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2010/05/29

【歌舞伎】時蔵の八重垣姫、一巴太夫の常磐津、菊五郎の髪結新三 2010年5月大阪松竹座夜の部

 歌舞伎座が立て替えのため閉鎖されて、放浪の旅が始まった歌舞伎一座。ぽん太とにゃん子も追っかけて、はるばる大阪まで行ってきました。公式サイトの公演案内はこちらです。
 まずは夜の部から。最初の演目は「十種香」、時蔵の八重垣姫です。八重垣姫は、許嫁の武田勝頼が死んだと思い込み、その絵姿を前に一心に念仏を唱えております。しかしそこに現れたのは、勝頼そっくりの美男子。ヤエガッキーは、「勝頼さまheart02」と駆け寄ろうとするのですが、「いけない、いけない、おばかなガッキーbleah。勝頼さまは死んだのよ」と、また念仏を唱えはじめます。しかし目の前のイケメンがどうしても気になるガッキー。腰元の濡衣を呼び寄せると、「ねぇねぇ、あんたたちってできてんのpout」と尋ねます。そして二人が無関係と聞くと、濡衣に仲立ちを頼みます。一途なガッキーのストレートな行動lovelyは、なんだかイマドキのギャルを見ているようで、とっても微笑ましいです。時蔵の八重垣姫は、とても可愛らしかったです。
 錦之助の勝頼は、美男子でおっとりしていて悪くないのですが、なにかプラスアルファのオーラというか、色気が欲しいです。菊之助の腰元濡衣はきっちりと演じておりましたが、時蔵が相手ではさすがに位負けか。
 八重垣姫のモデルが、武田信玄の娘にして、上杉景勝に嫁いだ菊姫であり、そのお墓が米沢の林泉寺にあることは、以前の記事に書きました。
 「京人形」は初めて観ました。左甚五郎の彫った京人形が動き出すのですが、初めはぎくしゃくした男の動きだけど、手鏡を懐に入れたとたんに、たちまち女らしくなるという設定の舞踊劇です。左甚五郎の三津五郎の踊りは、柔らかくて愛嬌もあり、いつもながらまことに見事。菊之助の京人形は見た目からしてとても美しく、箱のふたを取った瞬間、客席がどよめきがわきました。菊之助のどこか冷たい感じも、人形という設定とうまくマッチして、とてもよかったです。後半は、左甚五郎にちなんで、大工道具を使った立ち回りという趣向がおもしろかったです。また久々に聴いた人間国宝一巴太夫の常磐津も、色気といい柔らかさといい、高音の伸びといい、絶品でした。
 「髪結新三」は、菊五郎の新三。菊五郎はホントにこういう役はいいですね〜。これまで新三は、幸四郎で二回見たことがあるのですが、幸四郎だとなんか暗くて悪者っぽく見えてしまいますが、菊五郎だと、悪党でも華やかでカッコいいです。菊之助の勝奴も、ちょっと固いというか遊びがない感じもしましたが、菊五郎とよく息が合ってました。時蔵はこの演目では手代忠七と大活躍でしたが、「女形が演じている」っぽい感じがなくて、よかったです。三津五郎の家主長兵衛も上手でしたが、持ち味の品の良さが感じられてしましました。も少しアクがあるといいのですが。萬次郎の女房おかくの方が、こちらはちょっとオーバーでしたけど、ごうつくばりなやり手ばばあの感じが出てました。團十郎の弥太五郎源七は、大親分らしい風格と気っ風がありました。新三にあしらわれての悔しがりようもすごかったです。
 行きの新幹線の中で『清水次郎長――幕末維新と博徒の世界』(高橋敏著、岩波書店、2010年)を読んでいたおかげで、幕末から明治初期にかけて隆盛を築いた侠客の世界が、相手をつぶしては自分がのし上がるという力と力の世界であることがわかったので、新三と源七との関係もよく理解できました。この狂言の元となった白子屋の娘お熊と手代の事件が起きたのは享保12年(1727年)ですが、この黙阿弥の狂言の初演は明治6年(1873年)ですから、当時の侠客の世界が反映されていたと考えられます。この本はいろいろと面白かったですが、名うての悪ガキだった次郎長を持て余した両親が、次郎長を預けた先が、以前に桜えびを食べに訪れた静岡県の倉沢(そのときの記事はこちら)だったたことも、初めて知りました。


大阪松竹座
團菊祭五月大歌舞伎
平成22年5月 夜の部

一、本朝廿四孝(ほんちょうにじゅうしこう)
  十種香
            八重垣姫  時 蔵
            武田勝頼  錦之助
            腰元濡衣  菊之助
           白須賀六郎  萬太郎
            原小文治  権十郎
            長尾謙信  團 蔵

二、銘作左小刀
  京人形(きょうにんぎょう)
            左甚五郎  三津五郎
           京人形の精  菊之助
             井筒姫  巳之助
             奴照平  秀 調
             おとく  萬次郎
三、梅雨小袖昔八丈
  髪結新三(かみゆいしんざ)

  白子屋見世先より
  閻魔堂橋まで
            髪結新三  菊五郎
            手代忠七  時 蔵
            下剃勝奴  菊之助
          白子屋娘お熊  梅 枝
          加賀屋藤兵衛  高麗蔵
            車力善八  秀 調
         白子屋後家お常  家 橘
         家主女房おかく  萬次郎
           家主長兵衛  三津五郎
          弥太五郎源七  團十郎

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「本朝廿四孝」十種香:八重垣姫/時蔵、武田勝頼/錦之助、腰元濡衣/菊之助、白須賀六郎/萬太郎、原小文治/権十郎、長尾謙信/團蔵 「銘作左小刀 京人形」:左甚五郎/三津五郎、京人形の精/菊之助、井筒姫/巳之助、奴照平/秀調、おとく/萬次郎 「梅雨小袖昔八丈 髪結新三」... [続きを読む]

受信: 2010/05/30 10:24

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