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2009/07/13

【歌舞伎】七之助が妖しく光る・コクーン歌舞伎「桜姫」

 恒例のコクーン歌舞伎、今年の演目は「桜姫」でした。こちらが公式サイトです。
 長方形の舞台が客席側に張り出しており、舞台の左右にも客席がしつらえてあります。見上げると舞台上方に屋根が架かっており、能舞台のような造りです。勘三郎は、昨年10月の平成中村座では、江戸後期の芝居小屋を模した劇場を造りましたが、今回は江戸初期の芝居小屋を再現したと思われます。ちなみにこちらのサイトで、江戸初期の芝居小屋の絵を見ることができます。今回の舞台配置と似ていることがわかると思います。ただし今回は「橋掛かり」はありません。
 「桜姫」という演目はぽん太は初めてでしたが、男色あり殺人あり幽霊あり濡れ場あり、登場人物が複雑に絡み合うプロット、猟奇的でおどろおどろしい舞台は、いかにも鶴屋南北です。その分、感情移入して感動するという芝居ではありませんでした。鶴屋南北は、1775年(宝暦5年)に生まれて1829年(文政12年)に死去した江戸時代後期の戯作者です。鶴屋南北には平成中村座のような芝居小屋が合うと思うのはぽん太だけでしょうか。江戸時代初期の能舞台風の芝居小屋には、近松門左衛門などの古風な演目が合うような気がします。
 七之助のすばらしさが目立ちました。公家のお姫様の高貴でかわいらしい様子、一転して気っ風のいい姉御風の演技、見た目の美しさは言うまでもなく、ますます進化しているような気がします。
 串田和美の演出も、アイディアをちりばめながら目立ちすぎることがありませんでした。舞台奥の一段高いところにも、サントリーホールのように客席がしつらえてあったのですが、開幕で劇場全体が真っ暗になったあと、舞台奥の客席の最上部に勘三郎と七之助がライトアップされた時は、その意外な登場と美しさとに、客席からため息があがりました。ただしラストの光の玉が登っていく演出は、野田秀樹の「愛陀姫」を見たぽん太には二番煎じに感じました。
 舞台上手の客席には、幕間にビニールシートが配られました。こ、これは水しぶきがあがるのか?実際は勘三郎が水の入った器を投げる時、わざとらしく客席に水をぶちまけました。あまり演出上の必然性はなさそうで、お客さんを喜ばせるお決まりのお遊びという感じでした。


第十弾 渋谷・コクーン歌舞伎
「桜姫」

平成21年7月、シアター・コクーン

串田和美 演出
美術・松井るみ
照明・齋藤茂男

    中村 勘三郎
    中村 橋之助
    中村 七之助
    笹野 高 史
    片岡 亀 蔵
    坂東 彌十郎
    中村 扇 雀

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■日時:2009年7月12日(日)、16:00〜 ■劇場:東急文化村・シアターコクーン ■作:四世鶴屋南北 ■演出:串田和美 ■出演:中村勘三郎、中村橋之助、中村七之助、笹野高史、他 本日はコクーン歌舞伎「桜姫」のことを書きたいと思います。原作は鶴屋南北の「桜姫東文章」。ボク的には今年になって発見した(気づいたと言ったほうがいいかも)江戸時代の天才劇作家の作品となります。同じ江戸の劇作家・近松門左衛門もかなりいい感じなのですが、南北の破天荒さは、とにかくスコーンと突き抜けていて爽快感さえ感じます。... [続きを読む]

受信: 2009/07/14 22:01

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