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2007/12/24

【音楽】年末の渋谷を疾走するシフの『第九』(新日本フィルハーモニー交響楽団2007年『第九』特別演奏会/12月23日、オーチャードホール)

 年末の恒例行事といえば『第九』である。ということで、ぽん太とにゃん子は新日本フィルの『第九』を聴きに行ってきました。
 指揮はハインリヒ・シフ……。恥ずかしながら知りません。オーストリア生まれのチェリストで、近年は指揮者としても活躍しているとのこと。どんな演奏をしてくれるか楽しみです。

 1曲目はドホナーニの弦楽三重奏のためのセレナード。ドホナーニって、それな〜に? 恥ずかしながら知りません。なんでもバルトークやコダーイと同時代に活躍したハンガリーの有名な作曲家とのこと。プログラムで『第九』の前に何をもってくるか、というのはちょっとした楽しみなのですが、弦楽三重奏とはシブい。新日本フィルのコンサートマスターと首席奏者による演奏で、トリオ エド・アルテという名で活動をしているそうです。
 ロマン派風・現代風・民族風の曲ですが、あまり特徴がなく、申し訳ないけどやや眠くなりました。最後のロンドはやたらとガチャガチャした曲。拍手が短かったのが気の毒で、カーテンコールが一度もなく拍手が消えそうになり、袖から舞台に出ようとした奏者が苦笑していました。

 さて、いよいよ『第九』。舞台上に合唱団が整列していやでも雰囲気が盛り上がります。拍手とともに現れたハインリヒ・シフは、あご髭をたくわえた恰幅のいいおじさんで、首には赤い蝶ネクタイ。さながらサンタさんです。
 『第九』の出だしは宇宙の果てからかすかに伝わってくるような神秘的な5度の和音で始まります……と待ち受けていたら、すごいスピードで始まり、三つの5度の和音があっという間に終了。「うわ、早いな」と思っているうちに第一主題は過ぎ去ります。一拍目だけを鋭く振るシフの指揮に合わせて、ティンパニーや金管で一拍目が強調され、細かいニュアンスを吹っ飛ばしてぐんぐん進んで行きます、という間に展開部に。一拍目以外の細かいリズムは不明瞭で、アンサンブルもやや乱れ気味。内声部はゴロゴロ聞こえるのみ。木管楽器でのメロディーの引き渡しなども、聴いてる閑はありません。気がつくともう再現部。なんだか観光バスに乗ったらすごいスピードで走り出し、いろいろ見たい観光名所があるのにどんどん通過して行くような心境です、で第一楽章終了。な、なんだこれは。
 以下の楽章も同様の速いテンポで疾走。第2楽章は、スケルツォというより4拍子の行進曲のよう。第3楽章は美しいメロディを聴かせるも、やはり早い。第4楽章の合唱は早口言葉のようで、あっという間にフィナーレでした。踏切で目の前を特急列車が通過して行ったかのようです。ぽん太は『第九』を聴いて神々しい気分に浸り、「さあ、今年もいろいろあったが、一年終わりだ。また来年がんばろう」という気持ちになりたかったのですが、年末の慌ただしさのみが心に残りました。シフのいいところは何なのか、いったい何を目指しているのか、ぽん太にはよくわからず、今年の『第九』はちと欲求不満でした。
 
新日本フィル『第九』特別演奏会2007
ドホナーニ作曲 弦楽三重奏曲「セレナード」作品10 ※
ベートーヴェン作曲 交響曲第9番ニ短調「合唱つき」作品125
  指揮:ハインリヒ・シフ
  ソプラノ:中嶋彰子
  アルト:カロリン・マズア
  テノール:シュテファン・リューガマー
  バス:アンドレアス・シュミット
  ヴァイオリン:崔文洙※
  ヴィオラ:篠崎友美 ※
  チェロ:花崎 薫 ※
2007年12月23日(日)15時00分開演
会場:Bunkamuraオーチャードホール

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