« 【登山】北岳・間ノ岳・塩見岳を縦走 | トップページ | 【温泉】青木鉱泉は禅寺のように心が澄みわたる(★★★★) »

2006/08/27

統合失調症だと生命保険に入れないの?

 「統合失調症は生命保険に入れないと言われました」と、診察室のAさんは苦笑しました。
 Aさんは40代前半の統合失調症の患者さんです。10年ほど前に発病し、家族に付き添われて初めてクリニックに来たときには、考え込んだような硬い表情で、話しかけても答えるのに時間がかかり、しかも返答の多くは質問にかみ合っていませんでした。いろいろと尋ね方を変えながらしんぼう強く聞いていくと、どうやら幻聴やもある様子で、他人の言動が奇妙で意味ありげに感じられ、漠然とした不安や恐怖に付きまとわれているようでした。来院の約半年前、単身生活をしていたAさんは突然会社を辞めました。当初家族は、職場で何かあったのだろうぐらいに思っていたそうですが、次第に意味不明のメールや電話がくるようになり、Aさんの異変に気づいたそうです。
 幸いに薬がよく効いて半年ほどで病状は改善し、しばらくは意欲がでない状態が続きましたが、約2年ほどして自力で仕事をみつけ、その後は現在にいたるまで、薬を服用しながらも仕事を続け、まったく普通の生活しています。そんなAさんが生命保険に入ろうとしたら、統合失調症であることを理由に断られたというのです。

 統合失調症だと生命保険や医療保険などには入れないのでしょうか? また統合失調症以外の精神疾患の場合はどうなのでしょうか?
 ぽん太のこれまでの経験では、何人かの統合失調症の患者さんが生命保険の加入を断られたと聞いたことがあります。うつ病の患者さんも、生命保険の加入を断れたケースを知っています。また住宅ローンを組もうとしたら、前提条件である保険の加入を断られ、仕方なく保険はいらないけど利率が悪いローンを使わざるをえなかった方もいます。一方、パニック障害や、ストレスによる軽度の不安や抑うつで抗不安薬や睡眠薬を服用している程度の場合、保険に加入できたケースを経験しています。

 生命保険や医療保険に加入するときは、過去にかかった病気や現在治療中の病気を告知しなければなりません。精神疾患にかかっていると告知すると、ほとんどのばあい、文書で医療機関に病状の問い合わせがあります。「医療機関に問い合わせてもいい」という患者さんのサイン入りの書類が同封されてくるのですが、必ずぽん太は、もう一度患者さんに直接了承を得たうえで、返事を書くようにしています。というのは、書類に嘘を書くことはできないことは言うまでもありませんが、事項によっては書き方にある程度の幅があることもあるからです。この医者の診断書と、患者さんの告知をもとに、保険会社が生命保険加入を認めるかどうかを判断をするという手順になっています。
 患者さんが生命保険に入ろうとした場合、精神疾患を理由に門前払いされなければ、ほぼ100%医師に問い合わせがあると考えられます。しかしぽん太のこれまでの経験では、問い合わせがあったのはわずか数人か十数人ほどですから、多くのケースでは門前払いされていたと推定されますが、その実態はぽん太は把握できていません。そしてぽん太が診断書を書いた場合は、大雑把に言うと、統合失調症はだめ、うつ病はほとんどだめ、神経症圏はかなり大丈夫、という結果だったように思います。

 しかし考えてみると、たとえば統合失調症は一般の人に比べて、保険加入を断るほど死亡率が高いのか疑問があります。またうつ病でも、症状が消失して何年もたっており、再発予防のために少量の抗うつ剤や睡眠薬を使っている程度の場合、保険加入を拒否する必要があるのでしょうか?  リスクを科学的に検討したうえで加入を拒否するのなら仕方がない面もありますが、精神疾患というだけで門前払いしているのだとしたら、それは一種の差別だとぽん太は思うのです。
 町医者で情報が乏しいぽん太は、精神疾患と生命保険加入に関する研究論文や文献を知りません。またググってみても、はっきりとした情報はみつかりません。
 そこでぽん太は、某保険会社に電話して、統合失調症のばあい生命保険に入れるかどうか聞いてみました。その答えは、「統合失調症だからといって入れないということはないが、現在の状態についてありのままに告知していただき、その全体を見て判断する」というものでした。なるほど、優等生的で見事な答えですが、「実際に」生命保険会社がどのように判断するかは、わからないままです。

 精神疾患と生命保険加入の問題はとても大切な問題だと思うので、研究者のかたはぜひデータを出していただき、問題があれば学会などを通じて生命保険会社に要望して欲しいとぽん太は思うのです。あるいは何か情報をご存知でしたら、ぜひ教えて下さい。

|

« 【登山】北岳・間ノ岳・塩見岳を縦走 | トップページ | 【温泉】青木鉱泉は禅寺のように心が澄みわたる(★★★★) »

精神医療・福祉」カテゴリの記事

コメント

 タカムンさん、貴重な情報ありがとうございます。
 この記事を書いたのは6年前ですが、今でも時々閲覧してくださっている人がいるようで、精神障害でも入れる保険に対する関心がいかに高いかを感じておりました。しかし残念ながら、ぽん太自身が調べることができずにいました。
 患者さんから問い合わせが会ったときは、タカムンさんの情報をお伝えしたいと思います。

投稿: ぽん太 | 2012/08/09 16:48

統合失調症でも加入できる医療保険は、アリコの『ずっとあなたと』と、アメリカンホーム保険の『持病のある方でも安心 みんなのほすピタる』です。 できるだけ、デパートや大型ショッピングセンター内にある、保険の総合ショップで対面販売で医療保険に入りましょう。 店長さんが保険会社と交渉してくれます。 アフラックとオリックス生命・チューリッヒ生命は、門前払いです。

投稿: タカムン | 2012/08/09 04:41

ぽん太さん
お忙しいのに ご返事ありがとうござました。

新しい生命保険を拒否されてしまうなんて 残念極まりありませんね。
しかしこういうことをブログ上で書いていただけることに感謝です。
このような難しい病気になってしまった現実は やはり家族がどれだけの情報を得ていくのかが非常に大事ということでしょうか。

しかし 家族は生活に追われ 稼ぐことで精一杯の家庭が ほとんどを占めております。
家族会へ出かける時間さえ惜しみながら働き…という家庭が多いように感じます。

私たちの支援センターでも延300名の登録ですが 家族の会のメンバーは20名を欠けています。

世の中が 変わっていくことを望みつつ やはりその底力は 家族の声に尽きるのではと思います。

大それたことは考えてはいませんが 目に見える範囲のご家族の方が 心豊かに暮らせる毎日になることを夢見てやまないkooです。

本当に ありがとうございました。
このような たわごとにご返事いただき 感謝申し上げます。

kooのブログ
「晩年の憂鬱」と題しておりますが 覗いてやってくださいませ~♪

この「憂鬱」の意味が分かるのは ごく一部の方ですので・・・・ははは~

投稿: koo | 2011/08/20 22:39

kooさん、コメントありがとうございます。
精神障害と保険の関係は、ぽん太は昔からおかしいと思っていたのですが、一般にはあまり取り上げられていません。
その理由のひとつは、kooさんがおっしゃるように、精神障害者は常日頃から差別され、社会の片隅で生きざるをえない立場に置かれているため、保険に入れなくても「仕方がない、我慢するしかない」と考えてしまうからかもしれません。
また医者が、病気に関する科学的研究は得意であり、力も注いでいるのに対し、精神障害と保険という社会的問題には関心がなかったり、それを扱う知識も不足しているからかもしれません。誰か「社会精神医学」の専門家あたりが保険に詳しい研究者と共同して、研究してくれるとありがたいのですが。
ぽん太が最近経験したものでは、せっかく発病以前から入っていた生命保険があったのに、保険の外交員に掛け替えをすすめられて解約してしまい、しかも新しい保険の加入を拒否されたという事例もありました。おかしな話しですね。

投稿: ぽん太 | 2011/08/19 14:17

私の事例を書かせていただきます。
今月終わりで37歳の息子。
17歳で「統合失調症」を発病しました。
入院は発祥のときに20歳前に二度経験があり その後は17年近く他の病も無く入院経験は無です。
22歳くらいで入院保険に病名を告げず入りました。(秘密にしたわけでもなくすすめられるままです)
その後10年目で生命保険に入ろうと 幼い時からの知り合いの保険屋に わが子が「統合失調症」であることを 勇気を持ち告白。
かなり経験豊かな保険屋でしたがその病名を全く理解しませんでした。(精神分裂病ならわかったでありましょう)
生命保険会社は「東〇海上日動あんしん生命株式会社」です。
友人である保険屋は 自分だけで判断できないので後日返事をくれるということになりました。
一か月ほど待ち答えをいただきました。
残念ながら「統合失調症」は一切の保険に入れないというのが 会社側のまとまった意見でした。
それも仕方がないと思ったのがその時の気持ちです。なぜ仕方がないと その時思ったのかさえ 今は思い出せません。きっと人生の片隅を罪人のごとく小さくなって 手で顔を隠しながら過ごしていた自分が思い当ります。
しかし22歳で病気を申告しないで入った入院保険は 保険入会後息子の入院経験が無く 全く健康であるという理由で「お情けであえて許す」との回答でした。そういう説明でした。
罪人のごとく我を感じていましたから その時点では お上のふかぁ~~いお情けに涙でもしたのではないかと思われます。

薬を飲んでいるから病気になるリスクが高いとか なんかしでかして保証が増えるとか 断られた理由を いろいろ考えましたが答えが見つからず 所属しているある有識者の会合でここの市でも有名な精神科病院の院長さんに この事情を話したところ
「保険会社の無知以外の何物でもないだろう」という意見をいただきました。
精神病患者が 保険に入れないことに対して 患者 または家族が大声を上げない限り この問題は あやふやのまま終わると思います。
ただ黙って 保険会社に断られても仕方ない的な昔の風習にとらわれた思考回路は やはり患者から家族から変えていかないと何も変わらないような気がします。

あの時 母親の私がもっと保険会社と交渉すれば 何とかなった話なら私は勇気を出して 交渉したでしょうに。

あれから薬のこと 精神法 いろいろ学んできましたので今ならば掛け合う勇気がありますが もう親のほうが定年で経済的余裕がなくなる年になりました。

これからの人々を考えると
立ち上がれ!母親たち! という思いで一杯です。

差別と言えば簡単ですが 差別のない社会はありません。あって当然です。
しかし そこで何をするのか?
差別はなくならなくてもいいのです。
差別された側がどういう行動を起こし 主張し そういう考えはおかしいのではないのか?と 社会に提示して その差別の内容を修正していくことだと思います。

白人社会と黒人社会はどうでしょうか?
いまだに全く消えたとは言えません。

でも アンクルトムの時代から黒人の大統領が出る時代へと世の中は変わりました。
差別の中でどう生きていくのかを 教えるのも これからの家族会 患者の親の役目です。

そう考えております

投稿: koo | 2011/07/15 23:05

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/74997/11631602

この記事へのトラックバック一覧です: 統合失調症だと生命保険に入れないの?:

» 統合失調症 [統合失調症コミュニティ]
統合失調症コミュニティ・・・ [続きを読む]

受信: 2006/08/28 00:26

» 統合失調症 [統合失調症インターネット家族会]
統合失調症インターネット家族会・・・ [続きを読む]

受信: 2006/08/28 08:40

» 失礼致します。 [うつ病を克服しストレスフリーな生活を手に入れる方法]
うつに関するブログ書いています。よろしければご覧になっていただき参考になることがあれば幸いです。(このトラバが迷惑な場合削除願います。) [続きを読む]

受信: 2006/09/03 01:13

« 【登山】北岳・間ノ岳・塩見岳を縦走 | トップページ | 【温泉】青木鉱泉は禅寺のように心が澄みわたる(★★★★) »