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2010/04/02

【歌舞伎】出演者一同渾身の名演・仁左衛門の「道明寺」 歌舞伎座2010年3月第三部

 千穐楽に観て来ました。「道明寺」はぽん太が歌舞伎初心者だったころに観て、なんだか動きがなくてつまらなかった記憶があったので、今回は3階席を選んだのですが、1階で観ればよかったと後悔いたしました。出演者一人ひとりが、冬季オリンピックのキム・ヨナに勝るとも劣らない集中力と気迫で演じた、重厚で格調高い名舞台でした。
 孝太郎(苅屋姫)と秀太郎(立田の前)の出からして、なんかいつもと違うオーラが漂います。そこに玉三郎の覚寿が登場すると、観客もすっかり舞台に引き込まれた様子。玉三郎は2月に「ぢいさんばあさん」で老け役をやりました。その時は、軽い演目だったし、さよなら歌舞伎座の「ごちそう」みたいなものかと思っておりましたが、今後は本格的に老け役を演じていくのでしょうか?あの絶世の美女の玉三郎が老け役をやっているということに、ぽん太は感慨を覚えました。苅屋姫を棒で打つシーンでは、理では厳しく叱責しながら、情では我が娘を叩かなくてはならぬことの哀しみが心を打ちました。仁左衛門は、菅丞相の人間を超越した「格」といい、木像の演技といい、天下一品。養女の苅屋姫を思う心の表現も、一つひとつのきまりがどれも絶品でした。自分の存在が、周囲の人を巻き込んで不幸を引き起こして行くことを嘆く様子は、まさに「天神」にふさわしく思われました。
 孝太郎は、まるで文楽人形のような古風で抑制した演技で、養父が追放される口実を与えてしまった苅屋姫の苦悶を余すところなく表現しておりました。秀太郎も世話物っぽくならず、悪者に翻弄される堅気な女性を情愛深く演じておりました。我當の判官代輝国も、幕外の引っ込みでは、少し眉間にしわを寄せた表情が阿修羅像そっくりで、この世の無常を憂える気持ちが伝わって来ました。錦之助の宅内も、おかしみのある役ながら、力を抜かずきっちりと演じていてよかったです。
 こんなすばらしい芝居を、動きがなくてつまらないと感じたとは、つくづくぽん太は歌舞伎を見る目がなかったんだな〜と思いました。

 「石橋」は、富十郎・鷹之資親子の舞踊。重い芝居の後、媚びもけれんもない明るく素直な舞台で、気持ちが晴れました。さすがに毛振りはないんですね。コール・ド・歌舞伎(からみ)の動きが幾何学的でバレエみたいなのが、3階から見ていておもしろかったです。
 来月で今の歌舞伎座ともお別れです。


歌舞伎座さよなら公演
御名残三月大歌舞伎
平成22年3月
第三部

一、菅原伝授手習鑑
  道明寺(どうみょうじ)
             菅丞相  仁左衛門
              覚寿  玉三郎
             奴宅内  錦之助
             苅屋姫  孝太郎
          贋迎い弥藤次  市 蔵
            宿禰太郎  彌十郎
            土師兵衛  歌 六
            立田の前  秀太郎
           判官代輝国  我 當

二、文珠菩薩花石橋
  石橋(しゃっきょう)
        樵人実は獅子の精  富十郎
        童子実は文珠菩薩  鷹之資
              男某  松 緑
             修験者  錦之助
            寂昭法師  幸四郎

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