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2006/09/14

【ラカン『精神分析の倫理』】カタルシスとアリストテレス

 誰も覚えていないでしょうけれども、ぽん太はラカンの『精神分析の倫理 下』を細々と読んでいたのでした。前回は6月5日でした。別に個人の趣味で読んでいるだけですから、まったく急ぐ必要はないのです。今日はちょっと時間ができたので、久々に少し読み進めてみましょう。118ページの6行目からです。

 ラカンはカタルシスについて論じているのですが、次はギリシア時代における「カタルシス」の意味です。医学的に「正常に復すること」や、儀式的な浄化といった意味があったそうですが、いまは深入りしないでおきます。
 次の段落ではドン・ランバンという16世紀の人を挙げていますが、この人が誰なのか、ぽん太にはまったく見当がつきません。
 さて、13行目からいよいよアリストテレスが取り上げられます。アリストテレスとカタルシスといえば、なんといっても『詩学』の第6章における悲劇の定義が有名です。ぽん太が持っている『詩学』(松本仁助他訳、岩波文庫、1997年)では34ページですが、「悲劇とは……あわれみとおそれを通じて、そのような感情の浄化(カタルシス)を達成するものである」と書かれています。
 とっても有名な一節ですが、じゃあその意味は何ですか?というと、実はいろいろな説があって、よくわからないようです。この岩波文庫版には、カタルシスという言葉に訳注がついています。そこには「カタルシス(katharsis)という語は、主として、医療において身体のなかから害をなすものをとり除くこと、すなわち瀉出(purgation)という意味と、宗教的な浄め(purification)、例えば浄めの儀式、という意味で用いられた。アリストテレースは『詩学』においてこの語について説明していないので、その意味についてさまざまの推測がおこなわれてきた」(139ページ)と書かれています。このあたりが、先ほどラカンが6行目から12行目にかけて言っていたことだと思われます。
 ラカンは『詩学』に関して、「ご存知と思いますが、『詩学』はその一部、だいたい半分しか現存していませんから」と書いておりますが、岩波文庫版『詩学』の解説において、『詩学』はもともと講義ノート、草案、メモだった考えられており、第二巻では喜劇について論じられていたと推測されるけれども、現存の写本ではこの部分は無くなっていると書かれています(313ページ)。
 次いでラカンは、アリストテレスの『政治学』を取り上げます。ぽん太が持っているのは『政治学』(牛田徳子訳、京都大学学術出版会、2001年)です。そこには「『浄化』でもって何を意味するかに関しては、いまは説明ぬきでこの語を使うことにし、詩学の論述のなかでふたたびそれを取りあげて、もっと精密に語ることにする」(425~426ページ)と書かれています。ここの訳注では、現存する詩学が「カタルシス」について簡単に触れているだけであることを指摘したうえで、その部分が散逸してしまったか、アリストテレスが約束を果たさなかったのかどちらかだろうと述べています。
 「カタルシス」について触れられている『政治学』の第8巻は、教育がどうあるべきかについて書かれている部分で、アリストテレスといえば抽象的・観念的な哲学的議論ばかりしているひとだと思い込んでいたぽん太は、少しびっくりしました。

 さて、ちと疲れて来たのでここらでやめにして、次回は119ページ2行目から、アリストテレスの『政治学』についいて論じている部分を読んでいきましょう。

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コメント

コメントありがとうございます。
たいへん恥ずかしながら、そこから後は存在しません。気力が失せて中断しております。このブログはあくまでも「みちくさ」ですので、ひらにご容赦を。
また意欲が戻って来たら、再開したいと思います。

投稿: ぽん太 | 2012/02/18 19:02

はじめまして。
最近発見し、活用しています。
ありがとうございます。
次回の119ページ2行目から、アリストテレスの『政治学』について論じている部分の記事を見つけることができませんでした。
教えていただけないでしょうか?

投稿: | 2012/02/05 23:48

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