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2010/03/09

【歌舞伎】2010年3月歌舞伎座、第一部・第二部

 3月、4月の歌舞伎座は三部制。でも、料金はいつもと同じです。まあ、幹部クラスが大勢出ているので仕方ありませんが。ただ三部制だと、ちょっと短く感じてしまうのも事実。とくに第一部などは30分の休憩が2回もあって、ボリューム的に少々物足りなく感じました。

 第一部では、玉三郎の『女暫』が意外によかったです。「意外に」というのは、以前に見た『信濃路紅葉鬼揃』の後シテなどでは、玉三郎はやはり身体の線が細く、声もくぐもってしまって、迫力に欠けていたからです。荒事は玉三郎には会わないんじゃないかな〜と思いましたが、そんな心配は杞憂に終わり、なかなか迫力がありました。「巴御前」が、鬼や男役ではなく、勇ましいながらも「女性」であるのがよかったのかもしれません。また最後の幕外の芝居のように、可愛らしい女形が無理して荒事を演じている、という感じで通していたのがよかったのかもしれません。歌舞伎座さよなら公演にふさわしい華やかな舞台となりました。
 通しではありませんが、三月、四月で『菅原伝授手習鑑』から四つの幕が上演されます。まずは「加茂堤」から。舞台上の牛車のなかで、斎世親王と苅屋姫がエッチをするというおおらかな設定の狂言ですが、梅玉の桜丸がひょこひょこと軽い味で面白かったです。
 「楼門五三桐」は、まるで絵画のような一幕。主役はなんといっても大道具さんたちでしょう。いつもながら、満開の桜のなかの山門のせりあがりが見事でした。吉右衛門の石川五右衛門が大きくて悠々としていて、風格満点。

 第二部は、『菅原伝授手習鑑』から「筆法伝授」。ぽん太は初めて観たのですが、おかげでようやく「寺子屋」のつながりがわかりました。仁左衛門の菅丞相が格調高く、威厳と厳しさを兼ね備えてすばらしかったです。ぽん太が好きな東蔵の左中弁希世も、小物っぽい悪役振りが面白く、吉之丞の水無瀬も絶品でした。梅玉・芝雀の武部源蔵と戸浪は、明るさと華やかさがあるのがよかったです。
 「弁天娘女男白浪」。菊五郎の弁天小僧菊之助は、色気と気っ風がすばらしく、形容すべき言葉が見あたりません。豪華な顔ぶれの「勢揃い」は圧倒的な迫力があり、一人ひとりが長い芸歴をかけて作り上げた名調子に、ただただ聞き惚れるばかりでした。
 ところでぽん太がちょっとわからなかったのは、「見世先」の最後に花道で弁天小僧菊之助と南郷力丸が「坊主持ち」をしているシーンでの、南郷力丸の「新内で川流れだ」という台詞です。「坊主持ち」は、坊主と出会うたびに荷物の持ち役を変えることで、goo辞書にも出ています。「川流れ」というのは、いまでいう「お流れ」みたいなものかと思いましたが、やはりgoo辞書に出ていて、「約束を取りやめにすること」だそうです。問題は「新内」と「川流れ」の関係です。これはググってみてもでていなかったのですが、思いついたのが「新内流し」。コトバンクに出ているように、太夫と三味線の二人一組で、遊郭などを歩きながら新内を演奏するものです。動画はあまりないようで、こちらは三味線の音だけですが、なかなかいい感じです。見た目はこんな感じでしょうか。恐らくは「新内流し」のシャレで、「新内で川流れ」となったのでしょう。


歌舞伎座さよなら公演
御名残三月大歌舞伎
平成22年3月・歌舞伎座

第一部

菅原伝授手習鑑
一、加茂堤(かもづつみ)
              桜丸  梅 玉
            斎世親王  友右衛門
             苅屋姫  孝太郎
            三善清行  秀 調
              八重  時 蔵

二、楼門五三桐(さんもんごさんのきり)
          石川五右衛門  吉右衛門
             右忠太  歌 六
             左忠太  歌 昇
            真柴久吉  菊五郎

三、女暫(おんなしばらく)
             巴御前  玉三郎
           蒲冠者範頼  我 當
            轟坊震斎  松 緑
            女鯰若菜  菊之助
            猪俣平六  團 蔵
            武蔵九郎  権十郎
            江田源三  彌十郎
            東条八郎  市 蔵
            根井行親  寿 猿
             局唐糸  家 橘
             茶後見  隼 人
           木曽駒若丸  萬太郎
             紅梅姫  梅 枝
            木曽太郎  松 江
            手塚太郎  進之介
          清水冠者義高  錦之助
            成田五郎  左團次
           舞台番辰次  吉右衛門

第二部

菅原伝授手習鑑
一、筆法伝授(ひっぽうでんじゅ)

  菅原館奥 殿の場
  同  学問所の場
  同  門 外の場
             菅丞相  仁左衛門
            園生の前  魁 春
              戸浪  芝 雀
             梅王丸  歌 昇
            荒島主税  松 江
            腰元勝野  新 悟
            局水無瀬  吉之丞
            三善清行  秀 調
           左中弁希世  東 蔵
            武部源蔵  梅 玉

二、弁天娘女男白浪(べんてんむすめめおのしらなみ)

  浜松屋見世先の場
  稲瀬川勢揃いの場
         弁天小僧菊之助  菊五郎
            南郷力丸  吉右衛門
            忠信利平  左團次
            伜宗之助  菊之助
            鳶頭清次  團 蔵
          浜松屋幸兵衛  東 蔵
           赤星十三郎  梅 玉
          日本駄右衛門  幸四郎

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