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2008/12/24

【バレエ】クリスマスの夢のような『シンデレラ』新国立劇場

 新国立劇場に『シンデレラ』を見に行ってきました。公式サイトはこちら
 最初はアリーナ・コジョカルが踊ると聞いて切符を買ったのに、怪我のためラリーサ・レジニナに変更。しかし彼女も初日の上演中に負傷して途中降板。本日のシンデレラはさいとう美帆が踊ることになりました。う〜〜ん。ダンサーに怪我はつきもの。残念だけど仕方がない……。仕方がないけど、残念です。

 第一幕。さいとう美帆を初め、新国立のダンサーたちは見事に踊ってはいるのですが、なんか、「をを」と引きつけられるものがありません。まったりと時間が過ぎて行きます。2幕目になって、王子のヨハン・コボー(公式サイトはこちら)が登場すると、さすがに舞台が引き締まります。いったいどこがちがうんだろ〜。たいしてジャンプが高いわけでもないのに……。そんなことを考えながら舞台を観ていました。バレエ初心者のぽん太には技術的なことはまったくわからないのですが、コボーだと、一つひとつの動作やポーズに感情がこもっているというか、表情があります。日本人のダンサーは、確かに上手に手足を動かしているのですが、それが「バレエの決まりだからそう動かしている」という感じで、内面から感情を伴って出て来た自然な動作になっていないような気がします。可愛い子犬をみて思わず手が伸びる動作と、その動作だけを真似ているのとの違いと申しましょうか。これはダンサーの上手下手という問題だけでなく、そもそもバレエの動きが、西洋人の身体言語になじむように作られているのかもしれません。
 2幕目の舞踏会の群舞は、迫力があってなかなよかったです。また、先日『アラジン』でお見かけした八幡顕光の道化も、飛ぶは廻るは大健闘。

 『シンデレラ』は初めて観る演目でした。振付けがアシュトンで、音楽はプロコフィエフとのこと。幕開きから登場する男性ダンサーが扮した二人の女性は、滑稽な魔女といった感じで、この人たちがシンデレラの義姉と気づくまで3分かかりました。全体にアシュトンの振付けは洗練されていてちょっとコミカルでオシャレでした。1幕目の最後、きらびやかなカボチャの馬車が上手から現れたかと思ったら、舞台を一周してまたたくまに下手に消えて行ってしまいました。せっかくゴージャスなセットなのですから、もっとじっくりと見たかったです。ラストシーンは、闇のなかキャンドルの灯に満天の星空。キラキラと星が降り注いで美しかったです。年末の祭日ということで客席に目立った子供たちには、小さかったころの夢のような記憶として、一生こころに残ることでしょう。
 子供たちといえば、ロビーにサンタがいたり、ネイルアートのコーナーがあったりして、クリスマスの雰囲気を盛り上げていました。「国立」でもこんなサービスができるんですね。
 プロコフィエフの音楽はさすがにすばらしいのですが、なんか『シンデレラ』には合わない。「暗い情念」と「鬼気迫る雰囲気」を感じてしまいます。舞踏会のシーンで、皆が手にオレンジを持ったと思ったら、『3つのオレンジへの恋』の「行進曲」がちらりと流れたりしました。ちなみに「行進曲」をYoutubeで探したら、次のが見つかりました。ヴァイオリンはなんとヤッシャ・ハイフェッツです。ああ、なつかしい。
 ついでに「シンデレラ」の物語について、ちとみちくさ。Wikipediaで調べてみると、民話を元に、ペロー(1628-1703)やグリム兄弟(長兄のヤーコプは1785-1863)が童話にして有名になったそうな。ペローの主人公の名はサンドリヨン(Cendrillon)、グリムではAschenputtelで、どちらも「灰」に関係のある名前で、日本でも「灰かぶり姫」という呼び名もあるそうな。なるほど、だから今日のバレエでも、暖炉の前で一生懸命灰をかき回していたのか。ホントは恐いグリム童話では、義姉たちはなんとかガラスの靴を履こうとして、長女は爪先、次女は踵を自ら切り落とすのだとのこと。さらにラストの結婚式で義姉たちはへつらってシンデレラの両脇に座るが、シンデレラの両肩に止まった白い鳩に目を潰されるのだそうです。おおこわ。このヴァージョンならプロコフィエフの音楽に合いそうです。


『シンデレラ』
CINDERELLA
オペラ劇場
2009年12月23日(夜)

【振 付】フレデリック・アシュトン
【作 曲】セルゲイ・プロコフィエフ
【監修・演出】ウエンディ・エリス・サムス
【指 揮】デヴィッド・ガルフォース

【シンデレラ】さいとう美帆
【王子】ヨハン・コボー
【義理の姉たち】マシモ・アクリ、井口裕之
【仙女】川村真樹
【父親】石井四郎
【春の精】小野絢子
【夏の精】西川貴子
【秋の精】遠藤睦子
【冬の精】寺島ひろみ
【道化】八幡顕光
【ナポレオン】 伊藤隆仁
【ウェリントン】貝川鐵夫
【王子の友人】陳 秀介、冨川祐樹、江本 拓、中村 誠

新国立劇場バレエ団
東京フィルハーモニー交響楽団

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