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2007/12/06

【歌舞伎】2007年12月大歌舞伎午前の部(歌舞伎座)「鎌倉三代記」「信濃路紅葉鬼揃」「水天宮利生深川」

 ぽん太とにゃん子は、慌ただしい師走のなか一息つくために、歌舞伎を見に行ってきました。
 最初は「鎌倉三代記」。佐々木高綱を初役でつとめる三津五郎が、「芝翫型」と呼ばれる古い型を50年ぶりに復活させたのが目玉らしいのですが、歌舞伎歴の浅いぽん太はこの演目は初めてなので、そもそも「普通の型」がわかりません。しかし三津五郎演じる高綱の大きさに感心しました。
 2番目は「信濃路紅葉鬼揃」。新作だそうですが、玉三郎が「美女軍団と美男子を集めて舞台で舞ったらきれいで華やかでしょうね〜」と思って創ったに違いないとぽん太は思いました。前半の美女軍団の舞は、あまり動作がなく舞台上を動き回るばかりで、ちと退屈。十月大歌舞伎の「羽衣」もそうでしたが、なんか玉三郎は、抑制された動きのなかでの表現を追い求めているように思います。しかもそれは、能のような幽玄の世界ではなく、平安時代の神楽のような素朴でありながら神々しい世界のような気がします。確かに玉三郎は、ちょっとした動きが非常に美しく感じられるのですが、ほかの4人の美女にはちと荷が重かったような気がします。
 ところが後半になると、うってかわって、その他4人の鬼女のほうが動きが大きくきびきびしていました。特に後半要員かと思われる門之助がよかったです。玉三郎は体が華奢に見えるうえ、立ち振る舞いも大きさや切れがありません。顔も鬼女というよりはネコという感じで、不覚にも、先日テレビで見たブサイク猫のまこちゃんが頭に浮かんできました。
 海老蔵はあいかわらず美男子。勘太郎の山神の全身を使った勢いある踊りが舞台を引き締めていました。
 最後は「水天宮利生深川」でした。勘三郎の船津幸兵衛は初役とのこと。ぽん太は2006年3月の幸四郎の筆屋幸兵衛を見てブログに記事を書きました(「水天宮利生深川」と狂気)。また2007年2月に実際に水天宮を訪れたのをきっかけに、水天宮の場所がどのように変わったかを調べてみました(水天宮の場所の変遷)。さて、幸四郎の幸兵衛はなんだか滑稽さが目立ったのですが、今回の勘三郎では、哀れさや悲しみが強く感じられてぽん太の好みでした。隣りの家から聞こえてくる清元に思わずふらついたり耳を塞いだりする場面は、単に「金持ちの息子の誕生祝いの清元なんか聞きたくない」と理性的に判断しているのではなく、清元の音に理性がかき乱されて、一瞬狂気の深遠がぽっかりと口を開けたような、鬼気迫るものを感じました。ホントにこの精神的に追いつめられた状況での、清元の甲高い声と華やかな調子は、アブナイ感じがします。黙阿弥の作劇術には驚くばかりです。
 こんかい勘三郎は第2場を、河竹黙阿弥の原作に近いものに戻したとのこと。幸四郎の時に原作を読んで、舞台と原作が違うことを確認したのですが、原作は図書館から借りたもので手元にないので、ただちに再確認することはできません。たしか前回の幸四郎のときは、「や〜い親父のはげ頭」とはやし立てる部分や、「碇を抱いて飛び込むなんて、船弁慶だ」などという部分が無かったような気がするのですが、よく覚えていません。さらに、なんで黙阿弥の原作が変えられて上演されるようになったのか、という興味もわいてきました。
 金貸しに産着を持って行かれるまでの下りが、少し間延びしているような気がしました。清元が流れ始めた頃からテンポがでてきて、ぽん太は芝居に引き込まれていきました。鶴松君かわいい。

【演目と配役】
1、鎌倉三代記(かまくらさんだいき) 絹川村閑居の場
           佐々木高綱  三津五郎
          三浦之助義村  橋之助
             おくる  右之助
            阿波の局  歌 江
            讃岐の局  鐵之助
            富田六郎  亀 蔵
             母長門  秀 調
              時姫  福 助
2、信濃路紅葉鬼揃(しなのじもみじのおにぞろい)
              鬼女  玉三郎
              山神  勘太郎
              鬼女  門之助
               同  吉 弥
               同  笑 也
               同  笑三郎
               同  春 猿
             太刀持  弘太郎
              従者  猿 弥
              従者  右 近
             平維茂  海老蔵
3、水天宮利生深川(すいてんぐうめぐみのふかがわ)筆屋幸兵衛
  浄瑠璃「風狂川辺の芽柳」
           船津幸兵衛  勘三郎
           車夫三五郎  橋之助
          巡査民尾保守  獅 童
           金貸金兵衛  猿 弥
             娘お雪  鶴 松
          差配人与兵衛  市 蔵
         代言人茂栗安蔵  彌十郎
          萩原妻おむら  福 助

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