【南イタリア旅行】アグリジェントのギリシア神殿は柔らかく暖かい
アグリジェントはシチリアの西部に位置する街で、神殿の谷と呼ばれる斜面に、古代ギリシアの遺跡が点在しています。有名な観光地なので、情報や写真が必要な方は、各自ググってくだされ。
さて、ギリシアのパルテノン神殿などは大理石で造られていて、崇高ではありますが、どこか威圧的で近寄りがたく、冷たい印象があります。しこかしアグリジェントの神殿は、砂岩だか凝灰岩だかでできているので、色も風合いも柔らかく暖かです。シチリアの緑に満ちあふれた温暖な気候風土と、とてもマッチしていました。今年は日本と同じくシチリアも暖冬だそうで、早くもアーモンドの花が咲いていました。
さて、ゲーテの『イタリア紀行 中 (2)』(相良守峯訳、岩波文庫、123〜135ページ)を読むと、ゲーテは1787年の4月23日から4月28日までアグリジェントに滞在したようです。この時代、アグリジェントはジルジェンティと呼ばれていたようです。
パレルモから南下して4月23日にアグリジェントに到着したゲーテは、神殿の谷を見下ろす街のなかに宿をとりました。翌朝、ゲーテは「今朝の日の出に見たような美しい春の眺めは、生まれて以来未だ曾て出会ったことがない」と書いて、この地に最高級の賛辞を贈っています。その日は市街を観光し、25日に神殿の谷に降りて行きましたが、文章の端々からゲーテの感動と興奮が伝わってきます。これに先立つ3月23日、ゲーテはナポリ近郊のパエストゥムを訪れ、ギリシアの遺跡を見ているのですが(前掲書、56〜59ページ)、こちらには戸惑いを感じたようで、「この鈍い円錐形をした窮屈に押し合っている柱は、われわれには煩わしくむしろ恐ろしくさえ思われるのである」(60ページ)という第一印象を書き残しています。残念ながらぽん太はパエストゥムには行かなかったので、はたして両者の建築にゲーテが感じたような違いがあるのかどうかまでは、わかりません。
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