« 清春芸術村は社会に背を向けたスノッブな空間だ | トップページ | 【酒屋】甲府市湯村温泉の三枝酒店は地酒が充実(★★★★) »

2006/09/03

作業所に年齢制限ーーで、どこに行けばいいの?

 全国的なのか、東京都だけなのか、ぽん太の開業している地域だけなのかわかりませんが、作業所に年齢制限が設けられつつあります。
 数年前に75歳以下という年齢制限が設けられ、その後は毎年2歳ずつ年齢制限が若くなり、最終的には65歳まで引き下げられるそうです。具体的には、年齢制限を超えた人に関しては作業所に対して補助金が降りないようです。
 で、年齢制限が設けられた根拠ですが、「作業所というのは働くところである。健康なひとでも65歳で退職するのが普通である。だから65歳以上のひとが作業所に通う必要がない」というのが市の言い分だそうです。しかしこれは重要な点を見逃していて、精神障害の作業所は、たんなる就労施設ではなく、作業やレクリエーションを通して能力を高めるリハビリテーションの施設でもあり、生活全般の支援をする場でもあり、もろもろの悩みごとの相談も受ければ、友達作りの場、日常の居場所でもあるわけです。
 作業所を辞めたあと、障害者のひとたちはどこに通い、どこで上記のようなサービスを受ければいいのでしょうか?
 「介護保険を使え」というのが市の考えのようですが、精神障害者の場合、認知症や寝たきり老人とは違って、足腰が悪いわけでもないし、身の回りのことができないわけでもありません。従って介護区分の判定が軽くなってしまい、利用できるサービスが少なくなると思われます。また現時点では、高齢の精神障害者専門の介護保険施設はありません。ところが認知症と精神障害とでは、関わり方や対応の仕方が大きく異なります。認知症のひとたちのなかに、ぽつんと精神障害のひとが混ざっているのは、ご本人にとっても、介護施設にとっても、いいことではありません。
 なぜこのような無意味なことが行われたのか考えてみると、推測ですが、一般の福祉予算をなるべく減らして、(税金も投入されていますが)保険料を使い、民間企業が参入している介護保険に振り替えていこうとしたのだと思います。「民間でできることは民間で」という流れに乗っているのでしょう。ところが2005年9月1日の郵政選挙のどさくさで、十分な審議もされないままあっというまに「障害者自立支援法」が成立し、2006年4月1日から施行されました。この自立支援制度は、おそらく将来的には介護保険と一体化する見通しです。結果として作業所に65歳の年齢制限を設けた意味がぼやけてしまったようにぽん太には思えます。
 で、理屈はともあれ、実際問題として年齢制限にひっかかって作業所を辞めるひとが出て来ているわけですから、早急に次のような対応が必要と思われます。第一に、介護保険の介護度の認定にあたって、精神障害に特有な判定項目を加えること。第二に、高齢の精神障害者専門の介護施設を作ることです。
 ぽん太のクリニックでは、すでにひとり年齢制限にひっかかって作業所を辞めた方がいらっしゃいます。ご家族の協力もあり、介護保険のデイサービスに週2日だけ通うことになりました。70歳以上の高齢になって、20年近く通い続けたところを去り、まったく新しい環境に入るのは大変なストレスでした。「何でもやってくれて楽です」とおっしゃっておりますが、この患者さんは精神障害による思考障害はあるけれど、認知症の症状はほとんどありません。認知症の人たちの間に入り、逆に能力を失わないか心配です。
 現場のわれわれは、福祉難民が作り出されていくのを手をこまねいて見ているしかないのでしょうか?

|

« 清春芸術村は社会に背を向けたスノッブな空間だ | トップページ | 【酒屋】甲府市湯村温泉の三枝酒店は地酒が充実(★★★★) »

精神医療・福祉」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/74997/11741435

この記事へのトラックバック一覧です: 作業所に年齢制限ーーで、どこに行けばいいの?:

« 清春芸術村は社会に背を向けたスノッブな空間だ | トップページ | 【酒屋】甲府市湯村温泉の三枝酒店は地酒が充実(★★★★) »