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2009/04/22

【オペラ】だんだんよくなる新国立劇場の『ワルキューレ』

 先日見た新国立の『ラインの黄金』は、荘厳さや神々しさに欠けていたのでぽん太はちと不満でした。今回の『ワルキューレ』はどうでしょう?『ワルキューレ』は、3年前にメトロポリタン歌劇場の来日公演で、ドミンゴがジークムントを歌った正統派の演出で観た演目。新国立の方はどうなのか、ちょっと不安が残ります。ちなみに今回の公演の公式サイトは こちらです。
 で、実際に観てみたら、なかなかよかったです。キース・ウォーナーの演出にぽん太も慣れてきたででしょうか、「今回もフリッカはビジネス・スーツで出てほしかったな〜」などと思ってしまいました。
 『黄金』ではヴォータンは、巨人をだまして城を建てさせたり、妻の妹を借金のかたにしたり、指輪のことを知ると欲しがり、それを手に入れるためにアルベリヒの指を切り落としたりと、やりたい放題でした。しかし『ワルキューレ』では、神の世界の将来を思ったり、掟と欲望の狭間で悩んだり、娘を神々の世界から追放して永遠の眠りにつかせながらも燃え盛る炎で包んであげたりと、「意外といい人じゃん」と思いました。ラジライネンの表情が、泣きたいのをこらえているガキ大将みたいでよかったです。ラストではじっと8ミリ映画に見入りるヴォータン。見えないスクリーンには、小さかった頃のブリュンヒルデでも映っているのでしょうか。
 とはいえキース・ウォーナーの演出に違和感がなかったわけではありません。有名な「ワルキューレの騎行」は、救急病院を舞台に、看護婦姿のワルキューレたちが、ストレッチャーで次々と勇者たちを運び込んでくるという設定で、その奇抜さにぽん太は目を奪われ、名曲の誉れ高い音楽に集中することができませんでした。またポスターにも使われている、巨大な木馬がせり上がってくるシーン。確かに視覚的には面白いですが、ヴォータンがときおり木馬の後ろに行ったり、ブリュンヒルデがしばしまたがったと思ったらまた降りてきたりするだけで、効果的に使われているとは思えません。新国立劇場の装置のすごさと、お金の掛け方には驚くものの、不況のおりだけに、「税金の無駄遣い」という言葉が頭に浮かんでくるのをどうすることもできません。
 しかし全体としてはおおいに満足。続く『ジークフリート』と『神々の黄昏』が楽しみになりました。


楽劇「ニーべルングの指環」第1日
ワルキューレ
2009年4月9日・新国立劇場オペラ劇場

【作曲/台本】リヒャルト・ワーグナー
【指揮】ダン・エッティンガー

《初演スタッフ》
  【演 出】キース・ウォーナー
  【装置・衣裳】デヴィッド・フィールディング
  【照 明】ヴォルフガング・ゲッベル

【芸術監督】若杉 弘

【ジークムント】エンドリック・ヴォトリッヒ
【フンディング】クルト・リドル
【ジークリンデ】マルティーナ・セラフィン
【ヴォータン】ユッカ・ラジライネン
【ブリュンヒルデ】ユディット・ネーメット
【フリッカ】エレナ・ツィトコーワ
【ゲルヒルデ】高橋知子
【オルトリンデ】増田のり子
【ワルトラウテ】大林智子
【シュヴェルトライテ】三輪陽子
【ヘルムヴィーゲ】平井香織
【ジークルーネ】増田弥生
【グリムゲルデ】清水華澄
【ロスヴァイセ】山下牧子

【管弦楽】東京フィルハーモニー交響楽団

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