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2009/05/23

【バレエ】ザハロワの踊りに牧阿佐美の演出・新国立劇場『白鳥』

 ザハロワの『白鳥』は昨年ボリショイ・バレエの来日公演で観ましたが(その時の記事はこちら)、何度観てもいいと思い観に行ったところ、やはり何度観てもよかったです。新国立劇場の公式サイトはこちらです。今回は前の方の席がとれたので、ザハロワの動きが細かいところまで見れたのですが、ぽん太は特に彼女の手の動きに魅せられました。どんなに素早い動きでも、手は常に柔らかく滑らかに動き、瞬発的な動きをすることはありません。指の先にいたるまで、常に神経が行き届いている感じです。オデットと王子のグラン・パ・ド・ドゥで、オデットがエビ反って倒れるのを王子が支える動きでも(すみません、ぽん太はバレエ用語がわかりません)、バンザイしたオデットの両腕は羽毛のようにゆっくりと柔らかく下がって行きます。ときにオディールが空に向かって勢いよく突き上げる手の指が、指鉄砲の形になっていたのも初めてわかりました(常識か?)。
 ウヴァーロフは、前述のボリショイ・バレエの『白鳥』と、昨年のポリーナとの『ドンキ』(そのときの記事はこちら)で観たことがありますが、今回近くで観たせいか、柔らかくて大きくて安定した踊りにこれまた感動いたしました。
 新国立組では、道化の八幡顕光のジャンプや回転がすばらしかったです。また湯川麻美子のルースカヤも雰囲気がありました。
 気になったことは、まず会場で配られたキャストに書かれた曜日が間違っていたこと。それから、道化がグラスを持って踊ると、衣装とグラスがぶつかってカチカチ音がすること。また端っこの席だったせいかもしれませんが、オケがいまいち合ってない気がしました。
 現在の新国立の『白鳥』は牧阿佐美改訂版とのこと。基本的に牧阿佐美は、ロマンチック・バレエ風に物語を具象的に表現することよりも、踊りの抽象的な美しさを目指しているようです。プロローグがあって、オデットがロッドバルトによって白鳥に変えられますが、セットもモダンな感じで、針仕事をしていたりして、お姫様じゃなくて普通の家のお嬢さんみたいです。第一幕は、舞台奥にアーチを支える柱があり、城の内部かと思いましたが、よく見ると手前に樹々があるので、お城の庭のようです。してみるとアーチは庭にあるなにかの構造物か?集っている人たちは貴族と村人でしょうか、衣装が抽象的でよくわかりません。マイムも少なく、王妃が王子に「明日はお嫁さんを決めなくては行けませんよ」というマイムもなかったような気がします。今回は道化が登場しましたが、道化ありのパターンがぽん太は好きです。第一幕の最後には「マザコン王子の憂うつ踊り」が入ってました。第三幕と第四幕の間に幕の手前で王子がソロを踊るのは初めて見た気がするのですが、第一幕の終わりの「ママが言う通り好きでもない人と結婚するのはいやだなあ」という踊りと、愛に目覚め過ちも犯して成長した王子の踊りとの対比が面白かったです。第三幕では、ボリショイのグレゴリーヴィチ版やABTのマッケンジー版のように、お妃候補がそれぞれの民族舞踊団を伴って入場して来ます。ところが民族舞踊は、スペイン、ナポリ、ロシア、ハンガリー、ポーランドの5つなのに(ロシアが入ってるのも珍しいですね)、お妃候補はゾロゾロと6人出て来ます。数が合わんがな。あとでにゃん子に聞いたら、ひとりだけお妃候補が舞踊団を連れずに入場して来たとのこと。民族舞踊団を雇えない貧しいお妃候補なんでしょうか?まずお妃候補の踊りがあり、王子が全員を拒否し、次にオディールとロットバルトが入場して来て、そのあと民族舞踊が踊られるのですが、この流れはなんか不自然な気がします。突然オディールとロットバルトが入場して来て、王子がオディールを気に入っているということがわからない段階で、ロットバルトが図々しくも王妃の横に座った状態で、結婚を断られたお妃候補が連れて来た舞踊団をみんなで仲良く鑑賞するという意味がわかりません。また普通は、オディールと王子が踊る途中でオデットが苦しんでいる姿が現れ、王子が不審に思い、ロットバルトがオデットの姿をかき消し、オディールが白鳥のような仕草をして「なに勘違いしてるの?ほら、私があの時の白鳥じゃない」とばかりに踊るのですが、そのあたりの流れが牧阿佐美演出では曖昧でした。第四幕では、湖に駆けつけて来た王子とオデットとのパ・ド・ドゥの振付けが、リフトやピルエットやエビ反りを繰り返すばかりで、ちょっと退屈な気がしました。オデットが、王子との再会を喜んでいるのか、王子に裏切られたことを悲しんでいるのか、ちっともわかりませんでした。そこがはっきりしないために、ラストの感動が少し薄れた気がします。
 というようなわけで物語の流れは少し混乱しているように思えましたが、踊りや衣装の美しさはとてもすばらしかったです。


白鳥の湖
2009年5月21日・新国立劇場オペラ劇場
【振 付】マリウス・プティパ/レフ・イワーノフ
【演出・改訂振付】牧 阿佐美
【作 曲】ピョートル・チャイコフスキー
【装置・衣裳】ピーター・カザレット
【指 揮】アレクセイ・バクラン
【管弦楽】東京フィルハーモニー交響楽団

【オデット/オディール】スヴェトラーナ・ザハロワ
【ジークフリード王子】アンドレイ・ウヴァーロフ)
【ルースカヤ】川村真樹
ロートバルト: 貝川鐵夫
王妃:西川貴子
道化:八幡顕光
王子の友人(パ・ド・トロワ):
 さいとう美帆 小野絢子 芳賀 望
 江本 拓
小さい4羽の白鳥:さいとう美帆、本島美和、寺島まゆみ、小野絢子
大きい4羽の白鳥:川村真樹、丸尾孝子、堀口 純、小村美沙
スペインの踊り:寺島まゆみ、楠元郁子
 芳賀 望、中村 誠
ナポリの踊り:伊東真央、井倉真未、福田圭吾
ハンガリーの踊り: 西山裕子、マイレン・トレウバエフ
2羽の白鳥:川村真樹、大湊由美

新国立劇場バレエ団

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