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2008/08/23

【歌舞伎】「野田版 愛陀姫」は意外とシリアスな本格歌舞伎(2008年8月歌舞伎座・第三部)

 8月の歌舞伎座は三部制。ぽん太とにゃん子は本日第三部を観て、明日は第一部・第二部を続けて観る予定です。
 第三部の演目は定番の「紅葉狩」と、野田秀樹の脚本・演出による新作歌舞伎「野田版 愛陀姫」です。昨年の8月納涼歌舞伎で演じられた渡辺えり子の新作歌舞伎「舌切雀」はとんでもないオフザケだったので、今年の野田秀樹もオアソビかと思って歌舞伎座に足を運んだのですが、どうしてどうして、冒頭こそ滑稽なやり取りで始まったものの、シリアスでスケールの大きい本格的な芝居でした。
 「愛陀姫」(あいだひめ)とは変な名前ですが、ヴェルディのオペラ「アイーダ」の翻案とのこと。舞台は織田信秀と斎藤道三の争いに移し替えられ、アイーダは織田信秀の娘・愛陀姫、エジプト王女のアムネリスは斎藤道三の娘・濃姫(のうひめ)、そしてラダメスは木村駄目助左衛門……きむら・だめすけざえもん……きむ「らだめす」けざえもん、です。
 「アイーダ」といえば、ぽん太は今年の4月にペーター・コンヴィチュニー演出のオペラを観ましたが、オチャラケながらも斬新ですばらしい舞台でした。野田はコンヴィチュニーを超えられるのか、という興味もありました。
 脚本は、もともとの「アイーダ」のストーリーに加えて、初めは濃姫が利用していたインチキ祈祷師が次第に力を持つようになり、ついには濃姫を追い落とすに至るという話しと、織田方からさらわれて斎藤方の下女となった愛陀姫と同じように、濃姫自身が戦略結婚によって織田方に嫁ぐことになるという話しが重ねられ、より複雑になっていました。
 オペラだと、アリアという大きい単位で感情が表現されますが、今回の歌舞伎では台詞の一言ひとことでの心理の動きがきめ細かく表現されていました。
 野田お得意の言葉遊びは控えめでした。しかし、愛陀姫が故郷を思う独白や、愛陀姫・濃姫・駄目助左衛門の掛け合い(どの場面だっけ?)など、野田秀樹一流の郷愁溢れる美しい台詞がありました。
 ペーター・コンヴィチュニーが乱痴気騒ぎのパーティーにしてしまった有名な凱旋シーンは、透明ビニールのでっかいゾウさんがかわいかったです。合戦シーンの影絵によるドタバタの趣向も悪くなし。
 野田秀樹には、古典歌舞伎っぽく見せようという意思はなかったようで、「歌舞伎」というよりは、「歌舞伎劇団」を使った「野田演劇」という印象でした。
 音楽はオペラ「アイーダ」の音楽を主に使っていましたが、最後のシーンだけマーラーの交響曲第5番のアダージェット。どうして最後だけマーラーなんだ!どうせなら全部「アイーダ」の音楽にすればいいのに。最後をマーラーにするのなら、逆に途中も「アイーダ」以外の音楽を使えばいいのでは?
 最後の場面で風船が上がって行く演出は余計。抱き合う二人にスポットが当てられただけで十分に美しく崇高でした。

歌舞伎座・八月納涼大歌舞伎
平成20年8月・第三部

一、新歌舞伎十八番の内 紅葉狩(もみじがり)
     更科姫実は戸隠山の鬼女  勘太郎
              山神  巳之助
           従者右源太  高麗蔵
           同 左源太  亀 蔵
            侍女野菊  鶴 松
            腰元岩橋  市 蔵
             局田毎  家 橘
         余吾将軍平維茂  橋之助

二、野田版 愛陀姫(あいだひめ)
              濃姫  勘三郎
             愛陀姫  七之助
        木村駄目助左衛門  橋之助
          鈴木主水之助  勘太郎
              高橋  松 也
           多々木斬蔵  亀 蔵
            斎藤道三  彌十郎
           祈祷師荏原  扇 雀
           同  細毛  福 助
            織田信秀  三津五郎

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