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2005/03/26

感情表出(EE)を下げていきいき家族(その3)

 サッカーのイラン戦、残念でしたね〜。奥様こんにちは。「おもいッきりブログ」のみのぽん太です。さあ、感情表出のお勉強も今回で3回目となりました。これまで、家族のEEが高いと、統合失調症の患者さんの再発率が高まることを勉強しました。まず、前回のおさらいです。

統合失調症の退院の9ヶ月後の再発率は、
家族が低EEだと10人に約○〜○人
家族が高EEで、週に35時間以上接していて、
服薬も不規則だと10人に約○人

 奥様、覚えておいでですか。思い出してみてください。
 それでは正解です!

統合失調症の退院の9ヶ月後の再発率は、
家族が低EEだと10人に約1〜2人
家族が高EEで、週に35時間以上接していて、
服薬も不規則だと10人に約9人

 家族が低EEだと、再発率が10人にたったの1人か2人。ところが高EEの家族と長時間接していて、しかも薬もきちんとのんでいないと、10人のうち9人、つまりほとんどの患者さんが9ヶ月後に再発してしまうのでした。恐ろしいですね〜。
 そこで今回の「おもいッきりブログ」では、高EEのご家族と低EEのご家族の違いを調べてみましょう。それを知ることで、奥様方もEEを下げることができますからね。まず最初のフリップです。

統合失調症の患者さんは
過剰な○○○○が苦手なので、
低EEの家族はうまく○○を取るが、
高EEの家族は○○○しすぎる

 さあ、よく見かける話ですね。正解をいってみましょう。

統合失調症の患者さんは
過剰な人間関係が苦手なので、
低EEの家族はうまく距離を取るが、
高EEの家族は深入りしすぎる

 一般に統合失調症の患者さんは、刺激に対して敏感で、深い人間関係が苦手です。ですから彼らは家族やそのほかの人から距離をとろうとすることが多いのです。低EEの家族はそのへんを理解し、患者さんをほどよく孤立させてあげることができます。ところが高EEの家族は、患者さんから応答を得ようとして接触しすぎたり、断りもせずに部屋に入るなどプライバシーを守らなかったり、行動を監視し余計なアドバイスをします。
 そのけっか、こういうことになります。

高EEの家族と暮らす患者さんは、
○○○○○が多い

 統合失調症の患者さんは濃厚な対人関係が苦手ですから、家族が近づこうとすればするほど逃げようとして……

高EEの家族と暮らす患者さんは、
引きこもりが多い

 患者さんの引きこもりに悩んでいるご家族は、一生懸命患者さんとかかわろうとしないで、反対にちょっと距離を取ってみるという方法もありますよ。
 では、次のフリップをご覧下さい。

患者さんの幻覚や妄想などに対して
低EEの家族はそれらを○○○○○と見なして受け入れるが
高EEの家族は○○しようとする

 幻覚や妄想、それに基づく奇妙な言動に対するご家族の態度です。さて正解は?

患者さんの幻覚や妄想などに対して
低EEの家族はそれらを病気の症状と見なして受け入れるが
高EEの家族は否定しようとする

 たとえば「宇宙人が命令したから」と言って部屋中にマジックで落書きをした患者に対して、低EEの家族は「あの子は幻聴があるのよ。わけがわからなくなって、こんなことをしてしまったんだわ。あの子も苦しんでいるのよ」と思うことができます。しかし高EEの家族は、「あの子はまたバカなことを言って。宇宙人なんているわけがないって何度言ってもちっともわからないのよ。病気を治す気がないんだわ」などと言ったりします。
 次の問題です。

患者さんのさまざまな○○○○○することを
低EEの家族は受け入れることができるが
高EEの家族は認められずに
患者さんの○○○や○○が足りないと考える

 患者さんは、病気の症状の結果として、勉強、就労、あるいは身の回りのことなど、さまざまな能力が低下します。

患者さんのさまざまな能力が低下することを
低EEの家族は受け入れることができるが
高EEの家族は認められずに
患者さんのやる気や努力が足りないと考える

 高EEの家族は、こうした能力の低下を病気の結果として受け入れることができず、それを患者さんの努力が足りない、怠けているのだと考えます。発病前は順調な人生を歩んでいた子どもが、学業についていけなくなったり、就職や結婚が難しくなったりして、通常の人生を歩めなくなったことを認めることは、本人だけではなく、家族にとっても辛いことです。でもその辛さに耐えられず、認めようとしないで、子どもを責めるのは間違っています。だって、一番苦しんでいるのは患者さん自身なんですから。
 急性期にみられる幻覚や妄想、興奮などの陽性症状に関しては、どのご家族もそれが病気の症状であると考えております。ところが、慢性期の意欲低下や思考力低下などの陰性症状に関しては、病気の症状ではなく「なまけ」や「やる気がない」と思っているご家族がたいへん多いのです。ですから、ご家族が病気の正しい知識を得ることもたいへん重要です。
 さて、次のフリップです。

患者さんの症状に対して、
低EEの家族は○○をコントロールできるが、
高EEの家族はできない

 はい、正解を見てみましょう。

患者さんの症状に対して、
低EEの家族は感情をコントロールできるが、
高EEの家族はできない

 妄想に巻き込まれて興奮する患者を、低EEの家族は落ち着いて説得し、患者さんの気持ちを静めることができます。また、患者さんとの苦労を、笑いやユーモアを交えて語ることもできます。高EEの家族は、怒りを感じたり、悲しみに飲み込まれたりします。

 さあ、今日のおさらいです。低EEの家族は、患者さんからほどよい距離をとることができます。そして、患者さんの異常な言動を、病気の症状だから仕方ないと受け入れ、我慢することができます。そして能力の低下に関しても、それに耐える力を持っています。最後に低EEのご家族は、自分の感情をコントロールし、自分の体験をユーモアを持って語ることができるのでした。
 でも、現実はなかなかそんなふうには行きませんよね。あくまでも理想であり目標ですからね。そうできてないからといって、ご家族が自分を責めないでくださいね。患者さんを許すだけではなく、ご家族が自分自身を許すことも大切です。
 次回は「おもいッきりブログ」が行った、家族のEEを下げて再発率の変化を調べる実験を放映いたします。

参考文献
レフ、ヴォーン『分裂病と家族の感情表出』三野善央ら訳、金剛出版、1991年

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