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2010/09/28

【歌舞伎】吉右衛門の俊寛の絶望 2010年9月新橋演舞場夜の部

 千穐楽に行ってきました。筋書き売場が混んでいたので、まずトイレにゆっくり行ってから買おうと思ったら、なんと筋書きが売り切れ。う〜、筋書きって売り切れるものだったのか〜weep。最初に買っておけばよかった……。
 「俊寛」というと、やすらかに死を迎え入れるという、歌舞伎座さよなら公演での勘三郎の名演技がぽん太の記憶に残っておりますが、今回の吉右衛門の「俊寛」には、深い「絶望」を感じました。するすると砂の上を走っていくもやい綱を、思わず捕まえようとするものの、船に向かって叫ぶ姿には、孤独や不安、未練などはありません。遠ざかっていく船を岩上から眺める俊寛は、もう叫ぶこともせず、その表情から人間らしい喜怒哀楽の情は一切消え去り、空虚、無、絶望でしかありません。さかのぼって、千鳥に船を譲った行為も、自己犠牲や、極楽浄土に往生したいという信仰心よりは、妻の東屋なしに生きながらえることを無意味に思う気持ちが勝っているように感じました。
 今回の演技の、どこまでが型で、どこからが吉右衛門の工夫か、ぽん太にはさっぱりわかりません。ただ今回の俊寛の絶望といい、7月の浮世又平の絶望といい、吉右衛門自身の内面に根ざした演技であるように思われます。
 福助の千鳥は、若い娘らしくしようとしすぎて、なんだか変でした。可愛らしげな動作もむしろ滑稽に感じられるし、無理に高い声を使っているため、声の持つ感情表現力がそがれていて、くどきも説得力に欠けたように思います。「あ痛」というところだけ地声になるのも、笑わせようとしているとしか思えません。
 段四郎の瀬尾太郎兼康は、生身の人が演じているとは思えない人形のような怪異さがすばらしかったです。仁左衛門、格好良かったですが、のどを痛めたのか声が出てないのが残念でした。

 「引窓」は、染五郎、孝太郎、松緑など若手によるものでしたが、安心して観ていられました。なんといっても東蔵のお幸が、さまざまに揺れ動く母親の情を余すところなく表現して、舞台を引き締めていました。染五郎の南方十次兵衛、花道から出て来たところはなんだかつっころばしみたいに貫禄がなくて、染五郎の柔らかい味が出ていました。孝太郎のお早はしっかりした演技。松緑は、世話物の5月の「魚屋宗五郎」は感心しませんでしたが、さすがに濡髪長五郎のような役は、貫禄といい、様式美といい、良かったです。
 富十郎の「うかれ坊主」は、さすがに身体の動きは十分とはいえないけれど、ひょうひょうとして面白かったです。


秀山祭九月大歌舞伎
新橋演舞場・平成22年9月夜の部

一、猩々(しょうじょう)
              猩々  梅 玉
              猩々  松 緑
             酒売り  芝 雀

二、平家女護島
  俊寛(しゅんかん)
            俊寛僧都  吉右衛門
          瀬尾太郎兼康  段四郎
            海女千鳥  福 助
          丹波少将成経  染五郎
           平判官康頼  歌 昇
         丹左衛門尉基康  仁左衛門

三、鐘ヶ岬(かねがみさき)
              清姫  芝 翫
  うかれ坊主(うかれぼうず)
            願人坊主  富十郎

四、双蝶々曲輪日記
  引窓(ひきまど)
    南与兵衛後に南方十次兵衛  染五郎
            女房お早  孝太郎
            平岡丹平  松 江
            三原伝造  種太郎
           濡髪長五郎  松 緑
              お幸  東 蔵

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