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2009/09/15

【オペラ】初めて観てとにかく感動!「ドン・カルロ」ミラノ・スカラ座

 オペラの最高峰のひとつ、ミラノ・スカラ座をぽん太は初めて観ました。あゝ感動ですweep
 中高年のぽん太は、スカラ座と聞くとアルトゥーロ・トスカニーニを思い出します。かんしゃく持ちで、リハーサル中に怒ると懐中時計を投げつけ、誕生日には団員が懐中時計を送った、などという逸話を昔聞いた気がしますが、ホントでしょうか?ところでスカラ座の「スカラ」って何?Wikipediaを見ると、サンタ・マリア・アラ・スカラ教会のあった場所に建てられたので、スカラ座という名前になったとのこと。ふ〜ん、な〜んだそうか。って、何にも解決してないじゃんpout。それじゃ何でサンタ・マリア・アラ・「スカラ」教会という名前がついたの?このサイトによれば、この教会の名前は、かつてミラノを支配したヴィスコンティ家に嫁いだベアトリーチェ・デッラ・スカーラに由来するそうです。なるほど、ぽん太はようやく納得しました。ちなみに映画監督のルキノ・ヴィスコンティは、このヴィスコンティ家の伯爵ですね。
 いきなり話が脱線してしまいました。要するに子供の頃からあこがれていたミラノ・スカラ座オペラを観て、ぽん太はとても感動したわけです。演目は「ドン・カルロ」。「アイーダ」の切符はとれませんでしたcrying。でも、「ドン・カルロ」だけで大満足。
 ぽん太は「ドン・カルロ」も初めて。「ドン・ファン」みたいな話か?いえいえ、とってもくら〜い話で、お墓で幕が開き、お墓で幕が降りるというものでした。ストーリーもわかりやすくてドラマチック。心理劇でもあり、また歴史劇でもあります。
 このヴェルディのオペラが初演されたのは1867年のことで、日本で言えば幕末、「精神病は脳病である」と言ったとされているグリージンガーの『精神病の病理と治療』が刊行されたのが1845年、クレペリンの教科書の初版が1883年ですから、近代的な心理が表現されているのは、十分納得できます。原作は、ベートーヴェンの『第九』の歌詞で有名なシラーの戯曲『スペイン王子ドン・カルロス』(1787年)とのこと。そのうち読んでみたいです。
 このオペラの主題をせいしんぶんせきheart01すると、「父の不在」と言うことができましょうか。事実、幕が開くといきなりフィリッポ二世の父であるカルロ五世の葬儀から始まります。ただしこの皇帝に対する評価は、既に冒頭から二分しているようです。さて、主人公のドン・カルロの婚約者であったエリザベッタは、彼の父親のフィリッポ二世と結婚してしまいます。つまり婚約者が母親になったわけで、これは「母親を愛し、父に嫉妬する」というオイディプス的状況に他なりません。実際にエリザベッタは、愛を告白するドン・カルロに対して、「父を殺して私を奪いなさい」と言います。しかしドン・カルロは「そんなことはできない」といい、エリザベッタは彼が父親殺しを拒否したことを神に感謝します。ドン・カルロもエリザベッタも、オイディプス的状況を乗り越えることはできません。そのドン・カルロも後には父親に向かって剣を抜きますが、ロドリーゴによってその剣は奪われます。また父フィリッポ二世の愛人であったエボリ公女はドン・カルロを愛しますが、カルロは父の愛人の求愛を拒否します。そして父であるフィリッポ二世も、自分の国王としての権力を行使することができません。彼にとっての父は宗教裁判長であり、彼はロドリーゴに「宗教裁判長には注意しろ」忠告するものの、息子が自分に刃向かうと、一転してどうすべきか宗教裁判長に伺いを立てます。彼は、国王たるものが宗教に屈しなくてはいけないのかと嘆きますが、民衆が国王に向かって反逆したときにそれを静めたのは、宗教裁判長の権威でした。しかしその権威は戯画化されており、宗教に屈する民衆の愚かさが強調されています。宗教裁判長は、国王の「父」ではなく、彼を飲み込み自分の保護下に置こうとする「グレートマザー」です。登場人物たちが、自分の命を犠牲にして他人を救おうとし始めたところで、舞台の色調は打って変わってポジティブで英雄的になります。ドン・カルロは、エリザベッタに対する愛欲を昇華し、フランドルでの戦いに自分の運命を見いだしたように見えます。しかし彼らの自己犠牲は、オイディプス・コンプレックスを乗り越えたものではないので、想像的・双数的な領域から出ることはなく、幻想の世界にとどまっています。この茶番を見るに見かねた父王「カルロ五世」が最後に墓から復活しますが、この父親が果たして現実なのか幻想なのかは、定かではありません。
 歴史劇として見た場合、カトリックの強権的な支配、プロテシタントの蜂起、国王の権威、民衆の反逆と屈服などが見て取れますが、モデルとなったフェリペ二世(1527-1598年)の時代のスペインや、ヴェルディ(1813-1901年)の時代のイタリアにおける政治的・宗教的な状況に関しては、ぽん太は知識はまったくありません。どうも実在のドン・カルロス(1545-1658年)は精神錯乱を来したようで、精神科医のぽん太としてはそのうちみちくさしてみたいところです。
 登場した歌手全員の豊かな声量と表現力に脱帽。ドン・カルロがメタボでも、この声なら不満はありません。エボリ公女のスミルノヴァの「呪わしき美貌」、バスでは空虚な権威を振りかざす宗教裁判長(アナトーリ・コチェルガ)も、王でありながら内面での苦悩を抱えるフィリッポ二世(ルネ・パーペ)もすばらしかったです。エリザベッタのバルバラ・フリットリは声も容姿も美しい。第2幕第2場の合唱も迫力がありました。「アイーダ」の大合唱も観たかった。
 オケは華麗かつ艶やかで豊かな音色。指揮のガッティの善し悪しは、初めて「ドン・カルロ」を聞いたぽん太には判断できません。演出はモダンでありながらも奇をてらわずセンスがよかったです。心象風景(?)を子供で表す演出もおもしろかったです。
 世界一流のオペラを観れてよかったですhappy01
 会場で偶然出会ったウシさん夫婦に、ありがたくもプログラムをいただき、新宿で飲んで帰りました。


ミラノ・スカラ座 2009年日本公演
「ドン・カルロ」全4幕(イタリア語版)

指揮:ダニエレ・ガッティ

演出・舞台装置:シュテファン・ブラウンシュヴァイク
衣裳:ティボー・ファン・クレーネンブロック
照明:マリオン・ヒューレット
合唱指揮:ブルーノ・カゾーニ
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フィリッポ二世:ルネ・パーペ
ドン・カルロ:スチュアート・ニール
ロドリーゴ:ダリボール・イェニス
宗教裁判長:アナトーリ・コチェルガ
修道士:ガボール・ブレッツ
エリザベッタ:バルバラ・フリットリ
エボリ公女:アンナ・スミルノヴァ
テバルト:イレーナ・ベスパロヴァイテ
レルマ伯爵:クリスティアーノ・クレモニーニ
国王の布告者:キ・ヒュン・キム
天の声:ユリア・ボルヒェルト
フランドルの6人の使者:フィリッポ・ベットスキ/アレッサンドロ・パリャーガ/エルネスト・パナリエッロ/ステファノ・リナルディ・ミリアーニ/アレッサンドロ・スピーナ/ルチアーノ・バティニッチ

ミラノ・スカラ座管弦楽団 /ミラノ・スカラ座合唱団

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コメント

おぺりさん、コメントありがとうございます。
返事が遅くなって申し訳ありません。m(_ _)m
そうなのですか。世界的に広まっているのですね。
ちなみにぽん太は日蓮は好きですが、
特定の宗教とは関係ありませんので……。

投稿: ぽん太 | 2009/10/20 12:06

ミラノ・スカラ座の団員13人が創価のようです。今日の聖教新聞に掲載されたようです^^

投稿: おぺり | 2009/09/15 18:43

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