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フェルメール「牛乳を注ぐ女」→鳥獣戯画→エッシェンバッハ・パリ管弦楽団

 今日は夜にパリ管弦楽団の切符をとってあったのですが、早めに出かけて国立新美術館で「フェルメール『牛乳を注ぐ女』とオランダ風俗画展」を見に行きました。国立新美術館に行くのは初めてでした。国立新美術館といえば、あの黒川紀章が設計した建物です。ガラスで造られた波打つようなファサードが、ちと生物的な感触も醸し出し、人目を引きます。内部構造は一転して機能的で、長方形の建物が長方形の展示ブロックに単純に分割されているだけです。国立新美術館が、収蔵品を持たない公募展や企画展のためのギャラリーであるため、使い勝手がいいように設計されたそうです。しかし、ここ数年で黒川紀章氏のお茶目な一面を知ったいま、ぽん太には「見かけは立派だが中身がない」という皮肉がこめられているように思えてなりません。この収蔵品を持たない国立の巨大貸しギャラリーは、所属オーケストラすら持たない新国立劇場とともに、日本の文化行政における究極の「箱モノ」として世界に誇るべきものでしょう。
 さて、会場に入るとオランダ風俗画がところせましと並んでいますが、ぽん太はそれらには目もくれず、お目当ての「牛乳を注ぐ女」に向って一直線。あった! 意外と小さい! 絵の手前を立ち止まらずに歩きながら見る方式でした。前の人に続いて絵に近づいて行くと、本当に絵がキラキラと輝いています。フェルメールは光を描いた画家と言われていますが、想像以上でした。有名なパンや籠に置かれた白点も、色彩の効果として光を表すというよりは、でこぼこした絵の具の表面が光を乱反射し、宝石のようにきらきらと輝いていました。ですからこの美しさは複製写真を見ても絶対にわかりません。せっかくなので3回並んで見ました。次に、この絵に関する解説の展示を見てから、もう2度みました。その後、入り口まで戻って、その他の展示品のオランダ風俗画を見ましたが、とにかく画面が暗い。闇のなかに溶け込んでおります。こうした同時代の暗い絵画を最初に見てからフェルメールを見たならば、驚きは数倍になることでしょう。お別れにもう2回「牛乳を注ぐ女」を見て会場を立ち去りました。思ったほど混んでいなかったのが驚きでした。フェルメールって、一般にはそんなに人気はないのでしょうか? 12月17日まで国立新美術館で開催。

 パリ管弦楽団まではまだ時間があったので、次はサントリー美術館の「鳥獣戯画がやってきた!ー国宝『鳥獣人物戯画絵巻』の全貌」にハシゴです。サントリー美術館の建物の設計は隈研吾氏。同じく彼が設計した銀山温泉の藤屋旅館とちょっと似ていることは、以前のブログで書きました。
 「鳥獣戯画」(正確には「鳥獣人物戯画絵巻」)は、甲・乙・丙・丁の4巻からなり、有名なカエルとウサギの相撲などは甲巻に含まれ、なかなか面白いです。しかし丁巻あたりになると、なんだか書きなぐったような絵で、ちっともいいとは思えませんでした。ところでぽん太は昔、「鳥獣戯画」の作者は鳥羽僧正と教わった気がするのですが、現在では、鳥羽僧正が生きたのは12世紀前半、「鳥獣戯画」が描かれたのが12世紀後半以降ということで、鳥羽僧正作者説は否定されているそうです。

 で、最後にサントリーホールでクリストフ・エッシェンバッハ指揮のパリ管弦楽団。プログラムは以下のとおりです。

チャイコフスキー「ヴァイオリン協奏曲ニ長調 op.35」 
     ヴァイオリン:諏訪内晶子
(アンコール バッハ「無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第3番」よりアンダンテ)
ラヴェル「ラ・ヴァルス」
ストラビンスキー「バレエ『火の鳥』組曲(1919年版)」
(アンコール ラヴェル「ボレロ」)

 諏訪内のチャイコフスキーは、ゆったりしたテンポで細かいニュアンスを明瞭に描きつつも、全体として流麗で美しい演奏。ロシア的な土臭さ、演歌調の「ため」や「泣き」はいっさい無し。オケは控えめに伴奏といった感じ。一転して「ラ・ヴァルス」では、オケが得意のフランス音楽をのびのび思いっきり演奏。「火の鳥」も色彩豊か。アンコールでなんと「ボレロ」。しかもエッシェンバッハは気をつけの姿勢のまま動かず。途中から少しずつ体をゆすりはじめ、さらに頭の動きと顔の表情で指揮をして行く。まさに「他人をアゴで使う」の図。曲の進行につれて気合いが入って来て、だんだんとエッシェンバッハのハゲ頭が上気して赤くなっていくのを見て、先代柳家小さんの百面相の「タコの釜入り」という芸を思い浮かべる。コーダに入ってようやく両手を動かして指揮をとり、多いに盛り上がって拍手喝采。
 団員の服装もタキシードじゃなくて、でっかいネクタイに黒い詰め襟のような服で、しかも裏地は深紅。演奏もシャレていて、ボレロのパフォーマンス付き。やっぱり、なんかフランスっていいな、と思いながら家路につきました。

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