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2009/05/16

【バレエ】代役の東野泰子が健闘・ドラマチックなKバレエの「ジゼル」

 ジゼル役のヴィヴィアナ・デュランテが怪我で降板とのこと。ううう、残念です。でも、クマツテ降板よりはいいか、と気を取り直して渋谷のオーチャードホールに行ってきました。
 ジゼルの代役は東野泰子。1幕は笑顔が可愛らしく、とてもチャーミングでした。また2幕ではとても軽くて柔らかく、重さがないかのように踊っておりました。ただ1幕では「はかなさ」に欠ける気がしたのと、アルブレヒトに裏切られたことを知ってからの演技が、いきなり壊れちゃったみたいで、花占いなどの幸福な場面を繰り返す演技も、ロボットみたいでした。ぽん太は発狂していくジゼルよりも、ジゼルを死なせなことを嘆く熊川のアルブレヒトの方に感動してしまいました。また2幕では、「裏切った男を許す女」という、思わずひれ伏したくなるような気高さがありませんでした。でも全体としては代役とは思えないすばらしさで、今後にますます期待。
 熊川哲也は、膝の故障を感じさせない高いジャンプと安定した回転で、2幕のソロはすっかり魅了されました。また、演技力もすばらしかったです。浅川紫織のミルタは、長い手足が美しく、神秘的で冷酷でもあるミルタを見事に表現しておりました。2幕でウィリたちがアラベスク(?)で交差していく見所は、なんだか足が下がっていた気がしたのですが、あんなものでしょうか?
 Kバレエ版の『ジゼル』は、美しい舞台装置と、物語性を重視した演出はいつも通り。ストーリーを伝えるためにマイムが多くなりますが、1幕で母親がジゼルに対し長々と行っていたマイムは、「若い娘が踊ってばかりいるとウィリになっちゃいますよ」みたいなことを語っているのでしょうか?バチルドがとってもタカビーな嫌な女に描かれていて、ジゼルが手の甲に口づけしょうとすると、「汚らしいわね」とばかりに手を引っ込めたりします。ということでアルブレヒトは、バチルドと仕方なしに結婚するのであり、ジゼルのことを本当に愛していた、という設定のようです。とはいえ、結婚できるはずのないジゼルに愛を誓ったあたりは、アルブレヒトの若さなのか、弱さなのか。1幕の最後でアルブレヒトは、ヒラリオンだけでなく、ジゼルの母や村人たちからも「おまえのせいだ」と非難され、自分の浅はかな行為が引き起こした不幸を前に泣き叫びます。普通だとアルブレヒトは従者に促されてどさくさまぎれにちゃっかり姿を消したりするのですが、クマテツは去りかけてもう一度戻ってきて、泣き叫ぶところで幕となります。2幕では、「ここにいれば安心です」とジゼルがアルブレヒトを十字架に誘う仕草はありませんでした。ラストでは、アルブレヒトはジゼルの墓にうつぶした状態で目を覚まします。すべては夢だったのでしょうか?ジゼルが落としていった百合の花を目にしたとき、アルブレヒトは何を思ったのか。余韻を残して幕となります。
 とてもドラマチックな『ジゼル』で、なかなかよかったです。

『ジゼル』GISELLE
2009年5月13日(水) Bunkamuraオーチャードホール
●芸術監督 Artistic Director  熊川哲也 Tetsuya Kumakawa
Spring Tour 2009
●演出・再振付 Production/Additional Choreography 熊川哲也 Tetsuya Kumakawa
●原振付 Original Choreography マリウス・プティパ(ジャン・コラーリ/ジュール・ペロー版による)
●音楽 Music アドルフ・アダン Adolphe Adam

ジゼル Giselle 東野泰子 Yasuko Higashino
アルブレヒト Albrecht 熊川哲也 Tetsuya Kumakawa
ヒラリオン Hilarion スチュアート・キャシディ Stuart Cassidy
【第1幕 Act 1】
6人の村人達の踊り Peasant Pas de Six
副智美 Satomi Soi / 遅沢佑介 Yusuke Osozawa
白石あゆ美 Ayumi Shiraishi / 中村春奈 Haruna Nakamura
伊坂文月 Fuzuki Isaka / 西野隼人 Hayato Nishino
ジゼルの母親ベルト Berthe,Giselle's Mother ニコラ・ターナ Nicola Tranah
クールランド公爵 The Duke of Courland ショーン・ガンリー Sean Ganley
公爵の娘バチルド Bathilda,Duke's Daughter 松根花子 Hanako Matsune
アルブレヒトの従者ウィルフリード Wilfred,Albrecht's Squire
デイビッド・スケルトン David Skelton
【第2幕 Act 2】
ウィリーの女王ミルタ Myrhta,Queen of the Wilis 浅川紫織 Shiori Asakawa
モイナ Moyna 木島彩矢花 Sayaka Kijima
ズルマ Zulme 樋口ゆり Yuri Higuchi
 Marius Petipa(after Jean Coralli,Jales Perrot)
●舞台美術・衣裳 Set and Costume Design ピーター・ファーマー Peter Farmer
Tetsuya Kumakawa K-BALLET COMPANY
●照明 Lighting Design  足立恒 Hisashi Adachi  ●指揮 Conductor 井田勝大 Katsuhiro Ida
●演奏 シアターオーケストラトーキョー THEATER ORCHESTRA TOKYO
村人達、狩りの一行、ウィリー達 Peasants,Hunt Peaple,Wilis
Artists of K-BALLET COMPANY

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コメント

あわおどりーなさん、コメントありがとうございます。
デュランテが途中降板した「ジゼル」を見られたのですね。
バレエに怪我はつきものですが、ぽん太も見たかったです。
これからもときどきお立ち寄りください。

投稿: ぽん太 | 2009/06/26 08:25

EEのこと調べていてこちらにたどり着きました。
ためになりました。はともかく。
Kバレエのジゼル、1日目を見ました。大宮の公演です。
構成と大道具・小道具が良いですねー。
ジゼルは本当に愛らしくて、狂乱場面も思わず涙ぐむほど素晴らしい表現でしたよ。2幕目も見たかったですがケガでは仕方ないですよね・・・。

ちょっと嬉しくなってしまったのでコメント残しました。
では、面白くてためになるブログを楽しみにしていますね。

投稿: あわおどりーな | 2009/06/09 14:25

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