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2009/01/25

歌舞伎のジャンルを超えた玉三郎の「鷺娘」・2009年1月歌舞伎座昼の部

 歌舞伎座の昼の部も、新橋演舞場と同様、三番叟でスタートです。演舞場の方は滑稽で楽しく、春を祝う農民のお神楽という雰囲気でしたが、歌舞伎座の方は格式と雅びが感じられました。
 次の「俊寛」ですが、ぽん太は、幸四郎はの演技の濃さがちょっと苦手なのですが、『俊寛』だと誰がやっても濃くなるので、かえって気になりませんでした。
 「十六夜清心」は初めて見る演目。粋な菊五郎と美しい時蔵、そして腹に一物ありそうな吉右衛門など、役者が揃っています。華やかでありながらどこか人を狂気に誘うような常磐津にのせて、七五調の名ゼリフや、錦絵のような場面が繰り広げられ、黙阿弥の世界を堪能いたしました。
 さて、今回もっとも感動したのは、玉三郎の『鷺娘』。歌舞伎初心者のぽん太は初めて観ました。長唄をバックに、引き抜きやぶっ返りによる早変わりも交え、確かに歌舞伎舞踊の形式は備えているのですが、玉三郎の身体表現は、歌舞伎のジャンルを超えた芸術性があるように思いました。ストーリー性もあって、コンテンポラリー・ダンスといっても間違いではないでしょう。最後の鷺娘が倒れて動かなくなっていくところは、クラシック・バレエの『瀕死の白鳥』を連想しましたが、家に帰って筋書を見たら、な〜んだ、ちゃんと書いてありました。
 筋書の「解説と見どころ」によれば、1762年(宝暦12)に江戸市村座で『柳雛諸鳥囀』(やなぎにひなしょちょうのさえずり)という舞踏のひとつとして初演されましたが、振りは絶えてしまい、曲のみが伝承されていました。これを九世市川團十郎が1886年(明治19)に『月雪花三組杯觴』(つきうきはなみつぐみさかずき)のなかで復活し、曲節も三世杵屋正治郎が大幅に手を加えたそうです。また同じく筋書の「歌舞伎座ゆかりの舞踊三題」(石山俊彦)によると、大正時代に六世菊五郎が、アンナ・パヴロワの『瀕死の白鳥』を観て、その要素を取り入れたそうです。
 『瀕死の白鳥』は、1907年にペテルブルクのマリインスキー劇場でアンナ・パヴロワによって初演されました。振付けはミハイル・フォーキン、音楽はサンサーンスの『動物の謝肉祭』のなかの「白鳥」です。パヴロワは世界各国でこの作品を踊りました。日本では、1922年(大正11年)に公演が行われ、大好評を博したそうです。パヴロワは日本の文化人にも大きな影響を与え、六代目菊五郎との交流は有名なのだそうです(知らんかった)。アンナ・パヴロワの『瀕死の白鳥』の動画(Youtube)はこちら

歌舞伎座
歌舞伎座さよなら公演・壽初春大歌舞伎
平成21年1月・昼の部

一、祝初春式三番叟(いわうはるしきさんばそう)
               翁  富十郎
              千歳  松 緑
              千歳  菊之助
              後見  松 江
              後見  錦之助
             三番叟  梅 玉

二、平家女護島
  俊寛(しゅんかん)
            俊寛僧都  幸四郎
            海女千鳥  芝 雀
          丹波少将成経  染五郎
           平判官康頼  歌 六
          瀬尾太郎兼康  彦三郎
         丹左衛門尉基康  梅 玉

三、花街模様薊色縫
  十六夜清心(いざよいせいしん)
              清心  菊五郎
             十六夜  時 蔵
            恋塚求女  梅 枝
            船頭三次  歌 昇
    俳諧師白蓮実は大寺正兵衛  吉右衛門

四、鷺娘(さぎむすめ)
             鷺の精  玉三郎

【参考文献】
[1] 渡辺真弓監修『バレエの鑑賞入門 (ほたるの本)』世界文化社、2006年

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