« 【登山】紅葉の子持山はなかなかえ〜よ(★★★★) | トップページ | 【温泉】白井温泉こもちの湯は250円で源泉掛け流し(★★★★) »

2006/11/11

【医療】「赤ちゃんポスト」は既に18世紀に存在した

 2006年11月9日の朝日新聞に、「熊本の病院が「赤ちゃん引き取りポスト」、賛否両論」という記事が出ていました。
 この記事には、「熊本市の慈恵病院(蓮田晶一院長)が、様々な事情で子育てができない親が乳児を託す『赤ちゃんポスト』の導入を決めた。『こうのとりのゆりかご』の名で年内にも受け付けを始める方針。病院側は『捨てられて命を落とす赤ちゃんや中絶せざるを得ない母親を救いたい』と説明するが、子捨ての助長につながるとの意見もあり、論議を呼びそうだ」と書かれています。
 赤ちゃんポストは、他人と顔を合わせることなく赤ちゃんを捨てることができる装置で、不謹慎な言い方で恐縮ですが、いわば捨て子の「むじんくん」です。病棟の外壁に穴をあけて窓口とし、そこから室内にある保育器に赤ちゃんを入れられるようになっていて、自動的に鳴るブザーによって助産師らが駆けつけるのだそうです。
 はたして赤ちゃんポストはいいのか悪いのか、という議論はここでは止めておきます。ただぽん太が気になったのは、この記事のなかの「同様の制度は00年にドイツ・ハンブルクで生まれた」という記述です。いいえ、赤ちゃんポストの歴史は遥か昔の18世紀フランスにまで遡ります。それはドンズロの『 家族に介入する社会ー近代家族と国家の管理装置』(新曜社、1991年)の28ページから33ページにかけて書いてあります。
 それは「捨て子収容口」(tour)と呼ばれ、1758年にルーアンの捨て子療育院で初めて使われました。施設の壁に、上下の軸を中心に回転する円筒が取り付けられています。一方は開いているのですが、普段は閉じた側が外に向けられています。赤ん坊を捨てにきた母親が鈴を鳴らして合図をすると、職員が筒を180度回転させ、開いた側が外側を向きます。そこに赤ん坊を入れると、職員は再び180度筒を回転させ、赤ん坊が施設のなかに収容されるという仕組みです。
 この「赤ちゃんポスト」が作られた理由ですが、当時は教会や金持ちの大邸宅や修道院の入り口に捨て子をするという習慣があったのですが、捨てられた赤ちゃんが発見されるまでに死んでしまうことが多かったからです。
 「赤ちゃんポスト」は捨て子療育院のあいだに広がり、1811年には269カ所になりました。それに伴って、捨て子の数も爆発的に増えたようです。サン=ヴァンサン=ド=ポール修道会の捨て子療育院に収容されていた捨て子は、1740年には3150人でしたが、1784年には4万人、1826年には11万8千人、1833年には13万1千人にまで膨れ上がったそうです。
 当時も「赤ちゃんポスト」の設置に関しては、賛成と反対の意見がありました。しかし次第に反対の声が強くなってきます。その理由は、「赤ちゃんポスト」の設置はもともと私生児のためのもだったのに、捨て子のなかに多くの嫡出子がいることがわかってきたからです。さらに極度の貧しさから子供を捨てるだけではなく、経済的余裕があるのに子供を捨てる親が出てきたのです。捨て子を育てる養母に手当が出ることになったため、親と療育院の職員が結託して、赤ちゃんをいったん捨ててから養母として再び引き取ることによって、手当をもらうというインチキ行為が蔓延したのです。結局1837年には、捨て子を療育院に収容する方針を改め、在宅のまま母親に補助するという制度が提案され、1860年には「赤ちゃんポスト」は全廃されました。この、子供を持つ母親に対する補助が、やがて現代の家族手当に引き継がれているのだそうです。
 ルーアンの捨て子収容口から250年たって復活した「赤ちゃんポスト」がどうなるのか、今後の成り行きが注目されるところです。

|

« 【登山】紅葉の子持山はなかなかえ〜よ(★★★★) | トップページ | 【温泉】白井温泉こもちの湯は250円で源泉掛け流し(★★★★) »

精神医療・福祉」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/74997/12635740

この記事へのトラックバック一覧です: 【医療】「赤ちゃんポスト」は既に18世紀に存在した:

» 赤ちゃんポスト(こうのとりのゆりかご) [ミニチュアダックスフント@飼い方辞典]
TB失礼致します。「赤ちゃんポスト」について私はこう思うのですが・・・ [続きを読む]

受信: 2006/11/11 20:21

« 【登山】紅葉の子持山はなかなかえ〜よ(★★★★) | トップページ | 【温泉】白井温泉こもちの湯は250円で源泉掛け流し(★★★★) »