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2009/10/17

【京劇】初めて観てすっかり魅了されました。北京京劇院・三国志「呂布と貂蝉」

 ここんとこちと忙しく、少し以前の話しになりますが、ぽん太とにゃん子は生まれて初めて京劇を見て来ました。京劇の専門用語はまったくわかりませんので、以下、めちゃくちゃな用語を使うと思いますが、ご容赦ください。
 「TOKYO 京劇フェスティバル2009」という企画で、中国から4つの劇団がやってきて、4演目を上演するというものです。こちらが公式サイトです。もう公演は終わったので、もうすぐリンク切れになると思われます。まったく予備知識のないぽん太は、たまたま予定があいていたという理由で、北京京劇院による「呂布と貂蝉」(りょふとちょうせん)を選びました。偶然に選んだのですが、初京劇の演目としては大正解だったようで、美男子あり、美女あり、踊りあり、笑いあり、ドラマあり、立ち回りありと、もりだくさんでとても楽しめました。
 ぽん太は三国志に関してもまったくの無知、「呂布と貂蝉」の話しもまったく知りませんでした。暴虐な董卓は、勇猛果敢な武将である養子の呂布の働きによって、絶大な権力を手に入れつつあります。絶世の美女貂蝉(ちょうせん)は我が身を犠牲にして、董卓と呂布の二人に言い寄り、二人を仲違いさせようとします。この「連環の計」は成功して、ついに呂布は董卓を殺してしまうのです。もう少し詳しいあらすじをを知りたい方は、たとえばこちらのWikipediaなどをご覧下さい。
 さて、幕が開くと、舞台美術は以外と質素。出張公演だからでしょうか、それとももともとこんなものなんでしょうか。状況を表す小芝居が終わったところで、いよいよ主役の呂布が下手から登場。若々しくも美しい武将です。絢爛豪華な衣装に身を包み、頭に触覚みたいな羽飾りがついています。調べると「翎子」と言うそうな、読み方はわからん。動きに連れてなびいたり、ぷるぷると小刻みに震えたりして、感情表現を増幅いたします。また翎子を手で持って、歌舞伎でいう見得を切ったりします。俳優の李宏図は、貂蝉への愛、そして義父に対する嫉妬と怒りといった演技はもとより、歌声もすばらしく、立ち回りも見事でした。芝居の最後で「連環の計」の策略にはまって父を殺してしまうのですが、本来は悪役なのでしょうけれど、騙されて父を殺してしまう呂布がとても哀れに見えました。
 貂蝉(ちょうせん)役の郭偉は容姿端麗、身体もほっそりとしております。指の動きがとても繊細で美しかったです。衣装も何度も着替え、ある時は国のために犠牲になることを泣きながら決意し、またある時は媚を売りながら妖艶な踊りを舞い、さらには美しい歌声も聞かせます。
 ところで貂蝉役の俳優郭偉って、女性?男性?京劇でも、歌舞伎と同じように、男優が女性を演じると聞いたような気もしますが、郭偉はウェストがすごく細いし、指も細いので、女性のような気がします。女性か男性かで、ぽん太の「思い入れ」も違ってきます。しかしあまりに基本的な疑問のためか、プログラムを見てもどこにも書いてありません。あとで調べたところによると、昔は男優が女性を演じていたそうですが、現在は女優が演じるそうで、郭偉も女性だそうです。
 芝居が感極まって、歌舞伎ならば義太夫が出てくるところで、京劇の場合は役者が歌います。この点ではオペラやミュージカルに似てますね。一方様式的な動作や、「見得」のようなキメが入るところは、歌舞伎にそっくりです。そういえばこれまで歌舞伎はいろいろ見て来ましたが、歌舞伎と京劇の関係というのは考えたこともなかったし、聞いたこともありませんでした。実際のところどうなっているのでしょうか?交流があったと考える方が自然な気がしますが……。
 立ち回り(?)は歌舞伎より上か?とってもスピーディーで迫力があります。三階さん(?)だけでなく、主役の役者も、空手のように足を高く蹴り上げたりして、見事に立ち回りを演じます。
 音楽はドラ(?)や鐘(?)がシャンカンシャンカン鳴る例のやつです。楽隊が舞台袖にいて観客から見えないのは、歌舞伎やオペラと異なるところ。頭に玉のいっぱいついた冠を付け、金ぴかの衣装を着けた俳優たちがシャンカンシャンカン出てくるのを見ると、バリ島などの東南アジアの演劇・舞踏が頭に浮かびます。両者にどのような関係があるのか、これもぽん太は全く知りません。
 京劇は、日本の歌舞伎やヨーロッパのオペラに近い芸術と思われますが、同じ時期に成立したと考えてよいのでしょうか?プログラムによれば、京劇は清の乾隆帝(在位1735年〜1795年)の時代に成立したそうで、近松門左衛門の『曾根崎心中』が1703年、鶴屋南北の『東海道四谷怪談』が1825年、モーツァルトの『フィガロの結婚』が1786年と、大雑把にいえば同じ年代、近世の舞台芸術と言えましょう。細かく言うとどう違うのかは、ぽん太にはわかりません。
 京劇の衣装は袖が長いです。歌舞伎の長袴は裾が長いのですが、なんだか日中の対比が面白いです。女性が袖をたぐって手を出す仕草は様式的で、とても色っぽくて美しいです。
 ラストは、義父を殺した呂布が貂蝉を抱き寄せ、一同勢揃いして終わり。このあと呂布は貂蝉に騙されたことを知るはずですが、そこまでいかずに途中で止めるあたりは、歌舞伎の終わり方と似ています。
 初めて観た京劇はとても面白かったですが、知らないことが多すぎます。機会があったらみちくさしてみたいです。


TOKYO 京劇フェスティバル2009
三国志「呂布と貂蝉」(りょふとちょうせん)
北京京劇院

2009年10月4日 東京芸術劇場中劇場

呂 布……李宏図(一級俳優)
貂 蝉……郭 偉
王 允……韓勝存(一級俳優)
董 卓……陳俊傑(一級俳優)
李 儒……黄柏雪(一級俳優)

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