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2008/08/02

【オペラ】歌もさることながら演出が見事でした(青ひげ公の城/消えた男の日記・パリ国立オペラ)

 ぽん太とにゃん子がオーチャードホールに行くと雨が降る、というジンクスはついに途絶え、じっとりと蒸し暑かったとはいえ雨は降りませんでした。

 さて、今回はパリ国立オペラの初来日公演とのこと。どの演目を観に行くか大いに迷いましたが、「トリスタン」は昨年ベルリン国立歌劇場で観たばかりだったので、「青ひげ公の城/消えた男の日記」という渋い演目にしてみました。もちろんぽん太は初めてです。
 ちなみに今回のパリ国立オペラ初来日公演の公式サイトはこちらです。動画も見れます。
 歌もさることながら、演出や美術がすばらしく、先日のパリオペラ座バレエでも感じましたが、斬新でオシャレで、いかにもフランスという印象でした。

 まずは「消えた男の日記」。ヤナーチェックのピアノ伴奏による連作歌曲を、指揮を担当したグスタフ・クーンがオーケストレーションをしてオペラ化したもので、今回が初演だそうです。ヤナーチェクは、昔LPのB面でオペラ「利口な女狐の物語」の組曲を聞いていた記憶があります。ロシア的な金管の響きと、東欧の森を思わせる神秘的な雰囲気のある音楽だったような気がします。1854年にチェコのモラヴィアで生まれ、1928年にオストラヴァで死んだようです。モラヴィアといえば、精神分析の創始者のフロイトが生まれたところですね。彼が生まれたのは1856年ですから、ヤナーチェックの2歳年下ということになります。
 今回の座席は、なんと前から5列目。最高の席です。ところが幕があいて歌声は響いてきますが、舞台の上には誰もいません。しばらくして首を動かしてみると、前の人の頭の陰に、舞台から首だけ出している歌手がいました。舞台が進行するにつれて、胸まで出て来てクロールみたいに地面を掻いたりし、最後は穴からスッポンと出てきましたが、前の人の頭が邪魔でよく見えません。あとは登場人物は、娼婦風の女性と、客席の下手前方で歌う三人のコーラスだけ。途中で十数名の男女が地面を這うように出てきましたが、これもぽん太の席からだと低すぎてほとんど見えず。二階席からだったらよく見えたのでしょうけれど……。しかもたったの30分で終了。なんだこりゃ。金返せ!
 などとも思いましたが、若い農夫が森のなかでジプシーに恋をして、家と世間を捨てて出て行くという物語はが、ちょっと不気味でおどろおどろしい雰囲気で描かれていて、おもしろかったです。

 次いでバルトークの「青ひげ公の城」。こちらは名前だけは聞いたことがあります。登場人物は青ひげ公とユディットの二人だけ。
 物語のあらすじはググっていただくことにして、要するに「知」を望んだ女が「愛」を失うという話しでした。もとになった「青ひげ公」という物語には、さまざまなヴァージョンがあるようですが、今回はみちくさいたしません。
 作曲者のバルトーク(1881〜1945)は、ハンガリーの民族音楽を取り込んだ前衛的な音楽を作る人だと思っていたのですが、このオペラは和声的にも普通でわかりやすく、強烈なリズムもありません。このオペラが創られたのは1911年でバルトーク30歳の頃。リヒャルトシュトラウスの後期ロマン派などの影響も受けていた時期のようです。
 さて、すばらしいのは演出です。何枚ものスクリーンとプロジェクターを使って、これまで見たことのない光の空間を、舞台上に作り出していました。オペラの演出というよりそれ自体が別のジャンルの芸術のようで、「こんなのありか?」という感じでした。演出は、ラ・フラ・デルス・バウスというスペインの演劇集団だそうです。
 歌手では、青ひげ公のサー・ウィラード・ホワイトが、優しくもあり残酷でもある謎の人物青ひげ公を好演。オケの善し悪しはぽん太にはわかりません。
 観客の反応は悪くなく、熱狂的な拍手喝采とまではいきませんでしたが、渋い演目ですからやむを得ません。

 公式サイトにあるパリ国立オペラのジェラール・モルティエ総裁のインタビューによると、今回の日本公演のテーマは「愛と欲望」とのこと。今回の二つの演目も、まさしく「愛と欲望」を描いたものでした。ところでつい先日、歌舞伎で泉鏡花の『高野聖』を観たのですが、これもまた「愛と欲望」がテーマであり、さらに海老蔵と玉三郎が肩から上だけ出して水浴するシーンは「消えた男の日記」を彷彿とさせ、シンクロにシティーにぽん太は驚きました。

パリ国立オペラ初来日公演
2008年7月30日 オーチャードホール

音楽監督/指揮:グスタフ・クーン
企画:ラ・フラ・デルス・バウス
演出:アレックス・オレ/カルロス・パドリッサ(ラ・フラ・デルス・バウス)
装飾/衣装:ジャウメ・プレンサ
演出補:ヴァレンティナ・カラスコ
映像プロデューサー:エマニュエル・カルリエ
照明:ピーター・ヴァン・プラート

消えた男の日記
 作曲:レオシュ・ヤナーチェック
 男:ミヒャエル・ケーニッヒ
 女:ハンナ・エステル・ミニュティロ
 女性たちの声:リー・ヘヨン、レティティア・シングルトン、コルネリア・オンチョイウ

青ひげ公の城
 作曲:ベラ・バルトーク
 青ひげ公:サー・ウィラード・ホワイト
 ユディット:ジャンヌ=ミシェル・シャルボネ

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<パリ国立オペラ初来日公演> 2008年7月21日(月)15:00/兵庫県立芸術文化センター 指揮/グスタフ・クーン パリ・ナチオナル・オペラ管弦楽団 演出/アレックス・オレ/カルロス・パドリッサ (ラ・フラ・デルス・バウス) 美術・衣裳/ジャウメ・プレンサ 照明/ピーター・ヴァン・プラート 映像/エマニュエル・カルリエ 「消えた男の日記」<グスタフ・クーン編曲版・日本初演> 男/ミヒャエル・ケーニッヒ 女/ハンナ・エステル・ミニュティロ 声/リー・ヘヨン/レティティア・シングルトン/ コルネ... [続きを読む]

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