかったお料理もとっても美味しいです。温泉力がちょっと弱いのが残念。ご主人と奥さんのおもてなしも心地よく、特にご主人は、さまざまなパズルやゲーム、射撃などで楽しませてくれます。何もかも忘れてのんびりしたい人に最適!ぽん太の評価は今回も4点!

 この温泉のアプローチには、注意が必要です。前回は林道が一般車通行不可で、道の駅・花街道付知まで送迎車が迎えに来てくれました。その後は宿の前まで自家用車の乗り付けられていたようですが、今年の8月から途中の橋の掛け替え工事が始まったため、その手前の高樽の滝に車を停め、林道を10分ほど歩いて橋を徒歩で越えてから、送迎車に乗るというかたちになっております。

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 こちらが自家用車を停める高樽の滝。ちょうど紅葉の季節でしたが、今年は猛暑や台風の影響で色づきが良くありませんでした。

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 はい、こちらが宿の入口です。木造のひなびた建物です。

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 ロビー(?)です。天井にずらりと吊り下げられたランプをじっと見ていると、つげ義春の世界に迷い込みそうな気がしてきます。
 ちなみにこの宿、電気が来ておりません。昼間は自家発電しておりますが、夜間はランプの宿となります。もちろんテレビはなし。

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 こちらが客室です。広めの角部屋。右に見える障子の外側にはガラス戸がなく、雨戸をしめるという昔ながらの造りです。ということでけっこう寒く、布団はコタツに足を突っ込めるように敷いてくれます。コタツといっても、電気がないので、豆炭です。若い人は豆炭知ってるかしら?

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 浴室です。タイル張りの広い浴室に、木製の湯船が二つ置いてあります。無色透明、無味無臭の沸かし湯で、温泉力はあまり強くありません。

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 温泉分析表です。泉質は書かれてませんね。泉温は10.5度です。

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 夕食です。地元の新鮮な食材を使った美味しいお料理。イワナのお造りと塩焼きがあります。

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 アジメドジョウというドジョウの一種だそうです。

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 蜂の子ですね。

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 岩魚の骨酒を注文しました。このイワナは、ご主人が釣って来た天然物だそうです。臭みが全くなく美味しいです。

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 わらじ五平餅です。大きさを示すためにマッチを写しこんであります。

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 山菜をふんだんに含んだ天ぷらも美味しゅうございました。

 夕食後はテレビもなく、やることがないので寝ようかと思いましたが、ご主人がパズルや工作など、さまざまなエンタテイメント(?)で楽しませてくれます。「空き缶で作るアルコール・コンロ」が面白かったです。

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 朝で〜す。

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 朝食も美味しゅうございました。

 朝食後は、射撃をして、パズルをお土産にもらい、帰途につきました。

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2018/12/28

【クラシック】もしもベートーヴェンが南米生まれだったら。クリスティアン・バスケス指揮・東京フィルの「第九」

 ぽん太は、ラトル、ベルリンフィルの究極の「第九」を聞いて以来、日本のオケでこれを超える演奏はないだろ〜な〜と思い、年末の第九は「風物詩だから行くか」程度のノリだったのですが、今回の第九は面白かったです。いい悪いとか、完成度は別にして、これまで聞いたことがないような第九でした。

 指揮のクリスティアン・バスケスは、ベネズエラ出身の指揮者。ベネズエラと聞いてもぽん太の印象は、南米の産油国、反米の急先鋒の大統領がいて、ハイパーインフレで経済がメタメタ。野球選手(横浜ベイスターズのラミレス)やボクシング選手(「あしたのジョー」のカーロス・リベラhappy01)を輩出。そんな感じ。
 でも、以前にウィーンフィルと来日した指揮者グスターボ・ドゥダメルもベネズエラ出身だったような。なんでそんな国(失礼いたしました)から世界的指揮者が続出するんでしょうか。一部の富裕層がいるのか。Wikipediaをみると、ベネズエラは昔は産油や鉱物資源で南米で最も豊かな国だったと書いてあるけど、それでか?なんでもベネズエラにはエル・システマと呼ばれる音楽教育プログラムがあり、貧困層も含め、音楽教育に力を注いでいるんだそうです(エル・システマ - Wikipedia)。へ〜知らなかった。バスケスもエル・システマの出身とのこと。

 で、第一楽章は早めのテンポでスタート。早めの「第九」は近頃よく耳にしますが、えてしてスピーディーでスマートな演奏になるもの。しかしバスケスの演奏は違いました。ビートが強調され、スタッカート気味の音加わって、歯切れよくリズミカルでノリノリの演奏。オケもノリノリで、クラリネットの外人さんは、ジャズかと思うほど体を揺らして吹いてました。金管もバリバリ。バスケスの腕の動かし方は、強拍で手を広げて両腕を上に上げるのですが、すると手のひらからビームがでるかのように、ブワーっと大砲のような音が鳴り響きます。
 第二楽章のスケルツォでは、弦楽合奏が一拍目のビートを非常に強調する下りがあって、ぽん太は「やるな〜」という感じで笑いながら聞いてました。
 第三楽章も速いテンポで、いつもの桃源郷のような雰囲気はありませんでした。速さゆえ、メロディーラインの普段は気がつかない部分がよく聞き取れました。
 さて、終楽章で驚いたのは、女性のコーラスに、子供が……しかもボーイソプラノまで、混ざっていること(第二楽章のあと合唱が入場して来た時点でわかっていたのですが)。そのせいで、合唱が独特の、これまで聞いたことがない音色でした。人類みな兄弟には子供達も入ってるよというか、なんかクリスマスっぽいというか、とっても驚きました。
 独唱陣もなかなかよかったです。

 ドイツっぽい暗闇や影や深遠な部分がなく、南国の太陽に照らされた、燃え上がるような演奏でした。なんかこなれてないというか、荒削りな感じもしましたが、とっても面白い「第九」でした。


 「第九」の前には、ベネズエラの作曲家フアン・バウティスタ・プラサの「フーガ・クリオージャ」。5分程度の短い曲で、ラテン系の明るいメロディの「フーガ」という珍しい曲でした。


東京フィルハーモニー交響楽団
ベートーヴェン『第九』特別演奏会

2018年12月24日
Bunkamura オーチャードホール

東京フィルハーモニー交響楽団のコンサート情報
オーチャードホールのラインナップ


指揮:クリスティアン・バスケス

ソプラノ:吉田珠代
アルト:中島郁子
テノール:清水徹太郎
バリトン:上江隼人
合唱: 東京フィル 特別合唱団
   (新国立劇場合唱団/東京オペラシンガーズ/東京混声合唱団/
    二期会合唱団/藤原歌劇団合唱部)
児童合唱:杉並児童合唱団

フアン・バウティスタ・プラサ/フーガ・クリオージャ
ベートーヴェン/交響曲第9番『合唱付』

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2018/12/27

【歌舞伎】児太郎の「阿古屋」、中車の「あんまと泥棒」 2018年12月歌舞伎座夜の部

 今年の歌舞伎の見納め。

 「阿古屋」は、玉三郎は以前に見たので、今回は児太郎くんにしてみました。この演目は、まず三つの楽器がしっかり演奏できるかどうか、そして演奏しながらも景清を思う気持ちを忘れないことが大切なんだそうですが、タヌキのぽん太にはどちらもよくわからず。それでも、それぞれの楽器を見事に演奏し、難役をこなしました。児太郎くん独特の古風な雰囲気も良かったです。
 配役に名前が出ている玉三郎、どこに出ているのかわからず、消去法で探したら、赤っ面で人形振りの岩永左衛門でした。双眼鏡で顔を見ても、ホントに玉三郎かどうかまったく分かりません。足もぶらぶら浮いてます。珍しいものを見せていただきました。ごちそうさまです。

 次の「あんまと泥棒」では中車が怪演。やりたい放題でした。
 酔っ払いといえば、以前の「らくだ」の紙屑屋久六はあんまり面白くなかったような気がしますが、今回は間合いといい、表情といい、はじけてました。松緑が中車の自由演技をうまく受けてました。会場大爆笑。ぽん太も笑わせていただきました。

 最後は新作歌舞伎舞踊の「傾城雪吉原」。冒頭の暗闇にキラキラと雪が舞い散る舞台美術からして美しく、これは玉三郎が、やりたいようにやったという感じでした。岩永とのギャップがすごい。

 どれも見ごたえのある舞台で、今年を締めくくることができました。

歌舞伎座百三十年
十二月大歌舞伎

平成30年12月19日 歌舞伎座

歌舞伎美人の公演案内

夜の部  Bプロ

一、壇浦兜軍記(だんのうらかぶとぐんき)
  阿古屋 

    遊君阿古屋 児太郎
    秩父庄司重忠  彦三郎
    榛沢六郎  坂東亀蔵
    岩永左衛門  玉三郎


  村上元三 作・演出
  石川耕士 演出
二、あんまと泥棒(あんまとどろぼう)

    泥棒権太郎  松緑
    あんま秀の市  中車


  新作歌舞伎舞踊
三、傾城雪吉原(けいせいゆきのよしわら)

    傾城  玉三郎

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