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2009/08/13

【歌舞伎】楽しい芝居と本格派の踊り・2009年8月歌舞伎座・第一部/第二部

 夏だ!納涼歌舞伎だ!……とはいえ、台風が来たり、地震があったり、皆既日食もあったし、天変地異の年ですね。さて、8月はいつもの3本立て。今日は第一部と第二部を観て来ました。
 「天保遊侠録」は初めて見る演目です。作は真山青果ですが、実はぽん太は、真山青果はちと苦手です。というのも以前に観た「元禄忠臣蔵」では、舞台上におじさんがいっぱいいて「ううう」と泣いているシーンばっかりだったり、理屈っぽい台詞が多かった印象があるからです。しかし「天保遊侠録」は、なかなか楽しめる娯楽作品で、特に子供の勝驎太郎のおませな台詞がかわいらしかったです。勝小吉と息子の麟太郎を、橋之助とその息子宗生が演じていたので、なおさらおもしろかったです。ちなみに橋之助の奥さんは三田寛子ですね。
 小吉は、役人に取り立ててもらうため、様々な恥辱に対し我慢に我慢を重ねますが、とうとう堪忍袋の緒が切れて、小禄ながらも自由気ままに市井で生きることを選びます。自分を馬鹿にした侍に対し、そうやって威張れるのも所詮は禄高の違いであって、人間の値打ちとは別だとタンカを切ります。ここは拍手喝采が来るところ。しかし一方で、息子麟太郎と別れてお城勤めをさせることを嫌がっていたものの、阿茶の局に「家のため」と説かれると納得いたします。う〜む、権力組織や、世襲制の身分社会には反対するけど、家の制度は認めるのか……。この戯曲は1938年(昭和13年)に雑誌に発表されたものですが、真山青果の権力に対するスタンスというものが、いまだにぽん太にはよくわかりません。
 橋之助の小吉は、いい男で明るいのが持ち味ですが、江戸っ子らいしい気っ風の良さや、しゅんとしたときの可愛らしさにはちょっと欠けます。菊五郎が演じたらきっとおもしろいだろうな〜と思いました。勘太郎はいつもの謹厳実直な役回り。萬次郎の阿茶の局が、位の高さを表す気品があってよかったです。
 「六歌仙容彩」は三津五郎の至芸ですが、ぽん太は夏バテと満腹で意識がまだら。
 第二部の最初は「真景累ヶ淵」。原作はご存知、三遊亭円朝の怪談話です。今回上演されたのは、顔の腫れ物で見にくい姿となった豊志賀が、若い内弟子の新吉に対する愛と嫉妬のなかで悶死し、化けて出てくるという下り。いわゆる遊園地のお化け屋敷のような芝居で、心理的に不気味だとか人間の業を表して怖いとかいうのではなくて、思いがけないところからお化けが出て来て「ぎゃ〜〜!」と叫びながらもワハハと笑う感じで、恐いというよりびっくりするというのが当てはまる演出でした。ちなみにぽん太が最も恐いと感じた歌舞伎は、仁左衛門の『盟三五大切』です。
 豊志賀役の福助がパワー全開。新吉の勘太郎は、今回は忠犬ハチ公のような役ではなく、滑稽さもある役柄を、間合いよく演じていました。しかし噺家さん蝶役で出てきた勘三郎には、まだまだかないまへんな。
 最後は勘三郎の「船弁慶」。平知盛となってからの勘三郎の表情が、禍々しい亡霊というよりも、苦しさを背負った人間のように見えたところが、とてもおもしろかったです。


歌舞伎座さよなら公演
八月納涼大歌舞伎
2009年8月歌舞伎座

第一部

一、天保遊侠録(てんぽうゆうきょうろく)
             勝小吉  橋之助
           松坂庄之助  勘太郎
          大久保上野介  彌十郎
            勝麟太郎  宗 生
           井上角兵衛  亀 蔵
            阿茶の局  萬次郎
             八重次  扇 雀

二、六歌仙容彩(ろっかせんすがたのいろどり)
  遍照・文屋・業平・小町・喜撰・黒主
            僧正遍照
            文屋康秀
            在原業平  三津五郎
            喜撰法師
            大伴黒主
            小野小町  福 助
              所化  秀 調
               同  高麗蔵
               同  松 也
               同  梅 枝
               同  萬太郎
               同  巳之助
               同  新 悟
               同  隼 人
               同  小 吉
               同  鶴 松
              官女  亀 蔵
               同  彌十郎
           祇園のお梶  勘三郎

第二部

一、真景累ヶ淵(しんけいかさねがふち)
  豊志賀の死
             豊志賀  福 助
              新吉  勘太郎
              お久  梅 枝
              勘蔵  彌十郎
           噺家さん蝶  勘三郎

二、新歌舞伎十八番の内 船弁慶(ふなべんけい)
       静御前/平知盛の霊  勘三郎
             源義経  福 助
            舟子岩作  高麗蔵
            舟子浪蔵  亀 蔵
            亀井六郎  松 也
            片岡八郎  巳之助
            伊勢三郎  新 悟
            駿河次郎  隼 人
           武蔵坊弁慶  橋之助
          舟長三保太夫  三津五郎

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