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2008/01/10

チベット人の心意気【青蔵鉄道で行く冬のチベット(5)】

 (★本日の記事は、旅で出会った少数のチベット人からの情報によるものなので、事実と違っている可能性があります。)
ジョカンの五体投地 ぽん太がこんかいチベットに行ったのは、早く行っておかないとチベット文化がどんどん崩壊してしまうと思ったからでもあります。しかし、その旅に利用した青蔵鉄道が、一方ではチベット文化破壊の役割も担っているわけですから、現実とは皮肉なものです。
 というわけで、今回の旅では、ホントのところチベット人が自分たちの文化や信仰をどう思っているのか、が一つのポイントでした。慣れてくるにつれて、彼らは少しずつ重い口を開いてくれました。
ラサの犬 中国政府はダライ・ラマ14世への信仰を禁じていますが、実際のところはどうなのでしょう。「チベット人はみなダライ・ラマ14世を信仰しているのか」と聞いてみると「その通りだ」という答えが返ってきました。寺院などの公の場で14世の写真を掲げることは、10年くらい前に禁止されたのですが、自宅などにはその後も法王の写真が置かれていたそうです。しかしここ数年は取り締まりが厳しくなり、ダライ・ラマ14世の写真を掲げているのが見つかると、その人だけではなく、家族まで職を失うのだそうです。そこで仕方なしに多くのチベット人は、こっそりと隠して法王の写真を持っているのだそうです。
 公団住宅や、中国政府の資金援助を受けて建てられて住宅では、中国政府が当然の権利として抜き打ちの調査を行うそうで、そこでダライ・ラマの写真が見つかるとたいへんなことになるそうです。また、仏壇を置くこと自体が禁止されている場合もあり、そうした人たちが寄進した仏壇が寺院に置かれていました。

バター灯明 さて、チベットと中国の問題のひとつに、二人のパンチェン・ラマ問題があります。こちらのダライ・ラマ法王日本代表部事務所のサイトに(ダライ・ラマの立場からですが)詳しく書かれています。それによれば、パンチェン・ラマは、チベットにおいてダライ・ラマに次いで宗教的・政治的に重要な人物であり、やはり輪廻転生すると信じられています。パンチェン・ラマ10世が1989年に死去したのを受けて、転生者探しが開始されました。これに対し、ダライ・ラマ14世が1995年5月14日にゲンドゥン・チューキ・ニマ少年を転生者と認めたのに対し、中国政府はギェンツェン・ノルブ少年を転生者に認定しました(1995年11月30日に就任し、12月8日に即位)。ところがニマ少年は、認定から数日後に両親とともに姿を消し、行方不明となりました。1996年に中国政府は、チベット民族主義者の誘拐から守るという理由で、ニマ少年を拘留していることを発表しました。また、中国が認定したギェンツェン・ノルブ少年の方は、北京に住まわされて、中国政府による教育を受けました。
ラサ河 で、そのパンチェン・ラマ問題に関しても、チベット人の認識を尋ねてみました。彼らの話しによれば、中国政府が認定したパンチェン・ラマ(ノルブ少年)は、周囲からパンチェン・ラマ11世と見なされて育てられながらも、本当に自分が11世なのだろうかという疑問をぬぐい去れなかったのだそうです。あるとき彼は、西寧のクンブム(タール寺)に行き、高僧に、本当に自分がパンチェン・ラマの転生者なのか聞いてみたのだそうです。高僧は、彼が宗教的に非常に優れた人物であり、おそらく誰かの転生者であることは認めましたが、パンチェン・ラマの転生者ではなく、それは中国政府が勝手に決めたことだと伝えました。それを聞いた彼は、次第に中国政府に反発するようになったそうです。これまで中国政府は、対チベット・プロパガンダの一環として、中国認定パンチェン・ラマの動向をあれこれと発表していたのだそうですが、ここ数年そうしたニュースがまったく流れなくなったのだそうです。チベット人のあいだでは、中国認定パンチェン・ラマが逃げ出してどこかに潜伏しているとか、ダライ・ラマ認定パンチェン・ラマを連れ出してインドに亡命したとか言われているそうです。
 なんか、カルマパ17世のインド亡命と混同されている部分もありそうですが、地元の噂はこんな感じでした。
 インドに逃げると言えば、チベット人は毎年3,000人くらい、ダライ・ラマをしたってインドに逃げているとのことでした。

少年は何を思う? さて、中国政府のアメとムチの政策のもと、チベット人はまだまだ自分たちの信仰と文化と誇りを失わないでいるようにぽん太には思えました。しかし、欲に溺れた「生臭坊主」がチベットでも増えているのも事実だそうです。翻って世界情勢を眺めてみるに、自分たちの文化と政治体制を地球全体に押し付けようとするブッシュ率いるアメリカと、それを殺戮によって阻止しようとするテロリストが、果てしない闘いを続けており、この方向にはけっして未来はなさそうです。まったく新しい第三の道を、チベット人は見つけることができるのでしょうか?彼らが、激しい弾圧や厳しい思想・宗教の統制、漢民族の移住や中央の資本の流入に抗して平和的に自国を守り抜いて行けるのか、それとも民族の誇りを失って中国に同化されていくのか、ぽん太は見守って行きたいと思います。

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