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2010/01/20

【歌舞伎】勘太郎と歌女之丞が涙を誘う「袖萩祭文」 2010年1月浅草公会堂

 新春恒例の浅草歌舞伎。ぽん太とにゃん子は2,000円とお得な3階席で見物。まずは男女蔵のお年玉ご挨拶。3階最前列のおばさ、いや、おくさま方が思いっきり身を乗り出して御観劇。指導に入った職員に「全然見えないわよ。見えなくていいって言うの」などと食って掛かり、まわりから「し〜っ」と注意されるという、新春らしい華やいだ雰囲気で幕開けです。観客一同声を揃えて「おめちゃん、おめちゃん」コール。
 最初の演目は『正札附根元草摺』。正月らしく曽我物の舞踊で、亀治郎、勘太郎とも若々しくてよかったです。この舞踊は昨年の6月に歌舞伎座で観ましたが、その時は曽我五郎と舞鶴の踊りでした。いろいろなバージョンがあるのでしょうか?
 おつぎは、理屈っぽくてぽん太は嫌いな『元禄忠臣蔵』の「御浜御殿」。愛之助の綱豊卿は仁左衛門そっくりですが、まだまだ大きさと、ちょっとした仕草に宿る表現力は足りません。亀治郎の富森助右衛門はきびきびした感じはいいですが、目の周りの縁取りがくっきりしすぎて変。亀治郎の芝居が強すぎるのか、愛之助が柔らかすぎるのか、ちょっとバランスを欠く感じがしました。やはり綱豊卿が一回り大きくないと、芝居全体が生きて来ません。それから愛之助ファンのおばさ、いや奥様、女だてらに大向こうは止めてほしいです。しかも間が悪い。綱豊卿が「わりゃ俺に、憎い口をききおったぞ」と助右衛門を睨みつけておいて、次に「わははは」と大らかに笑う間の、緊迫した瞬間での大向こうはないでしょう。また、吉良上野介が能装束で現れたと皆が思っているところでいきなり「松嶋屋!」では、ネタバレでしょう(ホントはみんな知ってるけどね)。
 『将門』は、七之助が後半おどろおどろしくなるのかと思ったら、それほどでもありませんでした。巨大なガマがかわいかったです。

 続けて第二部に突入。お年玉ご挨拶は亀治郎でしたが、次に演じられる『奥州安達原』の複雑な筋の解説がメインでした。
 その「袖萩祭文」は初めて観る演目でしたが、老夫婦が、瞽女となった娘や孫をかわいやと思いながらも、武家の面目から気持ちをストレートに出せずに冷たく接したりするという、歌舞伎の本道をいく名作でした。勘太郎の袖萩が哀れで、涙を誘いました。孫娘(筋書きを買わなかったので誰だか不明)がとても可愛らしく、演技も上手でした。その他の登場人物もみなよかったですが、若手中心のため、ともすればお稽古のおさらいのような雰囲気になりそうなところ、母親はまゆう役の歌女之丞が、芝居に風格と歌舞伎らしさを与えて好演でした。
 『悪太郎』は狂言を歌舞伎化して膨らました演目。歌舞伎では初めてでしたが、狂言では野村萬斎の悪太郎役で観たことがあります。亀治郎の酔っぱらいぶりが、身につまされてよかったです。
 

新春浅草歌舞伎
平成22年1月・浅草公会堂

第1部

お年玉〈年始ご挨拶〉
                  市川男女蔵

一、正札附根元草摺(しょうふだつきこんげんくさずり)
            曽我五郎  市川亀治郎
           小林朝比奈  中村勘太郎

二、元禄忠臣蔵(げんろくちゅうしんぐら)
  御浜御殿綱豊卿
           徳川綱豊卿  片岡愛之助
           中臈お喜世  中村七之助
            祐筆江島  中村亀 鶴
           新井勘解由  市川男女蔵
          富森助右衛門  市川亀治郎

三、忍夜恋曲者(しのびよるこいはくせもの)
  将 門

      傾城如月実は滝夜叉姫  中村七之助
          大宅太郎光圀  中村勘太郎

第2部

お年玉〈年始ご挨拶〉
                  市川亀治郎

一、奥州安達原(おうしゅうあだちがはら)
  袖萩祭文
         袖萩/安倍貞任  中村勘太郎
          八幡太郎義家  中村七之助
           平傔仗直方  市川男女蔵
            安倍宗任  片岡愛之助

二、猿翁十種の内 悪太郎(あくたろう)
             悪太郎  市川亀治郎
             智蓮坊  中村亀 鶴
            太郎冠者  市川男女蔵
           安木松之丞  片岡愛之助

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