白川郷の合掌造りは秘密の火薬工場だった
11月下旬、世界遺産の白川郷に出かけてきました。ぽん太は生まれて初めての訪問です。
まず高山の北西にある古川(地図はこちら)に行きました。約400年の歴史がある古い城下町で、白壁土蔵街などが有名です。高山よりこじんまりしていますが、その分落ち着いた雰囲気です。
![]() | 道ばたでおばさんが赤かぶを切っていました。 |
![]() | 蓬莱で有名な渡辺酒造です。紺の暖簾が美しいです。 |
![]() | 後藤酒店です。なんだかとてもマニアックです。 |
いよいよ白川郷です。生まれて初めて見た合掌造りの家屋はとても美しく、風格がありました。ただ祝日だったせいか、観光客が多いのには閉口しました。
夜は合掌造りの宿孫右エ門に泊まりました。部屋にはテレビも冷蔵庫もなければ、窓ガラスもありません(障子と縁側の向こうに雨戸があるだけ)が、歴史を感じさせるすばらしい宿でした。風呂などは新しく改築されていて、気持ちのいい檜の浴槽です。
広間には囲炉裏があり、家の当主が代々火を守っています。食事は囲炉裏を囲んでいただきます。豪華ではありませんが、とても美味しい山の幸のごちそうでした。夕食後には当主が村の歴史を語ってくれました。若い頃は茅葺き屋根を葺く職人をやっていたそうで、貴重な建物を守るためにいろいろな苦労をなされたそうです。朴訥ながらも自信と誇りに満ちた語り口は、とても心にしみました。ぽん太はこれまで温泉に泊まることが多かったのですが、温泉から離れると、またいろいろといい宿があるんだな、と思いました。
ところで白川郷や五箇山は、山間部の狭い谷間にあり、冬には豪雪のため完全に周囲から遮断されるという厳しい自然環境にありながら、なぜこのような豊かな建築物を造ることができたのかという疑問が湧いてきます。
調べてみるとこの地方では和紙の生産や養蚕が盛んだったことがわかりますが、さらに注目される産物は「塩硝」です(たとえばこのPDFファイルを参照して下さい)。塩硝とは硝酸カリウム(KNO3)のことで、黒色火薬の主原料となる重要な化学物質であり、江戸時代の慶長年間から加賀藩の管理のもとに製造されてきたそうです。
白川郷・五箇山の立地は、秘密保持に最適だったのかもしれません。
塩硝を作るには、まず乾燥した麻・よもぎ・タバコなどの干し草を蚕や牛の糞とともに土に混ぜて硝酸バクテリアによって醗酵させるのだそうですが、これが数年もかかる工程だったそうです。この作業が床下に掘った穴の中で行われたことが、この地方に合掌造りにのような広い家屋ができるようになった原因のひとつだそうです。
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