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2008/05/28

【ウズベキスタン旅行(5)】民族舞踊は同じ中央アジアとはいってもボロディンとは違うみたい

 ウズベキスタンの踊りには、ぽん太は期待するものがありました。というのも、以前にマリインスキー・オペラでボロディンの『イーゴリ公』を観たとき、有名な「ポロヴェツ人の踊り」(ダッタン人の踊り)のすばらしさに感動した経験があるからです。ポロヴェツ人は11世紀から13世紀頃に中央アジアで力を持ったテュルク系の遊牧民です。ウズベキスタンの民族舞踊は、はたして「ポロヴェツ人の踊り」と似ているのでしょうか?
P5020152 まず、アヤズカラのユルタで観た民族舞踊です。オーケストラピットの3人の向かって左がドイラという楽器で、タンバリンというか、沖縄のパーランクーにも似ています。これを両手の指で打ち鳴らすのですが、けっこう速いテンポで、ゆったりしたスローな曲はありませんでした。トルコとも東欧とも違う音楽で、浅学のぽん太の知る限りでは、東南アジアやネパールの音楽と似ている気がしました。踊りも動きが激しく、「ポロヴェツ人の踊り」にでてきた女性の優雅な踊りとも、男性の野性的な踊りとも異なるものでした。ガイドさんの話しでは、本日の踊りはウズベク人の踊りだそうです。
P5030006 こちらはブハラのナディール・ディヴァンベギ・メドレセで行われる民族舞踊ショーです。ガイドさんによれば、こちらにはタジク系の踊りも含まれているそうです。ひらひらの服装は「ポロヴェツ人の踊り」の女性たちを思わせますが、やはりテンポは速く、ドイラが独特のリズムを刻みます。「中央アジアの草原にて」や「弦楽四重奏第2番」などで聴かれるボロディンの叙情的ですすり泣くような音楽とはまったく異なります。結局ウズベキスタンの民族舞踊には、「ポロヴェツ人の踊り」に通じるものはないようです。
 ポロヴェツ人はウズベキスタンよりはやや北部に分布していたのかもしれません。また「ポロヴェツ人の踊り」のなかの女性たちの踊りも、たしかカスピ海あたりからさらってきた女奴隷という設定で、ウズベキスタンとはちょっと地域が違います。ボロディン自身はグルジアの皇太子の非嫡出子ですから、ボロディンがいう中央アジアは、カスピ海西側から黒海のあたりなのかもしれません。
 考えてみれば、現在の中央アジアの民族舞踊が、いにしえのポロヴェツ人の民族舞踊の影響をどこまでうけているのかわかりませんし、ボロディンが中央アジアの民族音楽を取り入れて作曲したのかどうかも、「ポロヴェツ人の踊り」の振付けをしたフォーキンが中央アジアの民族舞踊を参考にしたのかもわかりません。
P5030005 オーケストラもやや大きめの編成。ツィンバロムのような楽器もあります。なぜか女性の踊りばかりで、男性の踊りがないことに、にゃん子は不満そうです。ふと思いついて、ガイドさんに「この踊りは民衆の踊りですか、それとも王様が鑑賞した踊りですか」と聞いてみたところ、王様が鑑賞した踊りとのこと。なるほど女性の踊りばかりなのもうなづけます。

 ところが例の高橋巖根の『ウズベキスタン—民族・歴史・国家』(創土社、2005年)を読んでみると、事情はさらに複雑なようです。現在女性が踊っている踊りは、ウズベキスタンの伝統舞踊では、女装した若い男性が踊っていたのだそうです。歌舞伎みたいですね。ウズベクの伝統社会では、結婚前の女性が公衆の面前で顔を見せて踊ることは許されませんでした。ソ連時代にはこれは悪習であると見なされ、女性の舞踏団が組織されるようになりました。しかし女性の踊子が、そのことを恥辱に感じた兄弟に殺されるという事件も起きたそうです。集められた踊り子たちは若い女性ばかりでしたが、ウズベク人ではなかったり、混血児・孤児などだったそうです。こうした舞踏団は、ソビエトの国際社会に対するプロパガンダとして用いられると同時に、ウズベキスタンの伝統社会に対する教化の手段でもあったそうです。
P5030214 ブハラのアブドゥールアジス・ハーン・メドレセのお土産屋で楽器を弾くおじさん。「島唄」もレパートリーのようでした。ガイドさんの話しでは、沖縄でリサイタルをしたことがあるひとだそうです。
P5020484 同じくブハラのタキ・ザルガランにある楽器屋さん。楽器の名前をひとつひとつ教えてくれましたが、すべて忘れてしまいました。

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