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2009/11/11

【歌舞伎】個々の場面はすばらしいが全体的なドラマの表現に難あり・2009年11月花形歌舞伎夜の部

 菊之助・松緑・愛之助の三人吉三の通し。花形歌舞伎らしく若々しくて勢いがあり、場面ばめんの名台詞や美しさを堪能することができました。しかし幕末特有の退廃的で猟奇的なおどろおどろしさはあまり感じられませんでした。またこの芝居は、伝吉の罪が発端となって、因果の糸が複雑に絡み合い、次々と新しい事実が明らかになって行くという構成が見事なのですが、そうした構成の面白さが伝わって来ませんでした。次々と新しい事実が明らかになって因果の全体像が見えてくるという、芝居全体のドラマティックな盛り上がりにもちと欠けた気がします。
 和尚吉三の松緑は、いなせな兄貴分という感じはよかったですが、細かな感情の表現や、ちょっと力を抜いた小芝居には難点があり、全体に一本調子に感じられました。お坊吉三の愛之助は、重々しさや風格が出て来たものの、ぞくっとするような色気はまだまだです。お嬢吉三の菊之助は女姿の美しさは言わずもがな、男姿がさまになってきました。でも「火の見櫓」で袖まくりをしたときの二の腕の太さが気になりました。歌六がベテランの味で舞台を引き締めていました。
 ぽん太は今回この黙阿弥の芝居の幾何学的な対称性を強く感じました。「大川端」での和尚を中心としたお嬢とお坊のシンメトリーなや、「大川端」のやりとりを「伝吉内」で夜鷹たちが滑稽なかたちで反復すること、「大川端」でお坊がお嬢の百両を借りようとしたけれど、「お竹蔵」ではお坊の百両を伝吉がかりようとするなど。そもそも「三人吉三」という題名がとてもシンメトリックです。

 「鬼揃紅葉狩」は猿之助演出とのこと。更級の前一行と維盛一行が立ち位置を頻繁に変えたり、円形になって公転しながらの毛ぶりなど、観客を飽きさせない演出でした。役者の集中力と身体能力もすばらしく、まさに大熱演で、じっさい観客も拍手喝采でしたが、ぽん太はこういう演出は「好み」ではなく、もっと古風なものが好きです。


新橋演舞場 花形歌舞伎
平成21年11月 夜の部 

一、通し狂言
  三人吉三巴白浪(さんにんきちさともえのしらなみ)

  序 幕 大川端庚申塚の場
  二幕目 割下水伝吉内の場
      本所お竹蔵の場
  三幕目 巣鴨吉祥院本堂の場
      裏手墓地の場
      元の本堂の場
  大 詰 本郷火の見櫓の場

             お嬢吉三  菊之助
             和尚吉三  松 緑
             お坊吉三  愛之助
              十三郎  松 也
              おとせ  梅 枝
             長沼六郎  種太郎
              源次坊  亀 寿
           土左衛門伝吉  歌 六

二、鬼揃紅葉狩(おにぞろいもみじがり)

     更科の前実は戸隠山の鬼女  亀治郎
              八百媛  菊之助
           従者小諸次郎  亀 寿
           同 碓氷三郎  種太郎
           侍女実は鬼女  松 也
                同  梅 枝
                同  巳之助
                同  右 近
                同  隼 人
                同  吉 弥
              平維茂  松 緑

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