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2007/08/06

【松之山】大棟山美術博物館(坂口安吾記念館)、マリア観音、天水山のブナ林

 兎口温泉植木屋旅館に泊まったぽん太とにゃん子は、松之山のプチ観光をいたしました。こちらが松之山観光協会の公式ホームページです。松之山という地名は知らなくても、「婿投げ」の行事をテレビで見たことはありませんか? 松之山から嫁をもらったお婿さんを、はらいせに(?)崖から雪のなかに投げ落とす行事です。こちらの松之山商工会のページからは動画も見ることができます。

大棟山美術博物館(坂口安吾記念館) さて、まず訪ねたのが大棟山美術博物館。こちらが大棟山美術博物館の公式ホームページです。松之山の豪農にして造り酒屋であった村山家を改装した建物で、博物館としては、明治時代以降に買い集めた美術品が展示してあります。
 しかしそれよりも村山家は、坂口安吾の叔母と姉が嫁いだことで有名です。安吾もたびたび同家を訪れたそうで、坂口安吾ゆかりの品々が展示されており、同時に坂口安吾記念館でもあるのです。
 ホームページによれば、『黒谷村』『逃げたい心』『不連続殺人事件』などの作品は松之山を舞台としているのだそうで、せっかくの縁なので、東京に戻ってから読んでみました。ちなみに講談社文芸文庫の『木枯の酒倉から・風博士』を買うと、『黒谷村』と『逃げたい心』が両方入っていてお得です。『不連続殺人事件』はあちこちの出版社で出てますネ。
 『黒谷村』には「松之山」という地名はでてきませんが、「黒谷村」そのものが松之山をモデルにしているのでしょうか? それにしては黒谷村には温泉がないようですが。そうだとすると「それは二人が打ち連れて間道を抜けながら隣字の温泉ーーといっても一軒の宿屋が一つの浴槽を抱えているにすぎなかったのであるがーーへ浸りに行く途中のこと……」(前掲書、47ページ)と書かれている温泉は、兎口温泉なのでしょうか。
 『逃げたい心』では、長野にいた主人公一行がひなびた温泉で休養したいということになり、「松の山」温泉に向かいます。「温泉といっても特別何病にきくという建前があるのでもなく、病人はめったに来ない温泉で、小金を握った近在の農夫達が積年の垢を落としにくるというのんびりした湯治場だった」と、昭和初期の松之山温泉の様子が描写されています。ちなみにこの短編が発表されたのは昭和10年です。さらにぽん太が泊まった植木屋旅館と思われる宿も出てきて、「松の山温泉から一里はなれた山中に兎口(おさいぐち)という部落があり、そこでは谷底の松の山温泉と反対に、見晴らしのひらけた高山に湯のわく所があった。一軒の小さい湯宿があるばかりで、殆んど客はないのであった」(前掲書、349ページ)と書かれています。「兎口」は現在は「うさぎぐち」と読むようですが、昔は「おさいぐち」と読んだのでしょうか、それとも安吾の創作でしょうか。また、主人公が兎口から松の山に戻る途中の山道で、頭の上から大きな石が落ちてくるのですが、現在その場所とおぼしきところに案内板が立てられています。
 『不連続殺人事件』は以前に読んだことがあるのですが、ぽん太の狸脳のおかげで、犯人も含め内容をすっかり忘れており、もう一度楽しむことができました。ありがとう!狸脳。ここにも松之山という地名はでてきませんが、殺人が行われる歌川一馬の邸宅がある村のモデルが、松之山なのかもしれません。村の近くには鉱泉が出る部落があり、鉱泉宿が一軒あるとされています。これが兎口温泉かもしれません。この小説の舞台設定は戦後間もなくの昭和22年で、小説が連載されたのも同じ年です。主人公は鉱泉宿に売れ残りのカルモチンを探しに行きます。ちなみにカルモチンは睡眠薬で、太宰治や金子みすゞが自殺目的で使ったことでも有名です。成分はブロムワレリル尿素で、現在でもブロバリンという名前で睡眠剤・鎮静剤として用いられています。またなぜかブロムワレリル尿素は処方せん医薬品ではないため、医師の処方せんなしで買えることになっており、痛み止めの市販薬ナロンエースやサリドンエースに含まれています。
 ところで昨年は坂口安吾の生誕100年だったそうですが、ぽん太はちっとも知りませんでした。

松之山の松陰寺マリア観音 さて、次はマリア観音です。松陰寺というお寺の一角にあり、無料でガラス越しに拝観することができます。高さ30センチ程度の小さな像です。マリア観音は子供を抱いており、冠に十字架があしらわれています。子供の像と冠は取り外せるようにできているそうです。隣りにはマリア地蔵もあります。

天水山付近のブナ林 大厳寺高原の奥、天水山近くのブナ林です。松之山には美人林(びじんばやし)と呼ばれるブナ林もありますが、炭焼きのために伐採された跡地に生えたものだそうで樹齢が若く、登山でブナの大木をあちこちで見ているぽん太とにゃん子にはちともの足りません。そこで、長野県との県境付近にある天水山のブナ林を見に行きました。美しいブナ林でしたが、こちらも大木は見当たらず、過去に伐採されているのかもしれません。
 帰りに大伴家持で有名な鏡が池(かがみがいけ)も見て行こうと思ったのですが、林道が一部通行止めになっていたため、寄らずに帰途につきました。

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