ポタラ宮の信仰と観光地化【青蔵鉄道で行く冬のチベット(3)】
ラサと言えばポタラ宮、ポタラ宮といえばラサです(あたりまえか)。
ラサのシンボルであるポタラ宮は、7世紀の吐蕃王朝時代に造られたという説もありますが、本格的にはダライ・ラマ5世の時代がチベットを統一した17世紀中頃に造られました。しかしダライ・ラマ5世は宮殿の完成を見ずに死去。ガイドさんによると、求心力の低下を恐れた高官たちは、彼の死を10年以上も隠し続けたそうです。以後、1959年のチベット動乱でダライ・ラマ14世がインドに亡命するまで、ポタラ宮はチベットの中心としての役割を果たしてきました。 実物のポタラ宮は壮大で独特の様式美があり、写真やテレビではなかなかわかりません。白と赤の色彩、階段の斜めのラインが、迷宮のような神秘的な雰囲気を醸し出します。
ポタラ宮に入るには、下から階段を一段一段登って行かなくてはなりません。ラサの標高が3650メートル。ポタラ宮の高さはさらに115メートルありますから、一番上は標高3765メートルとなり、富士山の標高の3776メートルとほぼ同じです。深呼吸をしながらゆっくりゆっくり登らないと、息が切れてしまいます。
食事中の方は写真を拡大しないように注意。ポタラ宮の公衆トイレです。前後に二人並んでできるようになっていて便利ですが、そんなんでできるか!っちゅ〜の。穴の下は急な崖になっており、遥か下方に汚物の山が見えます。
白宮への入口で、ここから先は撮影禁止となります。それまで、かなり突っ込んだ質問にも答えてくれていたガイドさんですが、「ここから先は質問をしないように」と念を押されました。内部では声を録音していて、万が一中国政府を批判したり、政府の方針に反するような発言をすると、あとで処罰される可能性があるそうです。
ポタラ宮の内部は、ダライ・ラマが政治を行った部屋や居室、あるいは歴代ダライ・ラマのお墓や、諸々の仏像などがありますが、その辺の情報は「ポタラ宮」でググればいろいろ出てくると思うので、ぽん太は省略いたします。 ポタラ宮は1994年に世界遺産として登録され、2000年にはジョカン、2001年にはノルブリンカが追加登録されました。こうしてみると、中国政府はチベット文化を尊重しているようにも見えます。しかし一方では、ポタラ宮の観光地化、非宗教化が勧められています。主であるはずのダライ・ラマ14世がいないポタラ宮には、大勢の外国人観光客が押し寄せ、観光シーズンの夏には入場制限が行われるほどです。観光客目当てに多くの漢民族がラサに移住し、レストランや土産屋、ホテルを経営しています。ガイドさんの話しでは、チベット人の信仰の対象となっている仏像をポタラ宮から運び出し、別のところにまとめて安置する計画が進められているそうです。こうして文化遺産の保護を詠いながら、巧妙にポタラ宮の観光地化、非宗教化が勧められているわけです。
チベットでは、聖地の周りを時計回りに歩く「コルラ」という習慣があります。一般の観光客が減るこの季節、ポタラ宮の周りはマニ車を回し、経文を唱えながらコルラする巡礼者でにぎわっていました。ポタラ宮の正面では、多くのチベット人が五体投地をしていました。五体投地とは、その名の通り、頭と両手両足を地面に投げ出して礼拝する方法です。どういうものか知りたい方は、たとえば下記の動画をご覧下さい。


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