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2007/11/14

【歌舞伎】2007年11月歌舞伎座昼の部(「傾城反魂香」、「曽我綉侠御所染」など)

 顔見世大歌舞伎の昼の部を見てきました。
 まず「種蒔三番叟」。梅玉は高貴。孝太郎もきれいでかわいらしく、夜の部のお嬢三吉よりやっぱりいいです。華やかな舞台を見て、もう正月の気分になりました。
 「傾城反魂香」は吉右衛門と芝雀の夫婦が絶品。吉右衛門は花道の出からすでに心に決意を秘めた表情。その後も命をかけても土佐の名字が欲しいという緊張感が保たれ、一同その気持ちを察しながらも、吃りであるために名字を与えることができないという事実を前にしての同情とやるせなさが、強く伝わってきました。先日の三越歌舞伎の「反魂香」はなんかヘンで、又平がおとくを打つところなど、小太鼓を叩くかのように両手てポカポカ叩いたりして、又平は吃り以外に別の障害も持っているのではないかと思うくらいでしたが、吉右衛門の又平はフツーの人だったので安心しました。妻を打つ所も、左手を右手で打つようにして様式的にすませ、吃りのしゃべり方もリズムを感じさせ、歌舞伎の様式美を失わない演技でした。
 「反魂香」は吃りに対する差別が描かれており、つね日頃から障害者に接し差別と闘っているぽん太としては、最初に見たときにはとても不愉快に感じました。江戸時代の話しを見るのですから、当時は吃りが差別されていたということを時代背景として受け入れるしかないと頭ではわかっていても、生理的にイヤな感じがしてしまうのをどうしようもありませんでした。しかしよくよく考えてみれば、現在においても、いけないとは言われながらも、現実としてはさまざまな差別があり、障害者は差別のなかで生きているわけです。そうした差別される者の苦しみを、「吃り」を題材で描いたと考えたら、このお芝居に入っていけるようになりました。江戸時代も平成の世も、障害者差別の苦しみは変わっていません。 
 差別といえば、野茂投手がドジャーズ時代にインタビューで、キャッチャーのピアッツァを誉めたなかで、「彼は差別をしないし」と言っていたのを覚えています。ということは、ドジャーズの他の選手のなかには、東洋人の野茂を人種差別していた人もいるということでしょう。
 差別と言えば、ぽん太は以前に登山で足を痛め、手すりを使わないと階段が上り下りできなかったことがあります。電車でホームに降り立つと、乗客がいなくなるまで待ってから、手すりを伝わって階段を降りました。それでも上を見ずに階段を上って来た人に、迷惑そうな視線を向けられることがありました。たったこんなことだけでも、自分が社会の厄介者のような気になりました。
 差別といえば、この体験を精神障害者に話したとき、「でもそれは、そのうち治りますからね」と笑いながら言われたことが、心に残っています。
 さて、お弁当を食べてから「素襖落」。おおいに笑いましたが、幸四郎のリアルな演技がときどき周囲から浮いている気がしました。
 「御所五郎蔵」は、舞台も華があり、七五調の台詞の掛け合いも心地よかったですが、あんまり内容はない芝居。でも仁左衛門がかっこよくて大満足でした。いなせな町人風の役がぽん太のお気に入りです。

【演目と配役】
1 種蒔三番叟(たねまきさんばそう)
             三番叟  梅 玉
              千歳  孝太郎

2 傾城反魂香(けいせいはんごんこう) 土佐将監閑居の場
            浮世又平  吉右衛門
         又平女房おとく  芝 雀
          土佐修理之助  錦之助
           将監北の方  吉之丞
          狩野雅楽之助  歌 昇
            土佐将監  歌 六

3 新歌舞伎十八番の内 素襖落(すおうおとし)
            太郎冠者  幸四郎
             姫御寮  魁 春
            次郎冠者  高麗蔵
             三郎吾  錦 吾
             鈍太郎  彌十郎
             大名某  左團次

4 曽我綉侠御所染(そがもようたてしのごしょぞめ) 御所五郎蔵
           御所五郎蔵  仁左衛門
              皐月  福 助
              逢州  孝太郎
            新貝荒蔵  権十郎
           二宮太郎次  松 江
         茶屋女房おわさ  鐵之助
           畠山次郎三  男女蔵
            秩父重介  由次郎
            梶原平蔵  友右衛門
          星影土右衛門  左團次
           甲屋与五郎  菊五郎

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