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2007/12/12

【温泉】レトロな雰囲気の安田屋旅館(★★★★)と太宰治の『斜陽』

安田屋旅館 ぽん太とにゃん子は11月、西伊豆の安田屋旅館に泊まってきました。安田屋旅館は、なんといっても国の登録有形文化財に指定された古い建物が魅力。太宰治が宿泊して『斜陽』を執筆した部屋が、現在も残っています。こちらが安田屋旅館の公式サイトです。
三津浜の富士 この宿があるのは西伊豆の三津浜。入り江にはヨットが立ち並び、あわしまマリンパークも近く、現代的なマリンレジャーの雰囲気のなかに、そこだけ時代が止まったかのように古い数寄屋風の建物があります。
『斜陽』執筆の部屋 こちらが太宰治が逗留し、『斜陽』の第1章と第2章を執筆した部屋です。現在は太宰治にちなんで「月見草」という名前がつけられていますが、当時は「松の弐」という部屋だったそうです。
安田屋旅館 ぽん太とにゃん子が泊めていただいたのはこちらの部屋。「月見草」の真下になります。落ち着く和室で、窓からは夕日に赤く染まった富士山が望めます。
安田屋旅館 廊下には畳が敷かれています。宿の前に立てられていた沼津教育委員会の案内板によると、安田屋旅館の創業は明治二十年。政治家尾崎行雄もここを訪れて、「対岳楼」と名付けたそうです。木造総二階建の建物は、松棟が大正7年、月棟が昭和6年の建築で、平成12年に国の登録有形文化財に指定されたそうです。
安田屋旅館安田屋旅館 お風呂は新しい建物の別棟にあります。露天つきの内風呂が2セットあり、時間で男女入れ替わりとなります。写真は石とタイルの「富嶽の湯」と露天風呂の「満願」。新しくてムードはあまりなく、露天も狭くて開放感がありません。お湯は無色透明のやわらかいお湯ですが、塩素臭が気になりました。
安田屋旅館安田屋旅館 こちらが内湯の「桜桃の湯」と露天の「思い出」。木の香りが漂う木造の浴槽です。
安田屋旅館の夕食安田屋旅館の安田屋旅館の 夕食は、鯛の薄造りに始まる手の込んだおいしい会席料理。
安田屋旅館の朝食 朝食もアジの干物がみずみずしてくおいしかったです。
 サービスもアットホームでよかったです。秋の観光シーズンでしたが幸い団体さんも宿泊しておらず、静かな西伊豆の晩秋を味わうことができました。これで温泉力があれば大満足なのですが。

 さて、東京の巣穴に戻ってから、太宰治の『斜陽』を読み返してみました。第1章と第2章を安田屋旅館で書いたといいますが、この旅館は残念ながら小説のなかにはでてきません。ただ、小説の舞台となっている別荘について、「三島で駿豆鉄道にのりかえ、伊豆長岡で下車して、それからバスで十五分くらいで降りてから山のほうに向かって、ゆるやかな坂道をのぼって行くと、小さい部落があって、その部落のはずれに、支那風のちょっとこった山荘があった」と書いてあります。こちらの安田屋旅館の交通案内にあるように、この旅館はまさに「伊豆長岡で下車して、それからバスで十五分くらい」のところにあります。安田屋旅館から山に少し入ったあたりに、舞台が設定されているのかもしれません。
 ところで、太宰治が安田屋旅館に泊まったのは、戦後間もない1947年(昭和22年)2月です。太宰がぽん太の巣穴にほど近い玉川上水に入水心中をしたのが1948年(昭和23年)6月13日ですから、自殺の1年ちょっと前になります。1947年の2月21日、太宰は、小田原の下曽我にある大雄山荘に疎開していた太田静子を訪ね、そこに5日間滞在しました。この間に静子は、太宰の子供(治子)を宿します。またここで太宰は、静子が太宰に勧められて書きためていた日記を受け取ります。この日記が『斜陽』の素材となったことは有名です。太宰は2月26日、三津浜に友人の田中英光の疎開先を訪ね、その向かいにあった安田屋旅館に宿泊します。そして早くも3月6日には『斜陽』の第1章と第2章を書き上げます。
 太宰の自殺直後の1948年8月1日、井伏鱒二らが太田静子を訪ね、十万円を渡して「太宰治ノ名誉及ビ作品ニ関スル言動(ヲ傷ツケルヤウナ言動)(新聞・雑誌ニ談話及ビ手記発表)ヲ一切ツツシムコト」という誓約書を取りました。しかし静子は、同年の10月にこの誓約を破って『斜陽日記 』を出版します。これを読んでみると、確かに『斜陽』と非常に似ていて、蛇の卵を焼くエピソードなどもそのまんま含まれています。太宰が静子の日記をどのように利用し、どのようなオリジナリティを付け加えたのかは興味あるテーマですが、そこまでみちくさするはぽん太の手に余りそうです。

【参考リンク】
太宰治が「斜陽」を書いた安田屋旅館:鉄道写真家・中井精也の読売新聞の記事。
安田屋旅館ー日本温泉遺産を守る会:ご存知、温泉達人野口悦男が代表を務める日本温泉遺産を守る会のページ。
東京紅團:文学散歩の情報が豊富。メニューから「太宰治を巡って」の「三島・三津浜を歩く」をご覧下さい。

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