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2007/08/02

「精神障害者の移送に関する事務処理基準について」をアップしました

 先日ぽん太は、ここ一年ほど薬も飲まずに家に閉じこもっていた患者さんを、ご家族と相談したうえ、民間の警備会社を利用して強制的に病院に連れて行き、入院させました。民間警備会社の相場も、以前は数十万円かかりましたが、今回は十万円以下でとってもお得でした。しかもその会社は、警備員が全員フランス外人部隊出身ということなので、どんなに暴れる患者さんでも安心です……というのは、ぽん太のせいいっぱいの皮肉です。

 病気で入院が必要な患者さんを、民間の企業を使って力づくで病院に連れて行くというのは、きわめて異常な事態です。人権上の問題もありますし、ご家族にも大きな経済的負担となります。しかし、もちろん救急車は運んでくれず、警察もその場で犯罪行為をしていないと保護してくれないという現状では、いたしかたありません。
 こうした問題を解決するため、もう8年も前になる平成11年の精神保健福祉法の改正で、「第34条、医療保護入院等のための移送」という条文が新設されたのでした。これは、医療保護入院が必要でありながら、入院の必要性が理解できず入院を拒否する患者さんを、行政の責任で指定医が診察して病院に連れて行くという制度です。そんなにすばらしい制度があるのなら、それを使えばいいじゃないかということになりますが、実際その制度は東京都では運用されていないということを、ぽん太は以前の記事で書きました(東京都はちゃんと34条の移送を実施しなさい!2005/02/0東京都の精神障害者の移送(34条)サボタージュに再びもの申す!2005/07/02)。
 ちなみにその後のデータを見てみましょう。厚生労働省統計データベースから「厚生労働省統計データベースシステム」に入り、さらに「統計調査一覧」にすすみ、「衛生行政報告例(旧厚生省報告例(衛生関係))」を選択します。右側のフレームから平成16年度を選び、「第3表 医療保護入院・応急入院及び移送による入院届出状況、都道府県ー指定都市(再掲)別」を開きます。この表の右から3番目と2番目にある、「移送による入院」の「保護者の同意による入院届出数」と「扶養義務者の同意による入院届出数」が、おそらく医療保護入院のための移送になるのだと思うのですが、ご覧のとおり東京都は1人、全国は159人です。同じように平成17年度をみると、東京は2人、全国は111人です。
  法律で8年前に決められたことを行政がいまだに十分に運用しないということが、何で許されており、何で批判が高まらないのか不思議です。そこでぽん太は、この問題を少しでも皆に知ってもらうようための助けとして、「精神障害者の移送に関する事務処理基準について」という通知をアップすることにしました。デジカメで撮ってPDFファイル化したので、重いうえに読みにくくてすみません。誰かもっと上手にアップして下さい。

・「精神障害者の移送に関する事務処理基準について」(PDF)
 (平成十二年三月三十一日 障発第二四三号 各都道府県・各政令指定都市市長宛 厚生省大臣官房障害保健福祉部長通知)
 注 平成一三年八月六日障発第三三五号による改正現在

 この通知が平成13年以降に改正されているのかどうか、ぽん太は知りません。
 さて、ファイルの7ページ目からが医療保護入院の移送になるのですが、「2 移送に係る相談の受付」では、「都道府県知事は、移送に係る相談を受け付ける体制を整備しなければならないものとする。また、移送制度及び相談の受付窓口について周知に務めるとともに、受付窓口は利用者が利用しやすい体制となるよう配慮するものとする。」と書かれています。さて、東京都は受付窓口の周知に務め、利用者が利用しやすい体制となるように配慮しているでしょうか?
 調べてみると東京都は保健所が窓口になっているそうで、以前に家族に「34条の移送を申し込みたい」と相談に行ってもらったところ、「保健所は警察沙汰のようなケースしか動かない」とか「この制度を使うと遠い病院に入院になってしまうので、使わない方がいい」とか言われて、移送の申し込みをしないように誘導されたようです。結局そのケースも、民間の警備会社を使っての入院になりました。
 だいぶ前に東京都に苦情のメールを出したところ、「この制度は人権に係るので慎重に運用している……」といった返事がきたのですが、民間人がお金をとって力づくで患者さんを病院に連れて行くことの方が、よっぽど人権無視だと思います。東京都は責任を取りたくないだけではないでしょうか?
 ぜひ、この通知を多くの人が読んでいただき、このように明文化されていることを東京都が実施していないことを理解し、批判していただきたいと思います。

 で、ググっていたら、東京精神保健福祉士協会のホームページのなかに「精神保健及び精神障害者福祉に関する法律 第34条に関わる相談業務の手引き —案—」という文書がアップされているのを発見しました。東京都衛生局精神保健福祉課が作成したものだそうですが、いつ頃のものでしょう?たいへん立派な文書です。ぜひこれに従って制度を運用していただきたいと思います。

【関連するブログ内の記事】
東京都の精神障害者の移送(34条)サボタージュに再びもの申す!(2005/07/02)
ぽん太のみちくさ精神科: 東京都はちゃんと34条の移送を実施しなさい!(2005/02/05)

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コメント

 コメントありがとうございます。大変な状況のようですね。何とかお力になりたい気持ちはやまやまなのですが、過疎ブログとはいえ、不特定多数が見ているインターネット上で特定の警備会社をご紹介することは、申し訳ありませんが控えさせていただきます。入院させる病院の医療相談室などで相談すれば、紹介してくれる場合が多いと思います。患者さん・ご家族双方にとってよい結果となるよう祈っております。

投稿: ぽん太 | 2008/04/18 18:46

はじめまして。身内に統合失調症の恐れのある者がおり、警備会社による病院への移送を考えておりますが、どちらも高額で参っております。お勧めの会社を教えて頂けませんか?よろしくお願い致します。

投稿: | 2008/04/18 16:10

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