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2010/11/18

【バレエ】一転シリアスなプログラム「アリア」「火の鳥」「3人のソナタ」モーリス・ベジャール・バレエ団

 楽しいショーのような「80分間世界一周」から一転して、本日はシリアスで見応えのある演目がならびました。公演の公式サイトはこちらです。
 「3人のソナタ」は、男性一人、女性二人による濃密な人間ドラマで、「へ〜、ベジャールもこんな作品を創るのか」と思いました。公式サイトの解説によれば、ベジャールがパリの小劇場を本拠地にしていた1957年に発表されたものだそうで、例の「春の祭典」の初演が1959年ですから、初期の作品なんですね。テーマは「不倫現場で鉢合わせの修羅場」でしょうか……違うみたいです。サルトルの『出口なし』という戯曲が元のようですが、哀しいかなタヌキのぽん太は読んだことがありません。帰ってからググってみて納得。サルトルの有名な言葉「他人は地獄だ」の出所なんだそうです。まあ「地獄」という点では似ているけど……。こんど読んでみようっと。バレエを観る前に調べておけばよかった。ファヴローらダンサーも、見事な表現力。ベジャール・バレエ団って、こういう内面的な心理劇みたいなのも一級品なんですね。参りました。
 ベジャール版の「火の鳥」は、ぽん太は初めてでした。「奇跡の響宴」でベジャール版の「ペトリューシュカ」と「春の祭典」を観てますから、短期間でストラヴィンスキーの三大バレエのベジャール版を観れたことになります。また、先日新国立バレエで、フォーキンのオリジナル版の「火の鳥」も観たばかりですが、いや〜、さすがにベジャール版は、踊りそのものの面白さ、美しさが違いますね〜。火の鳥が男性なのも驚きますが、確かに男性の方が女性よりもダイナミックな踊りが可能で、主人公の「火の鳥」が引き立ちます。その火の鳥役のダヴィッド・クピンスキーがまたすばらしかったです。長身でスタイルも良く、大きく高くしなやかな踊りで、振付けも古典的なテクニックが多く用いられていたので、古典バレエのような美しさでした。「白鳥の湖」の王子とか踊ってくれないかな〜(くれるわけないか……)。フェニックスのオスカー・シャコンの方は濃密な感じでこれはまたよい(火の鳥とフェニックスって、どう違うんだ?)。群舞も迫力ありました。
 ジル・ロマンからの贈り物で、「メフィスト・ワルツ」がプログラムに加わりました。手術台に乗った女性を、男性がなにやら手術しているようなところから始まります。ベジャール版「コッペリア」、あるいは「フランケンシュタイン」といったところでしょうか。最後は立場が逆転します。先ほどダイナミックな火の鳥で魅了したクピンスキーが、今度はおしゃれでちょっとユーモラスな踊りを見せてくれました。キャサリーン・ティエルヘルムも上手でした。
 最後は、ジル・ロマン振付けの「アリア」。う〜ん……。振付家としては、ジル・ロマンはまだまだベジャールには及びませんな。初期の作品にありがちな、あれもこれも「詰め込み過ぎ」です。またダンスの動きもいまいちで、ダンサーたちの鍛え抜かれたテクニックや身体美が生かされてない気がします。小道具を使った美術は面白く、衝撃音を伴う場面転換も加わり、なんだか熱に浮かされて見る悪夢のような、幻想的で不安な雰囲気がありました。バッハの「ゴールドベルク変奏曲」のテープは、うなり声も入ってたし、グレン・グールドの演奏でしょうか。そういえば、グールドもイヌイットの音楽に興味を持っていたはずですが、なにか関係があるのかな……。


モーリス・ベジャール・バレエ団
2010年11月14日 東京文化会館

「3人のソナタ」
ジャン=ポール・サルトル「出口なし」に基づく
振付:モーリス・ベジャール 
音楽:ベラ・バルトーク (2台のピアノとパーカッションのためのソナタ第1楽章、第2楽章)

ジュリアン・ファヴロー
ルイザ・ディアス=ゴンザレス
ダリア・イワノワ


「火の鳥」
振付:モーリス・ベジャール
音楽:イーゴリ・ストラヴィンスキー

火の鳥:ダヴィッド・クピンスキー
フェニックス:オスカー・シャコン
パルチザン:シモナ・タルタグリョーネ、フロランス・ルルー=コルノ、リザ・カノ、ホアン・サンチェス、
      マルコ・メレンダ、アンジェロ・ムルドッコ、ホアン・プリド、エクトール・ナヴァロ
小さな鳥たち:アドリアン・シセロン、ローレンス・ダグラス・リグ、ヘベルス・リアスコス、
       ファブリス・ガララーギュ、サンドリン・モニク・カッシーニ、オアナ・コジョカル、
       キアラ・パペリーニ、コジマ・ムノス


「メフィスト・ワルツ」
振付:モーリス・ベジャール
音楽:フランツ・リスト

ダヴィッド・クピンスキー、キャサリーン・ティエルヘルム


「アリア」
振付、演出:ジル・ロマン
音楽:J.S.バッハ、ナイン・インチ・ネイルズ、メルポネム、イヌイットの歌から抜粋
オリジナル音楽:チェリ・オシュタテール&ジャン=ブリュノ・メイエ(シティ・パーカッション)

彼:フリオ・アロザレーナ
他者:ジュリアン・ファヴロー
アリアドネたち:エリザベット・ロス、ダリア・イワノワ、カテリーナ・シャルキナ
若い娘:シモナ・タルタグリョーネ
闘牛士:ヴァランタン・ルヴラン
若者たち:マルコ・メレンダ、ホアン・サンチェス、ヴァランタン・ルヴラン、ホアン・プリド、
     ガブリエル・アレナス・ルイーズ、アドリアン・シセロン、大貫真幹、
     ファブリス・ガララーギュ、ヘベルス・リアスコス、シモナ・タルタグリョーネ、リザ・カノ、
     オアナ・コジョカル、サンドリン・モニク・カッシーニ、ポリーヌ・ヴォワザール、
     フロランス・ルルー=コルノ、コジマ・ムノス、キアラ・パペリーニ

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