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2008/04/23

【歌劇】小沢征爾は日本が生んだ世界の宝だね『エフゲニー・オネーギン』

 東京のオペラの森は、昨年は画家(!)の『タンホイザー』でしたが、今年はチャイコフスキーの『エフゲニー・オネーギン』です。ぽん太は初めて観る演目なので、とても楽しみでした。
 舞台装置は、幕が開くと舞台奥で雪がしんしんと降り続け、抱き合う男女が彫像のように立ち並んでいるという美しいものでした。第1幕第2場の氷の額縁のようなセットや、第2幕の祭りの場の棒状に立ち並んだネオン、第3幕の階段など、モダンで美しかったです。しかし演出はちょっと物足りなく、第1幕第3場でオネーギンがタチヤーナの愛の告白を拒否する場面で、背景の男女が次々と別れて行く演出は、心理の表現だかなんだかわかりませんが、安易だし重複しています。第2幕の祭りのシーンも、テーブルの上に女性が登って踊ったりし、ジュリアナ東京かっつ〜の。群衆の振付けも退屈です。先日コンヴィチュニーの『アイーダ』を観てしまったせいか、全体に俗っぽくてありきたりに感じてしまいました。ひょっとしてぽん太は、もうコンヴィチュニー中毒に陥っているのでしょうか?
 チャイコフスキーの音楽に関してですが、『エフゲニー・オネーギン』はバレエの名作『白鳥の湖』と同じ年の1877年に完成したとのこと。でも第1幕は長くて退屈に感じられ、第2幕のフランス人の歌も平凡なメロディーに思われました。しかしだんだんと盛り上がってきて、チャイコフスキー独特のすすり泣く弦も美しく、最後は心底感動いたしました。
 歌手では、レンスキー役のマリウス・ブレンチウがよかったです。特に第2幕第2場のアリアは、子どもの頃から育って愛を知ったこの家で、なぜ決闘するはめになったのかという悲しみを、繊細でのびのある声で歌い上げました。またタチヤーナを代役で務めたイリーナ・マタエワも、最後のアリアなどすばらしかったです。
 劇としては、貴族の俗悪な暮らしには満足できないが、自分でなにかを産み出すこともできなず、虚無的な人生を送る人物という、ロシアお得意のパターン。鬱屈したなかでちょっとしたからかいから発展して友人を殺すはめに到るところなど、現代日本の閉塞感と似ている気がしました。ラストでも、タチヤーナは本当はオネーギンを愛しているのに、秩序と生活を守るために立ち去っていきます。愛よりも世間を重視して苦悶するというのはまるで歌舞伎の世界です。
 楽日だったせいか、カーテンコールでは出演者一同大喜びしていましたが、その様子を見ていると、小澤征爾がいかにみんなから信頼され、愛されているかがよくわかりました。小澤征爾は日本が生んだ世界の宝だと思いました。
 以前に観たルグリとルディエールのバレエ「オネーギン」の状況がようやくわかり、あゝそうだったのかと感動を新たにしました。

歌劇『エフゲニ・オネーギン』
作曲:チャイコフスキー
指揮: 小澤征爾
演出: ファルク・リヒター
日時:2008年4月20日(日)
会場:東京文化会館

装置: カトリーン・ホフマン
衣装: マルティン・クレーマー
照明: カーステン・サンダー
振付: ジョアンナ・ダッドリー

オネーギン: ダリボール・イェニス(バリトン)
タチヤーナ: イリーナ・マタエワ(ソプラノ)
レンスキー: マリウス・ブレンチウ(テノール)
オリガ: エレーナ・カッシアン(メゾ・ソプラノ)
グレーミン公爵: シュテファン・コツァン(バス)
ラーリナ夫人: ミハエラ・ウングレアヌ(メゾ・ソプラノ)
フィリッピエヴナ: マルガレータ・ヒンターマイヤー(メゾ・ソプラノ)
トリケ: ヘルムート・ヴィルトハーバー(テノール)
ザレツキー: 北川辰彦(バス)
隊長: 桝貴志(バリトン)/他

演奏: 東京のオペラの森管弦楽団
合唱: 東京のオペラの森合唱団

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<ウィーン・シュターツオパー共同制作/プリミエ> 2008年4月13日(日)15:00/東京文化会館 指揮/小澤征爾 東京のオペラの森管弦楽団 東京のオペラの森合唱団 演出/ファルク・リヒター 美術/カトリーン・ホフマン 照明/カーステン・サンダー 衣装/マルティン・クレーマー 振付/ジョアンナ・ダッドリー タチヤーナ/イリーナ・マタエワ オネーギン/ダリボール・イェニス レンスキー/マリウス・ブレンチウ オリガ/エレーナ・カッシアン グレーミン公爵/シュテファン・コツァン ラーリナ夫人/ミハ... [続きを読む]

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