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2010/11/05

【オペラ】重厚だけどなんか地味 キエフ・オペラ「ボリス・ゴドゥノフ」

P5020344 ウクライナ国立歌劇場の「ボリス・ゴドゥノフ」を観て来ました。ムソルグスキーの有名なオペラなので一度観ておきたかったのと、昨年のゴールデン・ウィークにロシア旅行をしたときボリス・ゴドゥノフの墓を訪れたという縁もあったからです。左の写真がボリス・ゴドゥノフのお墓です。
P5020341 モスクワ郊外のセルギエフ・パサードという街に、トロイツェ・セルギエフ大修道院があります。左の写真のタマネギがいっぱいある大きな白い建物が、その修道院のなかにあるウスペンスキー大聖堂ですが、その片隅(写真の向かって左側)にひっそりとボリス・ゴドゥノフのお墓があります。周囲は観光客で賑わっていますが、彼のお墓に目を向ける人はほとんどいませんでした。写真の左手前には、柱で囲まれた屋根みたいなものがありますが、聖なる泉が湧き出ていて、目の見えない人がこの泉で目を洗ったら見えるようになったという伝説があるそうです。オペラ「ボリス・ゴドゥノフ」の第4幕で、老僧ピーメンが語る話しのなかで、「聖なる水で目を洗ったが見えるようにはならなかった」みたいなことを言ってた気がしますが、この伝説と関係しているのかもしれません。
 オペラ「ボリス・ゴドゥノフ」のあらすじは、検索するといろいろと出てくるので省略。実在のボリス・ゴドゥノフについても省略。ぽん太自身の頭の整理のためにネットの情報を簡単にまとめておくと、1551年生まれ、1605年に死去。有名なイヴァン雷帝の息子フョードル1世が1598年に死去してから、1613年に長期安定政権ロマノフ朝が成立するまでのあいだ、動乱時代と呼ばれる混乱した時代がありました。政権も不安定で、飢饉や災害があいつぎ、多くの農民が餓死したり逃げ出したりしたそうです。フョードル1世の異母弟のドミトリーは、次の皇帝になるはずでしたが、1591年に謎の死を遂げます。これが実はボリス・ゴドゥノフによる暗殺だったとかなかったとか。1598年にボリスが皇帝の座につきますが、飢饉や災害で国内は乱れに乱れます。1604年ポーランドに、死んだはずの皇子ドミトリーと名乗る男が現れ、外国勢力や国内不満分子の支持を受けてモスクワに進軍。1605年にボリスは死去、ボリスの息子のフョードルが跡を継ぎましたが、間もなく殺されます。偽ドミトリーはモスクワ入場して皇帝となりますが、これも長続きせず殺されます。その後は、続々と偽ドミトリーが現れたりしてぐだぐだの展開となりましたが、最終的には義勇軍によってモスクワは解放され、ロマノフ朝が始まりましたとさ。

 てなことを前置きにして、今回の公演に話しを戻しますが、もとのオペラそのもののできが良くない気がして、あまり楽しめませんでした。ドラマチックな盛り上がりに欠け、いくつかの場面が断続的に提示されている感じです。ロシア人なら誰でも知っている話しだから、これでもいいのかもしれませんが、歴史が苦手なぽん太には、人物関係や話しの流れがよくわかりませんでした。ボリス・ゴドゥノフが悪役なのか、ちょっと弱いいい人なのか、見ててもよくわからず、感情移入しにくいです。一介の修道士にすぎないグリゴリーが、どうやってポーランドで偽ドミトリーになれたのかも不思議です。また今回の公演では、偽ドミトリーの進軍が描かれず、ボリスの死で終わっているため、偽ドミトリーの話しが、伏線だけ張ってあるだけでラストに絡んで来ず、尻切れとんぼに終わっています。演出上も、一つの場面が終わるごとの幕が下ろされて場面転換という感じで、よけいに劇が寸断されている印象を受けました。音楽も、順番に人が現れて独唱するという感じで、複雑な二重唱や、三重唱・四重唱がありません。ここが拍手のしどころ、みたいな所もありません。ムソルグスキーには観客を喜ばせるような歌劇を作るという気がなかったのか、能力がなかったのか……。こういうところは、先日の「アラベッラ」のシュトラウス・ホフマンスタール・コンビはうまかったですよね。せっかく登場したウクライナ国立歌劇場バレエ団の踊りも、とっても地味でがっかりしました。
 歌手たちは声量豊かで迫力がありました。ボリス・ゴドゥノフのタラス・シュトンダは苦悩する皇帝を迫力をもって歌い、グレゴリーのドミトロ・クジミンの朗々としたテノールが良かったです。美術は重厚で重々しく、背景幕を何枚も重ねることで奥行きと立体感をうまく表していました。演出は地味で、斬新さはありませんでした。伝統的、というんでしょうか。オケと指揮者についてはぽん太にはよくわかりません。
 
 
キエフ・オペラ
ウクライナ国立歌劇場オペラ ータラス・シェフチェンコ記念ー
「ボリス・ゴドゥノフ」
作曲:M.ムソルグスキー
2010年11月3日 オーチャードホール

ボリス・ゴドゥノフ: タラス・シュトンダ
フョードル: テチヤナ・ピミノヴァ
クセーニャ: リリア・フレヴツォヴァ
グレゴリー: ドミトロ・クジミン
ピーメン: セルヒィ・マヘラ

指揮:ヴォロディミール・コジュハル
管弦楽:ウクライナ国立歌劇場管弦楽団
合唱:ウクライナ国立歌劇場オペラ合唱団
バレエ:ウクライナ国立歌劇場バレエ団

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