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2008/10/20

【歌舞伎】芝居小屋の雰囲気がいいね!(平成中村座「仮名手本忠臣蔵」2008年10月Dプログラム)

Pa220002 浅草まで「平成中村座」を観に行ってきました。浅草寺裏に仮設テントを建てての公演です。平成12年に始まった「平成中村座」は、今年で5回目の公演だそうですが、ぽん太とにゃん子は初めてです。
 仮設テントの内部は、以前に見た四国の金丸座に似ていて、江戸時代の芝居小屋の雰囲気があります。二階の前方の席は、舞台の幕がしまると、内側に入ってしまう位置にあります。江戸時代の羅漢台や吉野に倣ったものでしょう。「羅漢台」とは、舞台の下手奥に、正面客席と向かい合う形で作られた下級の桟敷席です。ここに観客が座った様子が、まるで五百羅漢のように見えるので、そのような名前がついたのだそうです。羅漢台の2階が「吉野」です。たとえばこちらのサイトにある江戸時代後期の劇場の絵に、羅漢台や吉野が描かれています。(2011.11.30付記:ぽん太は勘違いしておりました。羅漢台や吉野は舞台の下手奥に作られた席です。上にリンクした劇場の絵(こちらにもっと大きな画像があります)の、左奥に描かれています)。テントのため、ヘリコプターの音や、近くの遊園地のアトラクションの叫び声などが聞こえて来ました。ま、これも芝居小屋らしくていいのかもしれません。
 出し物は「仮名手本忠臣蔵」の五段目から七段目。勘太郎の勘平、七之助のおかるの組み合わせは、平成18年の新春浅草歌舞伎で観たことがあります。すると話しの順序としては、前回に比べて今回はどうかということになるのですが、悲しいかなぽん太の狸脳、歌舞伎の初心者であることも加わって、前回の芝居をあまり覚えておりません。
 で、今回の感想に限らせていただけば、敢闘はしているけどいま一歩、という感じでしょうか? 勘平を演じる勘太郎も、頑張ってきっちりと演じているのはわかりましたが、勘太郎が演じると、素直で真面目で素朴で、まるで忠犬柴犬のような感じになってしまい、女にうつつを抜かして大事な場に立ち会えなかったり、誤って撃ち殺した人から奪ったお金を御用金として献じて意気揚々と帰ってくるような、ダメ男の味が出てきません。懐から縞の財布を取り出して見る場面も、取り出した財布と床の上の財布をしげしげと見比べてしまい、義太夫狂言らしいリズムが出てきませんでした。また、切腹をしてからのセリフ回しも、あんまり苦しそうに聞こえませんでした。平右衛門役でも、人のいい真面目なお兄さんという雰囲気になってしまい、奴らしい色気や粋さが感じられませんでした。
 七之助はきれいでよかったです。ただ一力茶屋の場で、二階から鏡に映して手紙を読む姿が、ずれ落ちたみたいに見えたのが気になりました。
 橋之助の由良之助も健闘。頑張って風格を出していましたが、自然と風格がにじみ出てくるには、もう少し年月が必要なのかもしれません。彌十郎の斧定九郎は、あんまり色気がありませんでした。定九郎は、ゾクゾクするような美しい悪人であって欲しいものです。おかやの歌女之丞が、勘平を引き回す時の迫力は少し欠けましたが、大健闘でした。仁左衛門が出ると、芝居が数段引き締まります。大拍手でした。

 忠臣蔵も何度も観たので、今回は台本を読んで予習してから行きました(服部幸雄編著『仮名手本忠臣蔵 (歌舞伎オン・ステージ (8))』1994年、白水社)。おかげで台詞や義太夫の細かい部分が多少よく理解できました。
 特に腹を切った勘平の疑いが晴れた部分。不破数右衛門の「仏果を得よや」という言葉に対して勘平は、「ヤア仏果とは穢らわしや。死なぬ死なぬ。魂魄この土に止まって、敵討ちの御供なさで措くべきか」と答えますが、これは、「オレは成仏などしないで、魂は地上に止まり、敵討ちの手助けをするのだ」と、成仏を拒否して怨霊になることを宣言した恐ろしい台詞です。台本に従えば、勘平はそのまま果ててしまいます。ちなみに台本では塩冶判官も切腹に際して、「生まれ変わり死に変わり、鬱憤を晴らさで措くべきか」と、呪いの言葉を口にします。
 本日の芝居では、勘平の呪いの言葉を聞いた数右衛門(仁左衛門)は「これはいかん」とばかりに頭を振り、「そうだ、いい方法があった」と連判状を取り出して勘平を義士に加えます。これによって勘平は、悪霊とならずに成仏することができた、という救いのある結末になっていました。

 ところで余談ですが、以前にちょっと書いた「ひらかな盛衰記」に「武士道」という言葉が出てくる件、岩波書店の『日本古典文学大系〈第51〉浄瑠璃集』(1960年)でも、やはり「武士道」という言葉が使われています。凡例によると、底本は七行本と書いてありますが、この「七行本」がいつの時代のものなのか、タヌキのぽん太にはちっともわかりません。


平成中村座十月大歌舞伎
通し狂言仮名手本忠臣蔵【Dプログラム】
平成20年10月
  五段目  山崎街道鉄砲渡しの場
       同 二つ玉の場
  六段目  与市兵衛内勘平腹切の場
  七段目  祗園一力茶屋の場
          大星由良之助  橋之助
     早野勘平/寺岡平右衛門  勘太郎
             おかる  七之助
          一文字屋お才  孝太郎
           千崎弥五郎  亀 蔵
            斧定九郎  彌十郎
            判人源六  勘三郎
          不破数右衛門  仁左衛門

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