【歌舞伎】愛之助の与三郎はナヨナヨしてても悪党でもカッコイイ(2008年新春浅草歌舞伎)
正月といえば新春浅草歌舞伎。若手が名作にチャレンジします。昨年は大河ドラマで忙しくて欠席した亀治郎も戻って来て、とても楽しみです。
仲見世を歩き、焼きたての人形焼きをほおばり、浅草寺で一年の無事を祈ってから浅草公会堂へ。
恒例のお年玉ご挨拶は亀鶴。舞台から客席にとんぼで降りたのにはびっくり。『傾城反魂香』は亀治郎・勘太郎のおとく・又平。勘太郎の又平は、本人の性格どおりまじめで実直な人柄。もう少しひょうひょうとした人の良さがある方がぽん太の好みなんですが。涙と鼻水で顔中ぐしょぐしょにしての熱演でしたが、ちょっとこっちが引きそうになってしまいました。ホントに泣くのではなく、芸で悲しみを表現して欲しいものです。亀治郎は、ちっと夫に対する情愛が薄い感じがしたものの、あいかわらず巧み。『弁天娘女男白浪』は七之助の弁天小僧が、女形での美しさと、正体を現してからの粋でいなせな悪党ぶりが両方ともよかったです。若々しく生きのいい勢揃いにも大満足。
第2部も続けて観て、初春から8時間耐久歌舞伎にチャレンジ。公会堂の階段に地元の芸者さんがずらりとならんでお迎えしてくれました。あゝ、うれしや。第2部のお年玉ご挨拶はごひいきの愛之助。『金閣寺』は亀治郎が雪姫の大役を熱演しましたが、8時間耐久歌舞伎の疲労が押し寄せてきて眠くなってしまいました。ごめんね。3階だったので、勘太郎と獅童の碁がよく見えました。推察するに、勘太郎は碁を打つが、獅童は碁を知らない様子。勘太郎が獅童の白石をピシピシ抜きまくり、獅童扮する大膳が「大方この碁も身共が勝ち、勝負をつけてみようかい」と言ったときには、すでにぼろ負けの状態でした。『金閣寺』の碁を打ちながらのやりとりに関しては、そのうち、ちとみちくさしてみたい気がします。『与話情浮名横櫛』は、愛之助の与三郎が、羽織落としのなよなよした美男子も、全身傷だらけのすごみのある悪党も、どちらもカッコよかったです。
若々しく華やかな歌舞伎を満喫した一日でした。
新春浅草歌舞伎
第1部
お年玉〈年始ご挨拶〉:中村亀鶴
1、傾城反魂香(けいせいはんごんこう)土佐将監閑居の場
浮世又平 中村勘太郎
狩野雅楽之助 片岡愛之助
土佐将監 市川男女蔵
女房おとく 市川亀治郎
2、弁天娘女男白浪(べんてんむすめめおのしらなみ)
浜松屋店先より稲瀬川勢揃いまで
弁天小僧菊之助 中村七之助
南郷力丸 中村獅 童
赤星十三郎 中村勘太郎
鳶頭清次 中村亀 鶴
忠信利平 市川亀治郎
日本駄右衛門 片岡愛之助
第2部
お年玉〈年始ご挨拶〉:片岡愛之助
1、祗園祭礼信仰記(ぎおんさいれいしんこうき)金閣寺
雪姫 市川亀治郎
此下東吉 中村勘太郎
狩野之介直信 中村七之助
慶寿院尼 中村亀 鶴
佐藤正清 市川男女蔵
松永大膳 中村獅 童
2、与話情浮名横櫛(よわなさけうきなのよこぐし)
木更津海岸見染の場、源氏店の場
与三郎 片岡愛之助
お富 中村七之助
蝙蝠安 中村亀 鶴
鳶頭金五郎 中村獅 童
和泉屋多左衛門 市川男女蔵
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