【オペラ】しばし不況を忘れる新国立の『こうもり』
『こうもり』は昨年の7月に小澤征爾音楽塾で観てとても楽しかった演目。また新国立劇場オペラは、先日『蝶々夫人』で大感動したばかりなので、期待に胸が高まります。新国立劇場の過去の演目サイトはこちらです。
アイゼンシュタインを歌ったクレンツレは、歌も演技も大満足。ロザリンデのナーデルマンは、美人でスタイルはいいものの、ちょっと声量に欠ける気が。雰囲気が軽めで、なんか御主人よりも浮気っぽそうな気がします。チャールダーシュもちと迫力不足でした。アデーレのオフェリア・サラは、声を自由自在にこ〜ろころと転がし、超音波のような叫び声をあげたりして好演でした。クールマンはタッパがあるせいもあって、冷酷なロシアの公爵を力強く演じていました。アルフレード役の大槻孝志のテノールが声量ある歌手に混ざって一歩も引かず。フロッシュのフランツ・スラーダ、とてもコミカルで面白かったです。「ショウチュ!」という言葉がまだ耳に残ってます。
全体としては、ちょっと会話が間延びしている感じがしました。オケも、ヨハン・シュトラウスらしいナキというかネバリというかがなかった気がしましたが、あるいは席がオケから遠かったせいかもしれません。セットは絵本みたいでおもしろかったです。ただ、舞台の奥に円形の広いセットがあり、それを隠すように背景を作って手前のスペースで舞踏会の場面や刑務所の場面が演じられたので、なんだか狭っくるしかったし、奥の円形のセットも効果的に使われていたようには思えませんでした。
とはいえ楽しくオシャレな舞台を満喫。不況なんか忘れて、みんなシャンパンを飲もうよ!……ってわけには行きませんよね。
『こうもり』
2009年2月1日、新国立劇場オペラ劇場
【作 曲】ヨハン・シュトラウスⅡ世
【台 本】カール・ハフナー/リヒャルト・ジュネー
【指 揮】アレクサンダー・ジョエル
【演 出】ハインツ・ツェドニク
【美 術・衣装】オラフ・ツォンベック
【振 付】マリア・ルイーズ・ヤスカ
【照 明】立田 雄士
【芸術監督】若杉 弘
【ガブリエル・フォン・アイゼンシュタイン】ヨハネス・マーティン・クレンツレ
【ロザリンデ】ノエミ・ナーデルマン
【フランク】ルッペルト・ベルクマン
【オルロフスキー公爵】エリザベート・クールマン
【アルフレード】大槻 孝志
【ファルケ博士】マルクス・ブリュック
【アデーレ】オフェリア・サラ
【ブリント博士】大久保 光哉
【フロッシュ】フランツ・スラーダ
【イーダ】平井香織
【合 唱】新国立劇場合唱団
【管弦楽】東京交響楽団
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