« 【猫駅長】「ばす」に駅長の気概を感じた・会津鉄道芦ノ牧温泉駅 | トップページ | 【歌舞伎】仁左衛門の「女殺油地獄」は一生の思い出です・2009年6月歌舞伎座昼の部 »

2009/06/26

【温泉】情緒と妖しさを併せ持つ那須・北温泉旅館(★★★★★)(付:つげ義春)

P6030111 前回北温泉旅館に泊まったのはかれこれ20年ほど前だったでしょうか、雪の積もった坂道を、足を滑らせながら降りて行った記憶があります。そのときの印象に比べ、20年たってちっとも新しくなっていないというか、20年分さらに古びているのがうれしいです。
 北温泉は、その名の通り、那須温泉郷の一番北の端にあります。こちらが公式サイトです。
P6030105 古い木造建築が立ち並ぶ様子からは、いにしえの湯治のにぎわいが感じられ、隠れ里に紛れ込んだような気になります。
P6030104 つげ義春のイラストにも描かれている名物の「温泉プール」は、いまも健在でした。
P6030107 玄関でネコがお出迎え。薄暗いのでピンぼけです。
P6040134 玄関を入ると、古くて雑然としています。ストーブで干しているゴム手袋がいい味を出しています。
P6040136 帳場も江戸時代の雰囲気で、まるでタイムスリップしたかのようです。
P6030108 建物は、昭和時代・明治時代・江戸安政期の三種類ありますが、古い建物が好きなぽん太とにゃん子は、迷わず江戸安政期を選びました。値段も一番安いです。なるほど江戸末期の温泉宿とはこういうものだったのかと、感心することしきりです。
P6030129 夜も更けて寝る態勢入っていると、なにやら戸の外側でにゃ〜にゃ〜と呼ぶ声が。戸を開けるとネコのご訪問です。玄関にいたのとは別のネコようです。しばらくくつろいで帰って行きました。ぽん太とにゃん子はすっかり癒されました。
P6040140 さて温泉ですが、冒頭の写真が名物の天狗の湯。混浴です。お湯は無色透明で、湯量がとても豊富。もちろん源泉掛け流しです。並んで打たせ湯と家族風呂もあrます。そしてこちらの写真は、男性用の露天風呂(河原の湯)です。背後には砂防堰堤があります。砂防堰堤というと、環境破壊の構造物の代表と思っていたのですが、温泉成分のせいか肌色に変色しており、キリコの世界のようなシュールな寂寥感があります。堰堤に叙情を感じたのは、生まれて初めてです。
P6040147 こちらは温水プールの横にある浴室(相の湯)です。明治時代の物だそうで、木造の浴槽が風情があります。源泉は何種類かあるようで、天狗の湯は無色透明でしたが、どれだか忘れましたが鉄分を感じるものもありました。湯量はとにかく豊富で、もちろんすべて源泉掛け流しです。
P6030123 こちらは夕食です。けっして豪華ではありませんが、湯治場風の雰囲気にあっています。
P6040131 こちらがお食事処。古い天井の高い建物で、明治チックな写真やオブジェがいっぱいあります。
P6040133 こちらが朝食。おいしゅうございました。
P6030116 天狗の湯のさらに奥に、鬼子母神が祀られています。建物は新しく作り替えられてますが……
P6030118 古い彫刻が保存してありました。極彩色に塗られており、日光東照宮のようです。
 江戸時代の湯治の雰囲気を現代に伝え、素朴でひなびた雰囲気、格安のお値段、豊富なお湯とバラエティーに富んだ浴室など、ぽん太の評価は文句無しの5つ星です。

 先ほどちらと触れましたが、北温泉は、つげ義春が好んだことでも有名です。ぽん太が知る限り、つげ義春が描いた北温泉のイラストは4枚あります。3枚は白黒のペン画で、『桃源行』という題のイラスト集のなかに入っています(ちくま文庫の『苦節十年記/旅籠の思い出―つげ義春コレクション』が値段も手頃で入手しやすいです)。『ポエム』(すばる書房)に1976年(昭和51年)9月号から半年間連載されたもので、詩人・正津勉のエッセイがついていたそうです。この年に二人は取材のために北関東・東北の温泉を巡りました。この年には「夜が摑む」や「夢日記」を発表しており、つげ義春は翌年あたりから「ノイローゼ」で苦しむようになるのですが、「桃原行」にはその予兆が感じられ、夜の温水プールに小さな人影があるイラストなどは寂しさを超えた恐怖感を感じます。『つげ義春の温泉』(カタログハウス、2003年)には、さらにこのときつげ義春が写した写真が2枚掲載されています。1枚は天狗の湯の隣にあるうたせゆです。もう1枚にも浴室が写っておりますが、この写真は胸をはだけた女性が描かれたイラストの元になっているようです。ところがこの浴室が、どこだかわかりません。湯口に特徴があるのですが、現在は残っていないようです。ぽん太の推測では、上に写真をあげた相の湯と呼ばれる浴室に、男女を分ける真ん中の壁ができる以前の写真ではないかと思うのですが、いかがでしょう?
 北温泉のイラストはもう1枚、温水プールをカラーで描いたものがあるはずなのですが、手元の資料を探したのですが見つかりませんでした。こちらのサイトで見ることができます。初出をご存知の方は教えて下さい。


|

« 【猫駅長】「ばす」に駅長の気概を感じた・会津鉄道芦ノ牧温泉駅 | トップページ | 【歌舞伎】仁左衛門の「女殺油地獄」は一生の思い出です・2009年6月歌舞伎座昼の部 »

旅・宿・温泉」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 【温泉】情緒と妖しさを併せ持つ那須・北温泉旅館(★★★★★)(付:つげ義春):

« 【猫駅長】「ばす」に駅長の気概を感じた・会津鉄道芦ノ牧温泉駅 | トップページ | 【歌舞伎】仁左衛門の「女殺油地獄」は一生の思い出です・2009年6月歌舞伎座昼の部 »