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2006/01/30

自立支援医療費(精神通院)のドタバタ

 ぽん太が開業している東京都では、1月25日〜26日頃に、患者さんの自宅宛に更新手続きのための書類が一斉に送られたようです。27日は、そのことに関する患者さんからの問い合わせの電話が朝からひっきりなしで、意見書や診断書の依頼も相次ぎ、診療に多大な悪影響がありました。
 ところが問い合わせにお答えしようにも、精神科医であるぽん太の方には、東京都から何の連絡も来ていないのです。東京都からは今月の頭に文書が送られてきました。その文書は、2006年1月8日の記事東京都から医療機関宛に自立支援医療費の案内が来たにアップしてありますが、その「1ページ」には、「18年1月下旬に東京都から本人宛に申請書、お知らせ、診断書又は意見書等を送付します。医療機関にも本人への送付前に関係書類をお送りします」とはっきり書いてあります。それなのに、その後医療機関には何の文書も届いておりません。
 頭に来て東京都の精神保健福祉課に電話したところ、「すみません、今日(27日)発送する予定です」とのことでした。医者に案内をする前に、患者さんに書類を発送してどうするんじゃい。仕方ないから患者さんが持っている書類をコピーさせてもらいました。
 その他にも今回の更新手続きにはいろいろ問題があります。
 生活保護を受けているひとは、「重度かつ継続」かどうかは関係ありませんから、重度かつ継続に関する「意見書」はいらないはずなのに、書類が同封されていました。市の障害者福祉課に問い合わせたところ(こちらも大混乱のようで、なかなか電話がつながりませんでした)、生活保護でも「意見書」は必要であり、料金は福祉から出るはずだとのことでした。おかしいと思いながらも「意見書」を書いて渡したら、後から障害者福祉課から電話がかかってきて、「やっぱり『意見書』はいらない」とのこと。をひをひ、意見書料はどうしてくれるんじゃい。ぽん太の労力と時間を返せ〜!
 それから平成18年1月〜2月で32条の期限が切れるひとで、昨年の12月中に早めに更新手続きをしてあるばあい。そのときに診断書を提出してあるのに、また今回、自立支援医療費への更新のために診断書を要求されています。どういうつもりでしょうか?
 医療機関にとっても、更新のための診断書を、約2ヶ月のあいだに全部書かないといけないことになります。32条で当院に通院していた患者さんの約半分に診断書が必要となります。これは大変な労働量です。
 そもそも今回患者さんに送られた書類は大変複雑で、患者さんのご家族が読んでもよくわからないシロモノです。このようなものを患者さんに直接送りつける心理がわかりません。封を切ってそのまま放置したり、封も切らずに捨ててしまっている患者さんもいると思われます。

 更新の事務手続きだけでなく、実施後もいろいろと問題があります。
 これまで32条の患者票は医療機関が管理しておりましたが、今後は患者さんが「医療受給者証」を自己管理して診察の際に提示する形となります。患者さんがしっかり自己管理できるかどうか、あるいはさまざまな変更手続きができるかどうか不安があります。さらに月額負担上限額がある場合は、「月額負担上限額管理票」を所持し、医療機関や薬局でその都度提示して、自己負担分の料金を記入していくことになります。この「月額負担上限管理票」も忘れたりなくしたりする心配があります。
 これまで障害年金を受けていた患者さんは、手帳と32条を同時に更新するばあい、医者の診断書は不要でした。しかし今後は、更新のために医者の診断書が必要となります。その費用の患者さんの負担はばかになりません。
 障害年金を受けていないで、手帳と自立支援医療費を使う場合、手帳の診断書と自立支援医療費の診断書の両方が必要になります。費用の患者さんの負担はばかになりません。
 
 しかし考え直して見れば、これまで医者は、患者票を管理したり、さまざまな手続きのアドバイスや代行をしたりと、医療費の公費補助というお役所の仕事の一部を代行してきた面があります。医者の本来の役目は、診断書を要求されたら書くことだけです。それ以外の部分は、これからは市なり保健所なりでしっかりやっていただこうとぽん太は思っています。患者さんから書類の書き方や制度に関する質問を受けたときは、市役所に問い合わせるようにお伝えしております。今回の32条から自立支援医療費への更新手続きを行えない患者さんが出てくると思われますが、2月下旬ぐらいになったら、「これらの人たちは更新手続きができていませんがどうするつもりですか?」と市に問い合わせる予定です。
 しかし現実として、市の障害者福祉課が手続きの援助や代行を行うという仕事を引き受ける能力がないことは明らかです。現在の制度下では生活支援センターがそういった仕事を引き受けるしかないと思いますが、そのような下準備まったくなしでの今回の制度改正でした。
 ここに見えてきた問題は、意思を表明する力や判断能力が落ちて来た患者さんに代わって、もろもろの手続きや契約を行うという仕事を、どこがやるべきかという問題です。これは「権利擁護」と呼ばれる問題です。「権利擁護」と聞くと「人権擁護」を思い浮かべるかもしれませんが、まったく別のものです。「権利擁護」とは、患者さんに変わって意思を代弁したり、契約や手続きを行うことです。ぽん太は2005年12月22日の記事で権利擁護に付いて書きました(精神障害者の成年後見制度ーー権利擁護がキーワードだ!)。精神障害者の権利擁護はこれから重要になる考え方です。

 さて、このようなむちゃくちゃな制度改正に関して、市役所に文句を言うひとがいますが、市役所は都から言われた通りにやっているだけなので、文句をいっても始まりません。市役所に文句を言う意味があるのは、都の決めたことを市がやっていない場合だけです。同様に都に文句を言う意味があるのは、国(厚労省)が決めたことを都がやっていない場合だけで、今回でいえば、医療機関への案内の発送が遅れたという点です。ということで国(厚労省)に文句を言うのがひとつの方法ですが、国も法律で決められたとおりにやっているだけという面もあります。というわけで、苦情は国(厚労省)と、政党や政治家に言うのが効果があります。最近は厚労省も、各政党や政治家もホームページを持っており、ネットで意見を受け付けているので、簡単に苦情や意見を言うことができて便利です。

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