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2008/01/24

【演劇】二十数年ぶりの野田秀樹さまお懐かしゅうございます(NODA・MAP「キル」)

 目を覚ますとぽん太の巣穴のまわりは一面の雪景色でした。雪からかわった冷たい雨のなか、野田秀樹の「キル」を観に行ってきました。
 野田秀樹の芝居を見るのは実に二十数年ぶりです。1980年代の小劇場ブームの頃、夢の遊眠社を観て以来です。こちらの「野田地図」のサイトの「夢の遊眠社」の公演記録を見てみると、「小指の思い出」(第22回公演、1983年9〜10月)と「瓶詰めのナポレオン」(第23回公演、1984年1月)を観たようです。ほかに「野獣降臨」や「贋作・桜の森の満開の下」の記憶もあるのですが、舞台で観たのかテレビで観たのかよく覚えてません。ぽん太はその後、演劇からはすっかり遠ざかっていました。

 久々の野田秀樹で、「しばらく観ないうちにつまらなくなってたらやだな」などと思いながら行ったのですが、昔の遊眠社の世界そのままで、「をひをひ、ちっとも変わってないじゃ〜ん」という感じで、まるで旧友に久々に会ったような懐かしさでした。
 「キル/着る/切る/KILL」「羊毛/絹/麻」「征服/制服」「羊/西洋(羊)/羊水」などの言葉遊びのオンパレードに、ジンギスカンの史実、ファッション戦争を重ね合わせて、夢と現実が入り交じったような世界を創り上げるやり方は昔と同じ。さまざまな手法を使った目まぐるしい場面転換の連続も見事でした。舞台装置もシンプルで、小道具もいくつかの椅子がほとんどでしたが、それらをさまざまに見立てて、時には鏡像、時には船出、そして時にはモンゴルの大平原を演出しました。
 しかし題材やメッセージに関しては、1994年に初演された作品ということで、時代のずれを感じたのも確かです。ファッション業界を題材にして、有名ブランド名を出されても、「そんなバブルの時代もあったな〜」と隔世の感があります。また「いろいろなファッションを追い求めてたけれど結局はモンゴルの青い空に行き着く」という「青い鳥」的なオチも、「いまさらこのオチじゃ納得できないよな〜」と思いました。一方で、子供を愛せない父親という点では、現代的な問題意識も感じられました。
 野田秀樹ももういい年かと思いますが、まだまだ身体も動き、セリフまわしはあいかわらず絶品。とくに子供の役になってからがすばらしかったです。西の果てから送って来た手紙の朗読は、独特の声の質が胸を締め付けるような郷愁を漂よわせ、「そうだ、これが野田秀樹だったよな〜」と思い出し、久々にこれを聞けただけでも来た価値がありました。勝村政信はテレビでしか観たことがなかったのですが、こんなに実力のある上手な役者さんだとはまったく知りませんでした。芝居全体を引っ張っていました。妻夫木聡は初めての舞台出演とのこと。若々しいテムジンを体当たりで演じて大健闘でしたが、声がいつも同じ調子なのが残念で、最後に死にかけた(生まれかけた?)時にふと空を見上げて初めてモンゴルの青い空に気がつく場面などは、すごくいいセリフだと思うのですが、あっさりと流していました。生広末涼子は初めてでしたが、芸能ニュースなどの情報からアブナイ人かと思っていましたが、意外と普通のひとで(あたりまえか?)普通の演技でした。高田聖子、セリフがうまい。高橋恵子、もう少し母体回帰的な声の甘さがあると好みでした。
 とはいえ、久々に野田ワールドを満喫し、野田秀樹がまだまだ元気でがんばっていることもわかって、とてもよかったです。また機会があったらNODA・MAPの公演を観てみたいです。

NODA・MAP第13回公演 「キル」
2008年1月23日
Bunkamuraシアターコクーン
      《キャスト》
     テムジン………妻夫木 聡
      シルク………広末 涼子
       結髪………勝村 政信
       人形………高田 聖子
     フリフリ………山田 まりや
       J・J………村岡 希美
案人ガイド/ヒツジ
  ・デ・カルダン………市川しんぺー
   旅人ポロロン………中山 祐一朗
  イマダ/蒼い狼………小林勝也
       トワ………高橋 惠子
バンリ/真人バンリ………野田 秀樹
      《スタッフ》
     作・演出………野田 秀樹
       美術………堀尾 幸男
       照明………服部 基
       衣裳………ひびのこづえ
    選曲・効果………高都 幸男
 ステージング協力………謝 珠栄
    ヘアメイク………河村 陽子
     舞台監督………瀬崎 将孝
  プロデューサー………北村 明子
      提 携………Bunkamura
    企画・製作………NODA・MAP

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