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2010/04/18

【歌舞伎】盛りだくさんなのに単調「四谷怪談忠臣蔵」(2010年4月新橋演舞場)

 鶴屋南北の「東海道四谷怪談」が、「仮名手本忠臣蔵」の外伝というかたちで書かれ、初演時には二つの芝居が交互に組み合わされて、二日がかりで演じられたことはよく知られています(こちらの Wikipediaにも書かれています)。近年「東海道四谷怪談」は単独で上演されるのが普通ですが、そうすると「忠臣蔵」を知らないお客さんは楽しめないし、両者の筋が入り交じることで生じる面白さも失われてしまいます。そんなら両方まとめてひとつの芝居にしてしまえ!という発想で、「四谷怪談忠臣蔵」は作られているようです。
 猿之助歌舞伎の例によって物語はスピーディーに展開し、花火などの仕掛けや、宙乗り・本水などのけれんも満載です。ただ、猿之助歌舞伎を何回か見てしまうと、ああ宙乗りね、また本水ね、と驚きが薄れてしまうのも確かです。またテンポの良い筋の運びも、裏をかえせば底の浅さや軽みにつながります。忠臣蔵の仇討ちの物語も、深い共感や感動を与えるものではないし、四谷怪談の方も、おぞましく不気味な感じに欠ける気がします。
 ここでスーパースターがいて、その人の芸に観客が魅了されるようだと芝居が締まるのですが、残念ながら右近はまだその域には達しておりません。そのため、テンポよくあれこれ盛りだくさんな割には、単調に感じてしまいます。右近が観るものをうならせる芸を身につけるのでなければ、新作の出し物やさらに奇抜な趣向をこらさなければ、リピーターには飽きられてしまうような気がします。
 とはいえ、両国橋の花火を背景にした立ち回りなどは、江戸情緒が感じられてよかったですし、新田義貞が高師直に乗り移るという設定や、義貞の息子の大盗賊・暁星五郎を絡ませるなどのアイディアも悪くなかったです。「仮名手本忠臣蔵」では、斧定九郎はお軽が身請けした50両を奪い取る悪役ですが、「四谷怪談忠臣蔵」では塩冶判官の家臣であり、お軽に50両を渡す、というパロディも面白かったです。定九郎の春猿は、堂々とした立派な立役でした。


新橋演舞場 陽春花形歌舞伎
通し狂言 四谷怪談忠臣蔵
仮名鑑双繪草紙(かなでほんにまいえぞうし)
市川右近宙乗り相勤め申し候
平成22年4月

       新田義貞の霊/直助権兵衛
              天川屋義平  市川 右 近
        暁星五郎実は新田鬼龍丸

      佐藤与茂七/義平女房おその  市川 門之助
           高師直/按摩宅悦  市川 猿 弥
               斧定九郎  市川 春 猿
       猪熊局後に伊右衛門母お熊  市川 寿 猿
             小汐田又之丞  市川 弘太郎
             民谷伊右衛門  市川 段治郎
     お岩/小仏小平/一文字屋お軽  市川 笑三郎
            塩冶判官/お袖  市川 笑 也
             大星由良之助  坂東 彌十郎

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