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2009/12/07

【新国立オペラ】カルロ・ヴェントレの美声に酔いしれました『トスカ』

 新国立オペラ、前回の『ヴェツェック』は、わざわざお金を払ってすっかり気持ちが暗くなるというものでしたが、今回は正統派イタリアオペラの『トスカ』です。こちらが新国立劇場の公式サイト、そしてこちらが「トスカ」の特設サイト(予告編ムービーもあります)です。
 トスカ役のイアーノ・タマーは、焼き餅焼きのウブな歌姫が、ついにはスカルピアを手にかけるに至るまでの成長ぶり(?)を、見事に表現しておりました。「歌に生き、恋に生き」もよかったです。しかしぽん太が聞き惚れたのは、カヴァラドッシ役のカルロ・ヴェントレの声。ちょっと軽い声ですが伸びやかで明るく、巻き舌で微妙に声が裏返るのが、いかにも「イタリア」という感じです。最初のナンバーの「妙なる調和」から、拍手喝采を浴びていました。荘厳で真面目なドイツ・オペラもいいけど、華やかなイタリア・オペラもいいな♪彼の声は「リリコ・スピント」と呼ばれるそうな。普通のテノール(リリコ)よりも少し強靭で、ドラマチックな声らしいですが、ぽん太にはよくわかりません。
 ジョン・ルンドグレンが演じるスカルピアは、映画『羊たちの沈黙』のレクター博士をも思わせる、恐ろしき人物でした。第一幕で彼は、トスカの嫉妬心を煽ることによって彼女の精神をコントロールし、アンジェロッティの隠れ場所を探し出します。第二幕ではまさに詰め将棋のように、彼女が自分に身を任せるように仕向けます。「トスカのキス」によってスカルピアは殺されますが、第三幕では死してなおトスカを支配します。彼女は本当に銃殺されたカヴァラドッシを前に、嬉々として「演技が上手」と褒めたりします。トスカは最後に身を投げるとき、「スカルピア、神の御前で」と叫びます。次は死後の世界で、トスカとスコルピオの戦いが続けられるのでしょうか。こうしてみると『トスカ』は本当は恐いオペラなのかもしれません。
 舞台装置は写実的で豪華。重厚で本格的な演出でした。フレデリック・シャスラン指揮の東京フィルの音楽も、ドラマチックでよかったように思います。

 ところで、こちらの記事にもあるように、例の事業仕分けで、新国立劇場運営財団の予算も大幅削減になったとのこと。無駄な役員報酬などがあるのなら削ってほしいですが、外国人歌手のレベルが下がったりしたら、当然ぽん太は新国立オペラを聴きに行くのはやめるでしょう。どうなることやら……。


新国立劇場オペラ「トスカ」
ジャコモ・プッチーニ
2009年12月2日/新国立劇場オペラパレス

【指 揮】フレデリック・シャスラン
【演 出】アントネッロ・マダウ=ディアツ
【美 術】川口直次
【衣 裳】ピエール・ルチアーノ・カヴァロッティ
【照 明】奥畑康夫
【芸術監督】若杉 弘
【主 催】新国立劇場

【トスカ】イアーノ・タマー
【カヴァラドッシ】カルロ・ヴェントレ
【スカルピア】ジョン・ルンドグレン
【アンジェロッティ】彭 康亮
【スポレッタ】松浦 健
【シャルローネ】大塚博章
【堂守】鹿野由之
【羊飼い】九嶋香奈枝

【合 唱】新国立劇場合唱団
【管弦楽】東京フィルハーモニー交響楽団

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