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2005/03/15

山田規畝子『壊れた脳 生存する知』を読む

 ぽん太は山田規畝子『壊れた脳 生存する知』(講談社、2004年)を読みました。以前にテレビ番組で見たことがあったのです。医師である山田規畝子(きくこ)さんは、繰り返す脳出血によって「高次脳機能障害」という後遺症を背負いました。この本は著者の「高次脳機能障害」との闘いの記録であり、また十分に解明されていないこの障害を医師が内面から記述した貴重な報告です。
 山田さんはもやもや病という病気を抱えていたため、3回の脳出血を起こしました。脳出血の後遺症というと、麻痺などの身体症状が頭に浮かぶと思いますが、山田さんを襲った症状は時計が読めない、すぐに忘れてしまう、立体的に見ることができない、左側に注意がいかないなどといったもので、高次脳機能障害と呼ばれます。パソコンの故障に例えれば、電源が入らないとかモニターが写らないとかいうのが麻痺みたいなものだとすれば、高次脳機能障害は、バグによってアプリケーションが異常な動作をしたり、ファイルが消えてしまったり、制御不能になってしまうようなものかもしれません。パソコンなら買い替えればいいのですが、そういうパソコンをだましだまし使って仕事をしないといけないのが、山田さんの状態です。そんな変わった病気は自分とは関係ないと思うかもしれませんが、高次脳機能障害は交通事故による脳外傷でも起きることが多いので、けっして他人ごとではありません。
 障害そのものとの闘いの苦しみ以外に、障害に対する誤解や偏見のつらさ、世の中がいかに障害者にとって不自由にできているかなども書かれています。ぽん太が普段かかわっている心の病気も、なかなか周囲の人から理解されにくいものですが、山田さんの苦労もなみなみならぬものがあったようです。しかし山田さんの前向きで、どこかのんきな雰囲気は、読む人に勇気を与えるでしょう。
 本書でひとつ興味深かったのは、著者が仕事をしているとすぐ低血糖状態で疲れてくると書いていることです。「こういった作業を続けていると、あくびが出て仕方がない。脳細胞が酸欠になるのだ。昼近くになると燃料不足も加わって、眠気が強くなりはじめる。水分摂取が充分でないとき、それはいっそうひどくなる」(131ページ)。統合失調症患者が甘いものが好きで、コーヒーに砂糖を山のように入れたりするのはよく目にします。味覚異常だとか薬による糖代謝異常だとかいわれていますが、ぽん太は納得のいく説明を聞いたことがありません。統合失調症の患者さんも、ひょっとしたら脳機能の低下を防ぐために糖をいっぱい取っているのかも・・・などと思いました。
 もうひとつ本筋でないところで気になることがあったのですが、それは長くなるので次回に・・・。

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