【ロシア旅行(6)】歴史ある古都を巡る(スズダリ、ウラジーミル)
黄金の環のひとつスズダリは、中世の雰囲気を残したいなか町です。湾曲したカーメンカ川を天然のお堀として築かれています。カーメンカ川は直訳すると「石川」だそうで、川底に石が多いことことからそう呼ばれているそうです。真新しい木造の橋がかかっておりますが、夏用の橋が架けられたばかりだそうで、冬の間は川が凍っていますから、そのままそりが通るのだそうです。
スズダリの南には「木造建築博物館」があり、周辺の村から移築された木造建築を見ることができます。写真は一般的な農家の建物です。窓の周辺に美しい装飾がありますが、魔除けの意味もあるそうです。このあたり(?)では、家を新築すると、最初にネコを中に入れるのだそうです。というのは、新築の家に最初に入った生き物は死んでしまうという言い伝えがあるのだそうです。じゃ、ネコは死んでいいの、ということになりますが、ネコは7たび生まれ変わると言われているのだそうです。
ドアを入ると、ダイニングキッチンとなります。写真には写っていませんが、正面の角のあたりにイコンが飾ってあります。椅子は伝統的にはベンチで、チェアーはヨーロッパから入って来たものだそうです。
白く大きいものがペチカです。右の開口部が火を入れるところで、調理にも使われます。大きなペチカの中を熱い空気が巡るようになっていて、ペチカ自体が熱を溜め込むので、燃やし続ける必要はなく、気温に応じて何日かおきに火を焚けばいいのだそうです。奥のペチカの上のスペースは、病人やお年寄りが寝る場所でした。写真左側の天井が少し低くなっていると思いますが、その上の高さ数十センチのスペースが、熱が高いところに行くことを利用して、子供たちの寝床になっていたそうです。
ちなみにこれがスズダリの現代の農家。とてもカラフルできれいで、窓の装飾も美しいです。別に観光用の建物というわけではなく、普通に住んでいる建物で、ハイウェイ沿いにある普通の村の農家も(これほどではありませんが)同じようにカラフルで可愛らしいです。
スズダリのもうひとつの見所は、スパソ・エフフィミエフ修道院です。写真はスパソ・プレオブラジェーンスキー聖堂で、7つのドームを持つ、16世紀に建てられた美しい建物です。先ほどの農家や、こういう教会の建物を見ると、ロシア人というのは本当は可愛らしいものが好きな素朴な人たちではないかと思えて来ます。
スズダリの次に訪れたのは、ウラジーミルです。ここは歴史ある古都で、左の写真の、キエフ・ルーシ王朝のウラジーミル・モノマフ公が1108年にここに要塞を築いたのが、この町の始まりです。モノマフ公は、ロシアにキリスト教を伝えたひとでもあるそうです。やがてここはウラジーミル・スズダリ公国の首都となり、さらに南から遊牧民の侵入が始まると南にあるキエフは衰退し、1169年ウラジーミルがルーシ王朝の首都になりました。こうしてウラジーミルは黄金時代を迎えましたが、1238年にモンゴル軍の侵入を受けて町は破壊され、約50年後に町を取り戻しはしたもののかつての勢いは戻らず、政治の中心はモスクワに移って行きました。
1185年に建設が開始されたウスペンスキー大聖堂は、14世紀はじめまではロシアの最高位にあった教会だそうです。有名なイコン画家アンドレイ・ルブリョフが内部の装飾に関わり、『最後の審判』のフレスコ画は、彼の作と言われています。聖堂の内部には歴代の公の廟があり、ウソかホントか、アレクサンドル・ネフスキーの指が保存されており、ガラス越しに見ることができます。指以外の遺骸は1724年に、以前の記事で書いたサンクトペテルブルクのアレクサンドル・ネフスキー修道院に移されました。
ウスペンスキー大聖堂は高台にあり、南にはクリャージマ川が流れ、その向こうには大平原がひろがります。ここをモンゴル人が攻め上って来たのですね。川の手前に見える鉄道はシベリア鉄道で、これを写真左の方向に延々と行くと、ウラジオストクに至ります。
ウラジーミルのもうひとつの有名な建物は、ドミトリーエフスキー聖堂です。ロシアには珍しく、外壁一面に美しいレリーフが刻まれております。
さて、ウラジーミルの観光を終えて、一路バスでモスクワへ。ところがこの日は4連休の最終日。行楽から帰るロシア人の車で大渋滞です。みなさん、写真を見て、この道路は何車線だと思いますか。正解は2車線です。バスが走っているのが右側の車線で、バスの右の車列は路肩、そしてさらに右を走っているの車は路肩の路肩です。路肩の路肩を走る車が巻き上げる土煙で、視界はすっかり霞んでしまっております。ホテルに着いたのは夜の10時頃。みんな腹ぺこでくたくたです。明日はいよいよモスクワの観光です。
| 固定リンク
« 【ロシア旅行(5)】セルギエフ・パサード(トロイツェ・セルギエフ大修道院、アンドレイ・ルブリョフのイコン、ボリス・ゴドゥノフの墓、クヴァス) | トップページ | 【クラシック】さるやんごとなきお方がヴィオラを!・俊友会管弦楽団「第九」 »
「旅・宿・温泉」カテゴリの記事
- 【温泉】玉子湯再訪(福島県高湯温泉)(★★★★)(2020.04.15)
- 【スキー】快晴の蔵王スキー場。樹氷ニョキニョキ外人いっぱい。(2020.03.06)
- 【温泉】和モダンに生まれ変わった湯治宿。峩々温泉(★★★)宮城県(2020.03.05)
- 【温泉】歴史ある宿がワイナリーもオープン。中棚荘(長野県小諸市)(★★★★)(2019.12.26)
- 【温泉】こんなところに秘湯中の秘湯が!赤滝鉱泉@栃木県矢板市(★★★★★)付:八方台のレンゲツツジ(2019.06.12)
コメント