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2010/08/26

【歌舞伎】海老蔵ってセリフは変だけど身体能力がすごい 2010年8月新橋演舞場第一部・第二部

 第一部は、源九郎狐の半通し。
 海老蔵の「四の切」を観るのはこれで3回目です。平成18年11月の海老蔵初役の時は、佐藤忠信が実はオカマの狐だったという斬新な解釈に目を奪われましたが、数を重ねてだいぶまとまってきたようです。それでも何回か客席から笑いが起こりました。それが「子狐の愛らしさに思わず笑う」というのではなく、「台詞の抑揚や表情がおかしくて笑う」というものだったのは残念。亡き親を思う子狐の情愛が、兄に追われる身となった義経の境遇に共鳴して、観客を泣かせるまでにはいたっておりませんでした。そこがこの芝居の眼目のはずなのですが……。並外れた身体能力はさすが。めまぐるしい動きとケレンとを力いっぱいスピーディーに演じておりました。先日観た菊五郎の源九郎狐は、情愛の表現はすばらしかったですが、身体がきつそうで見ていて気の毒な感じがしました。初役で見せた平舞台から二重にひとっ飛びで飛び上がる技は、前回は封印していたかと思いますが、今回は再び解禁。ちょっと拍手も湧いたりしましたが、一連の動きのなかのひとつなので、拍手のタイミングがありません。歌舞伎は身体能力を見せるものではないかもしれませんが、海老蔵にしかできない驚異的な技なのですから、飛び上がったところでちょっと間をおいて拍手をもらってもいいような気がします。ホンモノの佐藤忠信役は、なんかちょっと陰りがあって、妖しい感じに見えてしまったのは、ぽん太だけ?
 「鳥居前」の佐藤忠信は荒事なので、海老蔵の本領発揮。「道行」は、ぽん太は踊りの善し悪しは分からないのですが、悪くなかった気がします。
 七之助は、静御前のような愛らしいお姫様役はいいですね。勘太郎の源義経はそつなくこなしておりました。
 第二部は、まず「暗闇の丑松」。以前に幸四郎で見て、すっごく暗い話しだった記憶があり、橋之助なら少し明るいかと思ったら、やはりどっぷりと暗い話しでした。というかこの芝居、長谷川伸の名作と言われているそうですが、ぽん太にはどうも理解できません。たとえば四郎兵衛とお今の夫婦、どうみてもうさんくさくて妖しい人物なのに、なぜ丑松があれほど信用していたのかわかりません。丑松は相当人を見る目がなかったのでしょうか?一見立派そうに見えるけど実は裏がある、みたいに描かれていればわかるのですが。それから、四郎兵衛宅で、お今が助かりたいばかりに丑松に身を任せようとする下り。「俺はやっとわかった。女は亭主を助けたい、自分も助かりたいで、身体を投げ出すんだな。お米もそうだったんだ。俺はそういう女が憎い」みたいなことを言いますが、なんでそういう結論になるのかよくわかりません。お米の潔白を信じたからこそ、かたきうちのために四郎兵衛を殺しにきたのではないですか?またお米を恨んでどうするの。それとも、だからこそ「暗闇」の丑松なんでしょうか。なんかぽん太には、演出が根本的に間違っているような気がするのですが……。チェーホフの劇のように、殺しという重大な事件が観客から見えないところで起きるというアイディアや、湯屋番の仕事っぷりを見せたりするのは、悪くなかったです。芝のぶのセミヌードのサービスつき。
 福助の「京鹿子娘道成寺」。ぽん太は踊りはよくわからないのですが、「丑松」ですっかり暗くなった気分を明るくしてくれました。押戻しがあるせいか、道行きや舞い舞い尽くしは省略。海老蔵の押戻しはお目出度い限り。
 公式サイトはこちら

八月花形歌舞伎
平成22年8月・新橋演舞場

第一部

訪欧凱旋公演
義経千本桜(よしつねせんぼんざくら)
  鳥居前
  道行初音旅
  川連法眼館
  市川海老蔵宙乗り狐六法相勤め申し候

      佐藤忠信実は源九郎狐  海老蔵
             静御前  七之助
            駿河次郎  市 蔵
            亀井六郎  亀 蔵
            早見藤太  猿 弥
              飛鳥  右之助
            川連法眼  家 橘
             源義経  勘太郎

第二部

一、暗闇の丑松(くらやみうしまつ)
           暗闇の丑松  橋之助
        四郎兵衛女房お今  福 助
           料理人祐次  獅 童
           岡っ引常松  松 江
             八五郎  猿 弥
              熊吉  亀 蔵
           潮止当四郎  市 蔵
            四郎兵衛  彌十郎
          丑松女房お米  扇 雀

二、京鹿子娘道成寺(きょうかのこむすめどうじょうじ)
           白拍子花子  福 助
              所化  松 江
               同  宗之助
               同  新 悟
               同  巳之助
               同  松 也
        大館左馬五郎照剛  海老蔵

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