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2007/03/10

【福祉】生活保護の母子加算廃止と赤ちゃんポスト設置は、過去の歴史に逆行

 みなさん、お久しぶりです。
 しばらく冬眠していたぽん太ですが、暖かいと思って起きてみたら、まだ3月上旬ですか。ことしの暖かさは異常ですね。

 で、冬眠から目覚めたばかりの寝ぼけ眼に、次のような記事が飛び込んできました。
 『母子加算』段階的廃止の代償、月1万円の就労促進費(読売新聞、2007年3月5日)。
 母子加算とは、15歳以下の子供を育てている生活保護世帯に対して、地域によって異なりますが月額2万数千円を加算する制度です。政府はこの母子加算を段階的に引き下げ、2009年度には全廃する方針なのだそうです。
 理由のひとつとして、生活保護を受けずに働いて暮らしているひとり親世帯よりも、生活保護世帯の収入の方が多いことがあげられています。「公平を期するときは悪い方に合わせる」というのが政府の常套手段ですが、今回もその通りとなりました。
 ぽん太が以前の記事「【医療】「赤ちゃんポスト」は既に18世紀に存在した」(2006/11/11)で書いたように、18世紀にフランスで赤ちゃんポストが設置されましたが、その後捨て子が激増したため、捨て子を療育院で育てるという方針を改め、在宅のまま母親を補助するという制度が19世紀に出来上がったのです。昨今の日本における赤ちゃんポストを設置し、母子加算を廃止するという措置は、この歴史的な流れに逆行しております。果たしてどのような結果になるのか、目を凝らして見て行かなければなりません。

 ぽん太は毎日の診療を通して、現行の生活保護制度は働く意欲を奪う制度だと感じています。生活保護は、収入が最低生活費に満たない場合、その差額を補助するというものです。ということは、働いてお金を稼いでも保護費が減らされるだけで、最低生活費を超えた収入を得て、初めて自分の生活費が増えることになるのです。例えば一人暮らしの障害者は、正確な額は分かりませんが、家賃込みで月13万円くらいの保護を受けているとします。この障害者が作業所で働いて月2万円の収入を得たとしても、保護費が2万円減らされるというのが現行の制度です。月に13万稼いでも収入は増えず、それ以上稼ぐとやっと収入が増えるのです。しかし多くの障害者は、13万以上稼ぐのは困難です。ですから、どうせ頑張って働いても保護費を減らされるだけだし、ほどほどに働いてのんびり暮らせばいいや、ということになるわけです。働けば多少でも収入が増えるようにできないものでしょうか。(2007/03/16修正。「生保ワーカー」さんにコメントいただいて調べたところ、収入の全額分の保護費を減らされるのではなく、就労意欲を高めるため、収入の一部が手元に残るように基準が決められているそうです。訂正してお詫び申し上げます)。

 一人親世帯に話しを戻すと、冒頭の記事によれば、政府は、働いて月収3万円以上の収入を得ている働く一人親世帯に月1万、職業訓練中の世帯に月5000円の就労促進費を支給する制度を2007年度に創設するのだそうです。生活保護から抜け出すための就労を促す狙いだそうですが、そもそもこれまでの保護費よりも減額になっているのですから、働いても収入は減るけど、働かないともっと減るよと脅しているようなもので、タヌキを巣穴から煙でいぶり出すのと同じです。
 格差社会はまだまだ進んで行くようです。

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精神医療・福祉」カテゴリの記事

コメント

 でぶネコ肉球団さん、コメントありがとうございます。「クオーレの時代」は読んだことがありませんでした。御情報ありがとうございます。物議をかもした赤ちゃんポストも、いまのところ「やたらめったら捨てる」ということにはならずに運用されているようで、とりあえずは良かったです。でもたしかに「大きな流れ」が悪い方に行っていないか、という心配は消えません。
 

投稿: ぽん太 | 2008/08/29 14:15

私自身、もう何年も神経症と同居しているので精神医療・福祉の歴史にはとても関心が高いです。赤ちゃんポストの歴史も含めて書いてみたいと思います。19世紀イタリアでも修道院などで、「回転箱」と呼ばれる、赤ちゃんポストが存在していました。捨てる人が回転箱の街路側から回して院内の修道女が受け取るというぽん太さんが記述した仏式と同様のものです。20世紀初頭までに廃止されたようですが、今世紀にローマでまた復活しました。詳細は「クオーレの時代」藤澤房俊著(ちくま学芸文庫)に載っています。赤ちゃんポスト復活やら凶悪犯罪やら今日では以前のように「命を大切に」とあまり耳にしなくなったような気がします。子作りは夫婦でよくよく考慮してするべきなのに「できちゃった婚」とは、なし崩し的に子どもを“作った”から結婚というイメージがあって感心できません。少々思考が古いと思われるかもしれませんが、もっと「命」の大切さをクローズアップして欲しいと思います。

投稿: でぶネコ肉球団 | 2008/08/26 23:47

生保ワーカーさん
この過疎のブログにコメントありがとうございます。
就労した場合、自己申告の経費を除いて、実質的な収入は保護費から減額されるものとぽん太は思い込んでおりました。
ご指摘の件、改めて調べてみます。今後もご指導お願いします。

投稿: ぽん太 | 2007/03/11 15:21

生活保護の母子加算廃止と赤ちゃんポスト設置を同位置において議論するのは、無理があるのではないだろうか。
それと、生保受給者が就労した場合、全額を収入と扱うわけではない(結果として、働けば総収入は増える)。
もうすこし、制度について調べてから記事を書くべきでは?

投稿: 生保ワーカー | 2007/03/10 19:57

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